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2017.08.10

サイエンスの森! 大村智物語

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Img_0002 2004年ガーナを訪問した大村博士(Newton2015年12月号より)

Img     オンコセルカ症特効薬 イベルメクチン(サイエンスゼロより)

2週間くらい前散歩の途中にあるブックオフにぶらっと入ったら、いつか読んでみようと思っていた本が目に入った。それは2年前ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智博士に関する本。
★馬場錬成著‘大村智 2億人を病魔から守った化学者’(中央公論新社 2012年12月)

大村博士がノーベル賞を獲得したときインタビューされたiPS細胞の山中伸弥教授(京大)が‘最近ある人から本をいただきとても偉い先生がいることを知った。その方が大村先生だった’と熱く語っておられた。だから、目の前にひょいと現れたこの大村智物語本を興味深く読んだ。

タンパク質の話にエネルギーを注力していると関心を寄せていたいろいろなこととつながり、微生物がつくりだす化合物をつかって生み出された新薬のことまで理解が進んできた。2015年11月に放送された‘サイエンスゼロ’で当時80歳だった大村博士がどんな研究が高く評価されてノーベル賞に輝いたかは大雑把には知っていた。

本の中にもでてくる写真が大村博士の偉さを如実に語っている。大村博士が偶然見つけた微生物からつくった特効薬のおかげでガーナの子どもたちはもう失明にいたるオンコセルカ症や歩行できなくなるリンパ系フィラリア症に苦しめられることがなくなった。10億人の人を病魔から救ったのである。

この魔法の薬イベルメクチンが生まれたのは大村博士がストレプトマイセス・アベルメクチニウスという長ったらしい名前のついた微生物(放線菌)を発見したおかげ。1974年、川奈ゴルフクラブの周辺の土壌から偶然みつかったこの微生物はそれ以後ほかでは一度もみつかっていない。何かの縁で日本の大地のなかにいた微生物がアフリカの人々に希望の灯をもたらした。つくづくスゴイことが起きたんだなと思う。

この薬の特許ロイヤリティとして大村博士がいる北里研究所に世界第2位の製薬会社メルク社から支払われた金額はなんと200億円以上。当初、メルク社は発見した放線菌の菌株を3億円で売ってくれといってきたが、大村博士はそれを蹴りロイヤリティ契約で決着させた。製薬会社とウインウインの関係をベースにした産学共同で新薬の開発を進め、しっかり儲ける。大村博士は根性のすわった化学者だけでなく経営者のセンスも持ち合わせている。

超一流の人はいろんなことに才能を発揮する。大村博士もその例に漏れない。ほとんどつぶれかかっていた北里研究所を立て直し、埼玉県の北本市に新しい病院をつくった。ここには絵画がたくさん飾られており‘美術館病院’と呼ばれているそうだ。

また、女子美からは美術への深い造詣と経営能力を買われて理事長就任を依頼されている。そして2007年には故郷の山梨県韮崎市に韮崎大村美術館をオープンさせた。長年蒐集した作品を市に寄贈し、女流芸術家の作品を中心に展示されているという。いつか出かけてみたい。

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