美術館に乾杯! NY ノイエギャラリー その二
オークションで史上最高額がついた美術品の話がときどきメデイアで報じられるが、これに最も敏感なのが美術市場に深くかかわっているコレクターだろうが、お金に縁がない美術好きでもおおいに興味を掻き立てられる。
2006年6月20日、クリムト(1862~1918)の描いた‘アデーレ・ブロッホバウアーの肖像Ⅰ’を手に入れたコレクターが支払った金額はなんと155億円!購入者は2001年NYにノイエギャラリーをオーフンさせた巨大化粧品会社、エスティ ローダーの会長(ユダヤ人)
この富豪はドイツやオーストリアの美術品を集めていたが、‘アデーレ’の獲得によりコレクションはさらにはくがつくことになった。この絵が個人の邸宅におさまったのであればクリムトファンの満足は下がったままだが、美術館に飾られるとなると、展示される場所がウィーンからNYに移っただけだから溜飲がさがる。
落ち着き先がNYというのは理想的かもしれない。ウィーンだと訪問するのはあと1回くらいが正直なところだが、NYはパリ同様、まだまだ出かけますよ、という思いなのでクリムトとの大接近は楽しみの大きな源泉になる。
ノイエギャラリーが所蔵するクリムトの風景画は‘アッター湖畔の森番の家’、‘カンマー城の公園’、そして‘高いポプラの木’。正方形のキャンバスに描かれた風景画を一枚でも多くみたいと願っているので、1点々味わい深い。
そして、シーレ(1890~1918)の‘緑樹に囲まれた町’と遭遇したのも収穫だった。この絵をみた5ヶ月後、よく似た絵がロンドンのオークションで24億円で落札されたという記事が新聞に載った。だから、ノイエギャラリーの‘緑樹’はいいめぐり会いだった。
ギャラリーの3階に展示されていたベックマンやキルヒナーは新装オープンの準備のためお目にかかれなかった。次はココシュカなどとともに表現主義も楽しめそう。
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