予想を上回る‘ジャコメッティ展’!
‘森、広場、7人の人物とひとつの頭部’(1950年 マーグ財団美)
モデイリアーニと同じようにジャコメッティ(1901~1966)の彫刻もその作風がすぐイメージできる。彫られた人物に厚みはなく細く長い棒がすっと伸びている感じ。しかもその表面はごつごつしたしており、噴火した火山の溶岩が固まったかのよう。
それまで誰もみたことのないユニークな彫刻を生み出したジャコメッティの回顧展(6/14~9/4)が今、国立新美で開催されている。回顧展に遭遇するのは2度目。10年くらい前、神奈川県近美葉山で運よく多くの作品をみたので、今回は前のめりの鑑賞でもない。
彫刻作品は同じ形のものが複数制作されるから、会場には以前にみたかな、というものが多い。群像彫刻の‘森’は2年前あったチューリヒ美展でお目にかかった。お馴染みのジャコメッティを確認しながら進んだが、後半になるとはじめてみるインパクトのある作品が現れてきた。
‘犬’、‘猫’、9体が三角形に並ぶ‘ヴェネツィアの女’、そして圧巻なのがチェース・マンハッタン銀行の広場のためのモニュメントとしてつくられた‘歩く男Ⅰ’、‘大きな頭部’、‘大きな女性立像Ⅱ’の巨大3部作。ここにあげた4点はすべて南フランスにあるマーグ財団美が所蔵するものだが、流石ジャコメッティの世界3大コレクションといわれるだけのことはある。
これほど大きなジャコメッティの彫刻をみたことがないので、ちょっと興奮した。前半は和紙でつくった薄っぺらなひな人形を連想させるものが続き刺激に乏しかったが、見終わってみたら強く印象に残るジャコメッティ展になった。ミューズに感謝!
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