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2017.06.02

決定!? ‘モナ・リザ’物語

Img    ダ・ヴィンチの‘モナ・リザ’(1503~05年 ルーヴル美)

Img_0002      ‘モナ・リザ’のオリジナルカラー(コット氏制作)

Img_0001      モナ・リザの下に描かれた女性の肖像(コット氏再現)

Img_0003ティツィアーノの‘イッポーリト・デイ・メデイチの肖像’(1532~34年)

先月BSプレミアムで放送された‘4人のモナ・リザ 謎の微笑モデルの真実’のことで今頭がいっぱいになっている。長年ひっかかっていた‘モナ・リザ’のモデルの謎がようやく解けたような気がするのだが、、、果たして。

パリ在住の工学技士のパスカル・スコット氏がこれまでダヴィンチ(1452~1519)の‘モナ・リザ’を自身が開発したマルチスペクトルカメラを使って分析し、描かれた当時のオリジナルカラーを再現するなど大きな成果をあげてきたことは美術番組で何度か取り上げられてきた。

そして、2015年の12月には新しい分析として‘モナ・リザ’の下に描かれた本当のモナ・リザが発見されたという話もニュースで知っていた。今回の番組はこの詳細情報(放送時間90分)。われわれが知っているモナ・リザの絵の下にダ・ヴィンはデッサンを含めて3人描いていたことが画像分析によって浮かび上がってきた。こんなことはコット氏が登場するまでは誰もわからなかった。今は科学の力によって肖像画の制作過程がここまでつきとめられるのだから、スゴい時代に生きている。

番組のハイライトはモナ・リザのすぐ下に描かれていたのが本当のモナリザだったということ。その再現画像をみてピンとくるものがあった。それは‘モナ・リザ物語’が語られるときは必ずでてくるラファエロの模写。この模写ではモデルの目が大きく描かれているが、細い顔や顔の向きなどは再現画像とよく似ている。これをみせられると、ラファエロはこの絵をみて模写したのかなと思う。

ではこの再現されたモナ・リザは誰なのか、これは定説通りで2005年にドイツのハイデルベルク大学の図書館で見つかった資料にもでてくるフィレンツェの商人の妻、リザ・デル・ジョコンド。ダ・ヴィンチの父はリザが住んでいた家の向かいの家に住んでいたので顔見知りで、主人ともつきあいがあった。そのため、ダ・ヴィンチがリザの肖像を描くことになった。ここまでは、たいたい知っていた話なので、そう色めき立ちはしない。

話が俄然おもしろくなったのはそのあと、このリザを描き変えて現在のモナ・リザになったいきさつ。普通に考えると肖像画は出来上がると依頼主に渡されるはずだから、このリザの絵が商人の所有になる。が、どういう事情があったのかわからないがそうはならず、この肖像は描き変えられ、今の‘モナ・リザ’になった。

こうなったのはダ・ヴィンチが1513年ローマへ行った時のパトロン、ジュリアーノ・デ・メディチ(1479~1516)に肖像画を依頼されたから。この人物はロレンツォ豪華王の3男で時の教皇レオ10世の弟。ジュリアーノにはウルビーノ出身のパチフィカという女性との間にできた子どもがいた。

パチフィカは出産直後に亡くなったため、ジュリアーは子どもを養子として育てることにし‘イッポ―リト’と名付けた。メデイチ家で愛されたこのイッポ―リト(1511~1535)の肖像画をティツイアーノが描いていており、フィレンツェのピッティ宮殿に飾ってある。

‘モナ・リザ’のモデルの研究を文献にもとずいて長年研究している老先生はジュリアーノはダ・ヴィンチに寂しがる息子のために母親を描いてくれないかと頼んだのではないかと、推察している。

その証拠として、ダヴィンチが亡くなる2年前の1517年にフランスアンボワーズ郊外のクルー城を訪問した枢機卿の秘書が書いた日記のなかに‘モナ・リザ’の依頼者はジュリアーノと記されていることをあげている。ジュリアーノは1516年に亡くなったのでこの絵の受け取り手はいなくなった。で、ダヴィンチはこの絵を携えて同年フランスへ向かった。

メディチ家物語は熱心に読んだのでジュリアーノも庶子のイッポ―リトのことも知っていた。でも、この二人と‘モナリザ’の関係は思ってもみなかった。これまで‘モナリザについてしっくりこなかったことが二つあった。ひとつはどうしてリザの旦那である商人がこの肖像画を受けとらなかったのか、もうひとつはラファエロの模写がどういう関係になっているのか、これが今回の話ですっきりした。ちょっと興奮している。

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