お楽しみ! 英一蝶の巨大涅槃図
2012年、東博で‘ボストン美 日本美術の至宝’が開催され、曾我蕭白の‘雲龍図’や‘平治物語絵巻 三条殿夜討巻’など心躍らせる傑作がどどーんとやって来た。まさにボストン美が集めた質の高い絵画や仏画、仏像を全部お見せしますという感じ。
今回はそのパート2、またまたすばらしい絵画とやきものが登場した。しかも、中国絵画のビッグなおまけまでついているのだからたまらない。
最も期待していたのが、はじめて里帰りするという英一蝶(1652~1724)の‘涅槃図’、噂通りの縦2.9m、横1.7mの巨大な涅槃図だった。この展示に合わせて行われた修理により画面全体ちょっと前に仕上がったように輝いている。これくらい色が鮮やかだと弟子たちと一緒に悲しみにくれている動物たちを一匹々確認していても疲れない。いいものをみた。一生の思い出になる。
喜多川歌麿(1753~1806)の‘三味線を弾く美人図’は2度目の来日。2006年にボストンが所蔵する肉筆画が公開されたとき北斎の‘鏡面美人図’などとともに目を楽しませてくれた。それから11年経ち、またみる機会に恵まれたが、来月、箱根の岡田美で見ることになっている‘吉原の花’(アメリカ ワズワース・アセーニアム美)の景気づけになる。
一蝶の涅槃図とともに楽しみにしていたのが、中国南宋時代の画家、陳容の描いた‘九龍図’。絵の存在は画集で知っていたが、横長の画面に九匹の龍がこれほど躍動的に描かれていたとは!200%KOされた。とくに吸い込まれたのが四匹目の龍(上)、胴体の一部が量感のある波の間を突き抜けている。これは参った。
陳容の龍とダイナミックに変化する波濤や渦巻きを目に焼き付けたので、あとでみた曾我蕭白(1730~1781)の‘風仙図屏風’にでてくる大きな渦巻きが激しく共振した。蕭白、やるじゃない、と声をかけたくなった。
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