美術館に乾杯! フリック・コレクション その二
ファン・エイクの‘聖母子、聖人と寄進者’(1441~43年)
訪問した美術館がいつまでも心に残る場合は関心のある画家の作品と強く結びつけられことが多い。フリック・コレクションですぐ出てくる名画というと、ヴェネツィア派の元祖ベリーニ(1434~1516)の‘聖フランチェスコ’。こんないい絵がさらっと飾ってあるのがこのコレクションのスゴイところ。
古典絵画を鑑賞しているとキリスト教徒でもないのにキリストや聖人の物語に理解が進むようになる。聖フランチェスコの話でも書物の情報だけだと人間くささが薄められる。でも、ベリーニの絵のお陰で聖フランチェスコの法悦がイメージできるようになった。
数多く描かれた‘受胎告知’ではフラ・アンジェリコが描いたものが忘れられないが、ここにあるフィリッポ・リッピ(1406~1469)の作品も心が深く鎮められる。すぐ近くのMETで宗教絵画パート1をみてフリックに移動してパート2を楽しんでいる感じ。
フリック・コレクションの質の高さをみせつけられるのがファン・エイク(1390~1441)、この北方絵画のビッグネームの作品を一点でも所蔵していれば美術館の価値が上がるといわれる。だから、‘聖母子、聖人と寄進者’も前のめりでみてしまう。
ヘラルト・ダーヴィット(1460~1523)はファン・エイクの画風を受け継ぎブリュージュで活躍した画家。右手のマグダラのマリアが涙を手で拭う姿にとても惹かれる。その背景に目をやると遠くにオランダの風車がみえる(拡大画像で)。
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