心にとまった言葉! ‘歌から学んだ物語づくり’
今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロがスエーデン・アカデミーで行ったノーベル賞記念講演のことが今月12日の朝日新聞に掲載された。作品の創作秘話がなかなか味わい深いので、今日はそのことを。
イシグロ氏は若い頃はロックに夢中だったようだ。その後小説を書くようになり、物語の肝みたいな表現の部分で歌手の歌声に影響を受けたという。例えば、ボブ・ディラン、レイ・チャールズ、二―ナ・シモン、ブルース・スプリングスティーン。
‘私はこれまでいくつかの場面で歌手の歌声から重要な教訓を学んできました。歌うときの人間の声は底知れないほど複雑に絡み合った感情でも表現できるものです。 歌唱から何かを感じたとき、私は自分に、「そう、これだ」と言います。「あの場面にこれをーこれに近い何かをー取り込まねば・・・」と。それは言葉では表現しきれない感情ですが、歌手の歌声にはちゃんとあって、私は目指すべき何かをもらったと感じます’
この話はすぐピーンときた。最近You Tubeでよく聴く千昌夫の♪♪‘星影のワルツ’(作曲遠藤実)に心が揺すぶられることをイシグロは語っているのではないかと。たしかに、この曲には‘そう、これだ’がある。
昭和41年(1966)に大ヒットしたこの名曲を千昌夫は心をこめて唄う。 いいメロディにほろっとする歌詞、すばらしい歌声。
♪♪ 別れることは つらいけど
仕方がないんだ 君のため
別れに星影のワルツをうたおう・・・
冷たい心じゃ ないんだよ
冷たい心じゃ ないんだよ
今でも好きだ 死ぬほどに
来年はカズオ・イシグロの小説に多くの時間をとられるかもしれない。
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