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2017.09.23

美術館に乾杯! シカゴ美 その十一

Img_0002     デ・キリコの‘哲学者の征服’(1914年)

Img_0003     マグリットの‘貫かれた時間’(1938年)

Img     ドローネーの‘赤い塔’(1911~23年)

Img_0001     ファイニンガーの‘フランスの街のカーニバル’(1911年)

画面から音が聞こえてこない絵として思い浮かぶのは点描画のスーラと元祖シュルレアリスムのデ・キリコ(1888~1978)。スーラが休日パリの郊外ですごす人々の姿を静かにとらえたのに対し、デ・キリコの舞台はひと気のない街の広場。

そこには機関車が煙を吐きながらと走ってきたり、広場には建物や彫刻の影が長くのびている。‘哲学者の征服’の時刻は1時30分ちょっと前。この時間帯にこんな影ができるのか、まったく不可思議で神秘性につつまれた世界。この絵から読めるのはこのあたりまで。タイトルも手前の大砲みたいな白い物体、そして横にある松ぼっくりのような形をしたものはわからない。

デ・キリコに強い刺激を受けたマグリット(1898~1967)の‘貫かれた時間’に使われている部品はデ・キリコを彷彿とさせる時計と機関車。マグリット流のシュルレアリスムのおもしろさは機関車が部屋の暖炉から飛び出してくるところ。

どうしてこんな意表をつく組み合わせがでてくるのだろうか。マグリットの心の動きをひも解いてみると、まず普通にいつも目にしている時計がおいてある部屋の暖炉を思い浮かべる。そのとき、時計がトリガーになりデ・キリコの絵でみた機関車がひらめいた。そうだ、部屋の中に機関車をとじこめたらおもしろい!大きなものが小さな空間につつみこまれるという発想は目に見えるものしか信じない人間にはおよびもつかない。

ドローネー(1885~1941)のトレードマークである‘エッフェル塔’シリーズはこれまで片手くらいみたかもしれない。この‘赤い塔’はほかのスッキリヴァージョンとはちがい、エッフェル塔をキュビスムを取り入れて表現した建物でとりかこみ、ビジーともいえるほど重層的な構成になっている。

この建物とかぶるのがファイニンガー(1871~1956)のカーニバルの絵。ここはファイニンガーが毎年数ヶ月過ごしていたフランスの街、背景にはこの街にあるローマ時代の水道橋の遺跡が描き込まれている。カーニバルに熱狂するひとたちの描き方は漫画そのもの。こうした漫画チックな表現は骸骨を頻繁に登場させるアンソールとも通じている。

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