美術館に乾杯! ボストン美 その十五
現代アートの作品はアメリカ人作家はアメリカ館で展示し、ピカソなどは印象派などヨーロッパ絵画のくくりで従来のところに登場する。女流ア―ティストのオキーフ(1887~1986)はアメリカ生まれなので、アメリカ館にある。
オキーフを多く飾っているのはメトロポリタン、2008年に出かけたときは地下にある展示室でなんと20点も楽しむことができた。そして、シカゴ、ワシントンナショナルギャラリー、ボストンでみたのは2,3点。オキーフに目が慣れてくると、この画家の作品がモチーフの巨大化に特徴があることに気づく。
異常に大きく描かれたものは花びらと頭蓋骨。花の絵を普通に描くと静物画になる。ところが、これを画面からはみだすほど拡大すると花びらの姿が変容し抽象画のイメージになってくる。‘白バラとヒエン草’は具象3割、抽象7割という感じ。空中に浮遊する巨大な白いバラはまるで異次元の世界で遭遇した物体のよう。
‘鹿の頭蓋骨とペダーナル’は2年前心を打たれた作品。代表作の‘夏の日々’(ホイットニー美)をみる縁がなかなかやって来ないので、この絵に会えたのは望外の喜び。アメリカの大自然と鹿やバッファローの頭蓋骨を組み合わせるアイデアは絵画という芸術形態のもっている表現力の凄さかもしれない。白骨化した動物の頭がアメリカの大地にあることで地殻変動や大陸移動といった地球の成り立ちにまで思いが広がっていく。
オキーフの描く頭蓋骨は画面の中心に置かれているので視線がこれにグッとよっていくが、ジョセフ・ステラ(1877~1946)の‘古いブルックリン橋’でも同じような感覚がある。こういうエネルギーが中心に凝縮された作品は不思議な磁力を放っている。
デイヴィス(1894~1964)の‘熱い都市の風景’はどこかミロのゆるみのまじったコミカルさを感じさせる。一見子どもでも描けそうと勝手な感想をもつが、よくみると縦、横、斜めの構成は入念に練られた色彩と形態に支えら。並の創造力ではこんな絵は描けない。
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