美術館に乾杯! プティ・パレ美 その一
美術好きでパリへ毎年のように行っておられる方ならルーブルやオルセーのある一角は自分の庭のようなものかもしれない。パリの街がそう思えるようになりたいが、そううまくはいかない。まだエコール・ド・パリの拠点、モンパルナスにもモネが何度も描いたサン・ラザール駅に足を踏み入れてない。
広いパリのなかで土地勘がまああるのはセーヌ川を挟んでルーヴル、オルセー、グラン・パレなどがある狭い範囲。グラン・パレは大きな回顧展などが行われるところ。過去、クールベ展(2008年)とモネ展(2010年)を大混雑のなかみた。HPで定点チェックをしてないが、今年は誰の回顧展だろうか。
このグラン・パレの向かい側にあるのが1900年パリ万博のフランス館として使われのちに市立の美術館になったプティ・パレ。幸運にも2回訪れる機会があった。
ここの最も充実したコレクションはクールベ(1819~1877年)、2008年のクールベ展に遭遇したのは一生の思い出だが、作品の搬入が一番楽なのはプティ・パレの4点だったにちがいない。はじめてプティ・パレに入館した1991年のときはどういわけかクールベの印象が薄く何点みたか覚えてない。ところが、回顧展をみたのでクールベはかなり身近な存在になった。回顧展はかくも大きな力をもっている。
2010年に再度訪問したときはめぐりあわせがよくグラン・パレになかった‘火事に駆けつける消防士’に遭遇することができた。この絵は縦3.88m、横5.8mの大作でクールベがレンブラントの‘夜警’を意識して描いたもの。確かに2点は似た雰囲気がある。
自画像をみるたびにクールベのイケメンぶりに感心する。若いころの自画像が5,6点あるがどれも所蔵したくなるいい絵。そして、女性の肖像も心を揺すぶる。ちょっと離れたところから息をのんでみているような気持にさせられるのが‘セーヌ河畔のお嬢さんたち’、回顧展でも大勢の人が緊張した面持ちでじっとみていた。
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