美術館に乾杯! ロダン美 その一
パリにある美術館はだいぶ回ったが、訪問したときからだいぶ時間がたっているところは記憶が薄れてきている。オルセーの裏手をしばらく進んだとろこにあるのがロダン美、出かけたのは1991年のことだから今は美術館に着くまでの風景はまったく忘れている。
すぐ横の名所観光のひとつアンヴァリッドはパスしてオーギュスト・ロダン(1840~1917)のかつての邸宅を選んだのやはり‘考える人’で有名なロダンをはずすわけにはいかないから。ここもマルモッタン美と同じく典型的な邸宅美。こういう展示空間がいいのは彫刻が日常生活の一コマにとけこんでいるので肩に力が入らず作品と向き合えるから。
どの部屋にあったかは覚えてないが代表作の‘接吻’の前には長くいた。これは愛というテーマにこだわり続けたロダン46歳のときの作品。また、‘フギット・アモール(愛は去りゆく)’にも思わず足がとまる。
ドキッとするほど緊張感があったのが‘神の御手’、大理石の塊から手がでてきたという感じの彫り方はインパクトがあり、ミケランジェロの彫刻をみる思い。ロダンはひょっとしてミケランジェロを相当意識していたのかもしれない。
首のない‘歩く男’を昨日紹介したジャコメッティの‘歩く男Ⅰ’と比較してみると同じテーマだが彫刻家の個性が天と地ほども離れていることがよくわかる。表現の仕方は時代が変わるとかくも変わってくる。人体にリアリティがあり生命力を力強く表現しているロダンに対し、ジャコメッティの男は孤独に苦しみとぼとぼと歩く姿。
彫刻というのはもっとパワーを感じさせるものだというイメージがあると、ジャコメッティの男はいかにも軽い。でも、その一歩々はずしりと重いことはじわっと伝わってくる。
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