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2017.04.16

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その六

Img_0002     J.ボズの‘マラー’(パリ カルナヴァレ美)

Img     ダビィッドの‘マラーの死’(1793年)

Img_0001_2     ダビィッドの‘マルスとヴィーナス’(1824年)

Img_0003     アングルの‘アエネイスを聞く皇帝オーグスト’(1819年)

いい絵を一枚でも多くみたいと願っているのは描かれた美しい女性の姿や素晴らしい風景に心を打たれるからだが、もうひとつ絵画をみる効用に歴史上おこった事件や出来事を絵画によってイメージできるということもある。

ベルギー王立美には衝撃度としてはマグニチュード7くらいの絵画がある。それはダビィッド(1748~1825)が45歳のときに描いた‘マラーの死’、古典絵画に通じている人はこの暗殺されたマラーの姿は十字架から降ろされた死せるキリストを連想するにちがいない。ダビィッドのこの絵によってマラーは民衆のために命を落とした殉教者というイメージができあがった。

フランスの歴史を知らないで血だらけになって浴槽に横たわっている人物をみると、一見女性かと思うこともある。女性は風呂にはいるとき頭にシャワーキャップを被っているので、だが、よくみると男、フランス革命の後混乱期にあったパリで庶民に支持されたジャコバン派の指導者の一人、マラーである。

持病の皮膚病の治療のため浴槽に入って仕事をしていると、敵対する富裕層が支持するジロンド派側のコルデーという女性がジャコバン派のシンパを偽装して面会を求めてやってきた。そして、隙をみてコルデーはマラーを隠し持ったナイフで刺し殺した。

この暗殺事件の3ヶ月後、ダビィッドが依頼に応じて描いたのがこの絵。模写が2点存在し、その一つがルーヴルにあり、2005年横浜美で開催されたルーブル美展に出品された。オリジナルをブリュッセルでみたのもこの年。そのため、この絵は忘れられない一枚になった。

ナポレオンの失脚でフランスにおれなくなったダビィッドが身を寄せたのがベルギー。ギリシャ神話を題材にした‘マルスとヴィーナス’は亡くなる1年前の作品、戦いのシーンがでてくる歴史画とはちがい、花園的な雰囲気に包まれている。

ダビィッドの弟子アングル(1780~1867)の‘アエネイスを聞く皇帝オーグスト’は人物表現が彫刻作品を思わせるのが特徴。アングルのこんな絵はあまりみないので強く印象に残っている。

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