美術館に乾杯! ワシントンナショナルギャラリー その十四
セザンヌ(1839~1906)は風景画、静物画、肖像画と3つのジャンルでその高い才能を発揮しているが、肖像画については男性をモデルにしたものが多い。ワシントンにあるのは椅子に座って新聞を読む父親の姿を描いたものでどのセザンヌ本にも必ず載っている。
この絵同様日本にやって来たのが‘赤いチョッキの少年’。このモデルを描いたもので最も知られているのはスイスのチューリヒにあるビュルレ・コレクションン、まだお目にかかってないが、アバウトに計画しているスイス美術館巡りのときはこの絵は必見リストに二重丸がついているはず。
ご承知のように肖像画をとりあげる場合、古典画でも近代絵画でもほとんどが女性。だが、ときどきこの男性画はとりあげようと強く意識させるものがあらわれる。バジール(1841~1870)の‘エドモン・メートル’はそんな一枚。横向きに描いた人物ですぐ思い浮かぶのはホイッスラーの母親を描いたものとこのバジールの絵。少数派の肖像画だから記憶に長くとどまる。
近代化の進むパリにおける人々の暮らしや働く様子を情愛をこめて描いたドガ(1834~1917)、シカゴ美には‘帽子屋の女性’があり、ワシントンには‘アイロンをかける女’が飾られている。ドガはこのモチーフで数点てがけており、一番有名なオルセーにあるものはあくびをしている女を横に並べて見る者の気を引いている。
ロートレックの油彩のようにアメリカの美術館をまわらなければコンプリートしないのはスーラ(1859~1891)の点描画。シカゴ、メトロポリタン、フィラデルフィアのバーンズコレクションに大傑作があり、ほかにものいくつかの美術館に風景画がおさまっている。そのひとつがワシントンの‘ポール・アン・ベッサンの風景’。いつかノルマンデイーを訪ね、こんな静かな光景を目にしたい。
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