二度目の‘雪村展’!
‘列子御風図’(室町時代 16世紀 アルカンシェール美術財団)
今月の美術館めぐりにでかけた4日は桜の開花で上野は大賑わいだった。昼頃には場所取りはほとんど終了している感じで、夜の大宴会を楽しみに待っている様子。ある一組の会場設置係りの人と話をしたら朝の4時にスタンバッタという。出足の早いこと。
東芸大美で行われている‘雪村展’(3/28~5/21)は前期と後期で作品が割り振られている。2002年にはじめて開かれた回顧展を山口県美でみているので、この度は一回でいいかなと思ったが、プラスαの作品が結構あるのでそうもいかなくなった。
前回展示替えで見逃したものがどれくらいリカバリーできるかで満足度の大きさが左右される。目安は5割とおいていたが、7割くらい達成したので機嫌がいい。その一枚が‘列子御風図’、風に乗る術を会得した列子は作り物の鳥の羽をつけなくてもヒューと飛んでいける。
強烈な風に衣装はちぎれんばかりに曲げられ膨れ上がり、列子の顎髭も頭髪の毛も風にひらひら流されている。この描写はみたことのない劇画チックなおもしろさ。雪村が‘風の画家’というイメージがこびりついたのはこの絵をみたから。今回本物をみてその思いが強くなった。なお展示は前期(3/28~4/23)のみ。
東芸大美が所蔵する色つきの‘竹鶴鶏・芙蓉鴨図’(前期)はやっとリカバリーできた。日本画というのはとにかく一度見逃すと次に見る機会がやってくるのは何年かかるかわからない。15年もかかてしまった。じつは期待した作品は2点あり、‘花鳥(柳・鷺)’は姿を見せてくれなかった。東芸大美で行う回顧展というのになぜこれを展示しないの?
すでにみている作品のなかで足が止まったのがメトロポリタンからやって来た‘山水図’とミネアポリス美蔵の‘花鳥図屏風’(ともに通期展示)。‘山水図’は以前バークコレクションだったもので、今はMETに寄贈されている。中央の建物と道がくの字のようになっている構図が秀逸。安定感のいい山水についみとれてしまう。
ここにもあそこにも鳥がいてたくさんの種類の鳥を放っている動物園の鳥小屋の前にいるような気分になるのが‘花鳥図屏風’、右隻には白鷺が何羽もいるが、もうひとつハッとする生き物がいる。みてのお楽しみ!
| 固定リンク
コメント