北斎パワー全開 ‘北斎とジャポニスム’!
セザンヌの‘サント=ヴィクトワール山’(1887年 フィリップスコレクション)
スーラの‘尖ったオック岬、グランカン’(1885年 テート)
現在、西洋美で開催中の‘北斎とジャポニスム’(10/21~1/28)はゴッホ展同様、大賑わいだった。ここ数年は展覧会へ行くとき以前とちがい出品作の情報をHPでみないことが多い。今回手にしたのはドガの絵と北斎漫画を対比させたチラシのみ。サプライズの作品に会えるかどうかは運次第。
入館すると人が多すぎて思うように前に進めない。だから、たくさんでている北斎漫画や風景画、花鳥画を2列目からチラチラとみながら北斎の絵に現れた構図や色彩、モチーフの描写などに刺激され制作したヨーロッパの美術家たちの絵画や工芸品を駆け足気味でみてまわった。
驚くのは北斎の影響をうけた作品の数の多さ。印象派の絵だけでなく、やきもの、ガラス、宝飾品、家具調度品の絵柄など多くのジャンルにわたっている。北斎と横に並んでいる作品を見比べると北斎を意識したことが一目でわかる。この類似性の強さを目の当たりにすると、当時ヨーロッパの美術界で一世を風靡したジャポニスムの様式はいろんな分野に広がっていたことがよくわかる。そして、そのど真ん中に北斎がいたことも。
じつは西洋美は1988年に‘ジャポニスム展’を行っている。そのときも数々の浮世絵と西洋絵画や工芸の模様などが対比されて並んだ。だから、この展覧会はジャポニスムを北斎で代表させたパート2。期待の大きかった印象派の作品は予想通りいいのがでている。流石、西洋美!
浮世絵の影響を受けているのにそれを口にしないセザンヌ(1839~1906)、‘サント=ヴィクトワール山’はお気に入りの風景画、日本にやって来るのは確か3度目。北斎の‘グレートウエーブ’がモネ(1840~1926)の頭のなかにどれほどあったかわからないが、‘ベリールの嵐’を北斎の描いた海と関連付けたくなるのは自然な流れ。
嬉しい一枚と出会った。何年か前ロンドンのナショナルギャラリーでお目にかかったスーラ(1859~1891)の‘尖ったオック岬、グランカン’。思わず、これも来たのか、とうなった。これはスーラの静寂さのイメージとは真逆の荒々しく力強さを感じさせる作品。蟹のつめを連想させる岬の形が目に焼きつく。
大きな収穫だったのがカサット(1844~1926)の‘母と子ども’、この可愛い赤ちゃんに200%惹きつけられた。カサットに乾杯!
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