美術館に乾杯! メトロポリタン美 その十一
コンスタブルの‘主教の庭からみたソールズベリー大聖堂’(1825年)
アメリカの大きな美術館へ行くと必ず会えるターナー(1775~1851)、心に強く残っているのはフィラデルフィア美の‘国会議事堂の炎上、1834年10月16日’、ボストン美の‘奴隷船’、そしてMETにある‘ヴェネツィアの大運河’。
風景画にとって旅へでるのは創作活動に欠かせないルーチン、この大運河の絵でもっとも惹きつけられるのは明るい空と白い雲の描写。モネの白を彷彿とさせる画風は波が激しく揺れ動く海洋画にこめられた心理状態とは明らかに異なっている。ヴェネツィアのこの穏やかな風景が心地よかったのだろう。
コンスタブル(1776~1837)が手がけたソールズベリー大聖堂はスケッチをふくめ6点ある。METにあるものはスケッチだが、油彩と変わりない。荘厳なイメージをもつこのゴシックの大聖堂を観光の案内用に描こうとするとほかはなにもいらないが、作品として表現するなら天にもつきささる塔をこういう風に2本の木の間におさめると絵の中にすっと入っていける。ついつい長くみてしまう典型的な風景画。
イギリス絵画界の大御所的な存在であるレノルズ(1723~1792)は当然のことだがロンドンのナショナルギャラリーやテート・ブリテンでみた作品が思い浮かぶ。イギリス貴族のイメージはこの画家によってできあがったような気もする。METにある‘近衛歩兵第一連隊ジョージ・クースマケール大佐’もレノルズの肖像画とすぐわかる一枚。
ロセッティとともにお気に入りの画家、バーン=ジョーンズ(1833~1898)にアメリカで遭遇するのは無上の喜び。‘愛の歌’は印象派の作品がある部屋の横の長い廊下に飾ってある。食い入るようにしてみていた。
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