美術館に乾杯! ベルギー王立美 その七
ベルギー王立美に良い印象をもつのは古典絵画から近代絵画、さらにはオブジェなどもふくむ現代アートまで多くの作品がみられるから。その展示スタイルはNYのメトロポリタンと似ている。
印象派とポスト印象派で心に残るのはスーラ(1859~1891)の点描画‘セーヌ川のグランド・ジャット島’、いつも気にとめている画家がでてくると美術館に足を運んだ甲斐があるというもの。古典絵画ではブリューゲルがみれ、近代絵画でスーラ、ダリ、マグリット、デルヴォーが揃っていれば目にも力が入る。
ゴーギャン(1848~1903)は図録には3点載っているが、みたのは2点、ブルターニュに滞在していたころゴーギャンが描いたキリスト物語は大胆な色使いが特徴、ここで死せるキリストに使われているのは緑、同じ年にもう一枚‘黄色のキリスト’も仕上げている。
ココシュカ(1886~1980)が初期に手掛けた肖像画はまだ激しい筆致はみられず目鼻をはっきり描いているのでモデルの生気が感じられる。そして、おもしろいのは女性でも男性でも腕を曲げ手の指を開けていること。身振りをつけ個性を引き出そうとしている。この男性の肖像はいかにも役者らしい雰囲気がでている。
NYのMoMAにシャガール(1887~1985)の代表作‘村と私’があるが、その別ヴァージョンに遭遇するとは思ってもみなかった。サイズ的にはこちらはぐっと小さくMoMAの3分の1ほど。村人と向かいあっている乳牛の大きな顔の目の横に乳しぼりの様子が描かれている。こういう牛の体の一部にまたモチーフを描きこむというアイデアは並みの画家の頭からは浮かんでこない。
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