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2017.11.15

美術館に乾杯! フィラデルフィア美 その七

Img   ダリの‘茹でた隠元豆のある柔らかい構造―内乱の予感’(1936年)

Img_0005     ミロの‘月に吠える犬’(1926年)

Img_0001     デュシャンの‘大ガラス’(1915~23年)

Img_0002デュシャンの‘与えられたとせよ、落ちる水、照明用ガラス’(扉部分 1966年)

Img_0003    デュシャンの‘同上’(扉からの景色)

2013年、フィラデルフィア美にでかけたとき最もみたかったのはセザンヌの‘大水浴図’、‘サンク=ヴィクトワール山’、ダリ(1904~1989)の‘茹でた隠元豆のある柔らかい構造’、そして美術館自慢のコレクションであるデュシャン(1887~1968)の作品。

ところが、ヒット率は20%。お目にかかれたのは‘サント=ヴィクトワール山’のみ、‘大水浴図’もダリもなぜか展示されてなく、デュシャンは展示室の修復でまったくみれなかった。これは大ショックだった。だが、リカバリーは意外に早くやってきて2年後の2015年に長年の願いが叶った。後押ししてくれのがワシントンのフリーア美で開催された‘宗達展’、この回顧展のおかげでフィラデルフィアにまた縁があった。

ダリの絵には副題に‘内乱の予感’とあるが、描かれた運動会の組み体操を連想させる人物表現からはすぐスペインにおける激しい争いとはむすびつかない。ただ、下からみあげた男の顔は日本の落武者のようにみえなくもないから、祖国が今混乱状態にあることはなんとなく感じられる。なにより嬉しいのはダリをコンプリートするのに欠かせない大事なピースが埋まったこと。ミューズに感謝!

ミロ(1893~1983)の‘月に吠える犬’はミロの魅力がたっぷりでたユーモラスな絵。夜を表すのに地平線の上の黒は当たり前として、感心するのは大地の茶色、カタルーニャの風景にはピッタリの色。そして、左に梯子を垂直に立て、右では赤ん坊が楽しむビニール製のおもちゃのような犬がパラシュートが横になった感じの月をながめている。やはりミロはいい。

デュシャンの熱狂的なコレクターが集めた作品がフィラデルフィア美にはこれでもかというほどある。その数30点以上。だから、ここはデュシャンの聖地になっている。その代表作が通称‘大ガラス’、‘彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁さえも’。

一見するとデパートのショーウィンドウのイメージ、8年かけてつくられたが、上半分が花嫁、下半分は独身者たちの欲望を表現している。こんな情報がインプットされてなければ博物館に飾ってある機械装置の模型と何ら変わりない。まさにレデイ・メイドの集合体。

‘与えられたせよ(1)落ちる水(2)照明用ガラス’は心がザワザワしてくる作品。空っぽの部屋があり、壁にレンガで囲まれた木製の扉がある。真ん中をよくみると小さな穴が二つある。この作品のことを知らないとそのまま通りすぎるかもしれない。

ここから中をのぞくとギョッとする光景が現れる。猟奇殺人の現場に居合わせたよう。草が生い茂った空地に裸婦が火のともったガスランプを左手にもち横たわっている。デュシャンはこの‘覗き穴’を20年にもわたってNYで秘密裏に制作していた。

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