美術館に乾杯! フィリップス・コレクション その八
抽象絵画で活躍したアメリカのア―ティストにはいろいろなタイプがある。具象画とちがい抽象画では色彩と形、そして画面の大きさでしか作家の個性が特徴づけられない。
色でいうと色数が多いか少ないか、深のある色かすっきり調で明るい色か、フォルムの特徴は明快な幾何学的な形なのかぼかしやにじみがはいったり絵の具が飛び散ったりしているか、また具象の要素が残っているかどうかも違いを感じるポイントになる。
ロスコは色彩の深みとぼかしが真骨頂、スティル(1912~1962)もこの深み派に入る作家。フィリップス・コレクションにある‘1950B’はじっとみていると何かを感じさせる作品。黒と茶色がベースとなりそこに小さな赤い〇を二つ置いている。色はもうひとつ、黄色があるがこれは右下に遠慮するようにチラッと使われている。
ルイス(1912~1962)は色彩明快派の一員、このグループにはケリー、ステラがいる。色彩豊かなストライプが縦にのびる‘ナンバー182’は抽象絵画では色彩の力が作品の魅力を決めていることがシンプルにわかる一枚。
2011年国立新美にフィリップス・コレクションのアメリカ絵画が集結したとき、NYの摩天楼の光景を壮大かつ神々しいほどに描いたブルースの‘パワー’を立ち尽くしてみていた。そして、ハドソンリバー派の都市版というイメージがふくらんだ。
エイブリー(1883~1963)の絵は子どもが描いたような感じだが、‘貝殻と釣り人’は海の雰囲気がよくでており、魚を釣ったり貝殻さがしをして楽しんだ夏の日を思い出させてくれる。リアルに描くだけでは人の心は打たない。こういう思い出を乗せてくる絵は価値がある。
| 固定リンク
コメント