美術館に乾杯! ベルギー王立美 その五
レンブラントの‘ニコラス・ヴァン・バンベック’(1641年)
レンブラント(1606~1669)が最高傑作‘夜警’を描いたのは1642年、この1年前に仕上げたのがアムステルダムに住む富豪商人とその妻の肖像。バンベックはベルギー王立美にあり、妻の肖像はバッキンガム宮殿が所蔵している。
‘笑い絵’がトレードマークのハルス(1582~1666)、この‘山羊に曳かせた荷車と3人の子ども’も思わず頬が緩む。これはもともと大きな家族の肖像画だったのを切り離した右面のほう。ハルスは30代の後半に裕福なブルジョワからの注文を受けて散歩から帰る子どもと羊を描いた。笑う子どもをみるとこちらもつい笑いたくなる。しかも3人いるから仏頂面はできない。
ヤン・マセイス(?~1575)はクエンティン・マセイスの息子、アントワープの画家組合から親方の称号を得たが異端信仰を問われてアントワープを追放された。で、向かったのがイタリア、ここでヤンはマニエリスムに出会い妖艶な女性像を得意とするようになる。中央で腰をかけるスザンヌ、その輝く白い肌からは妖しい色香が発散されている。アントワープ王立美にはゾクッとする‘ユディット’がある。いつかみてみたい。
一時期イタリアのジェノヴァで制作活動をしていたヴァン・ダイク(1599~1641)は貴婦人となかなか美形の娘の肖像画を描いた。ヴァン・ダイクの女性画には二つのタイプがある。
ひとつは先日現役を引退したフィギュアスケートの浅田真央ちゃんのような卵形の丸顔で目がパッチリしたお人形さんのような女性、これは脚色性の強い定型化された女性像。もうひとつはこの肖像画にみられる素のままを描いた感じの女性。描き分けたのはヴァン・ダイクが商売上手だったから。
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