美術館に乾杯! ブダペスト国立美 その二
ブロンディーノの‘ヴィーナスとキューピッドと嫉妬’(1545年)
ティントレットの‘寝台からファウヌスを追いだすヘラクレス’(1585年)
海外の美術館をまわっているとときどき知らない画家のびっくりするほどいい絵と出くわすことがある。古典絵画ではロンドンのナショナルギャラリーでみたジョルダーノの‘フィネウスらを石に変えるペルセウス’が忘れられない一枚だが、ブダペストにも思わず立ち尽くす絵があった。
それはダ・ヴィンチがミラノに滞在していた時の弟子、ボルトラッフィオ(1467~1516)が描いた‘聖母子’。この絵はラファエロの‘エステルハージのマドンナ’とならぶ美術館の目玉。まるでダ・ヴィンチの絵をみているようで、高いスフマーの技術を駆使し安定した三角形構図で聖母子を見事に浮き上がらせている。
ややもすると敬遠されがちなマニエリスムの画家のなかにあって別格扱いなのがブロンディーノ(1503~1572)とパルミジャニーノ(1503~1540)。ブロンディーノというとナショナルギャラリーにある‘ヴィーナスとキューピッドのいるアレゴリー’をすぐ思い浮かべるが、ここにある‘ヴィーナスとキューピッドと嫉妬’はヴィーナスの美形ぶりが目に焼きついている。
ティントレット(1519~1594)の‘オンファレの寝台からファウヌスを追いだすヘラクレス’はお得意の渦巻構図を使った神話画。フィレンツェルネサンスのど真ん中にいるボッテイチェリも‘ヴィーナスの誕生’や‘春’などギリシャ神話を題材にした名画をたくさん描いたが、画面構成にはティントレットのような大胆な動きはみられない。
ティントレットが人物を描くと体が宙に舞ったり、一回転したりする。この絵でヘラクレスが愛したオンファルの寝台から突き落とされているのは森の神ファウヌス、この森の神はのこのことオンファルを求めてやってきたが、オンファルと服をとっかえたヘラクレスにキツイ一撃を食らってしまう。
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コメント
ボルトラッフィオの作品は、ブレラやルーヴルの作品しか馴染みがありませんが、ブダペストの作品はレオナルド作品かと見紛う雰囲気ですね。特に幼児キリストの顔は、師の作品にとても近い感じがします。
ブロンズィーノの『ヴィーナスとキューピッドと嫉妬』は有名作品ですが、ロンドンの作品と双壁の出来栄えですね。仮面や左端の陰にいる人物など複雑な寓意がありそうで、知りたくなります。
ティントレットのご紹介作品は初見でしたが、渦巻状の構図も青、赤、白の色彩も強い吸引力がありますね!
投稿: ケンスケ | 2017.02.27 22:09
to ケンスケさん
ボルトラッフィオの作品は数点しかみてませんが、
この聖母子はダ・ヴィンチ並みですばらしいです。
そして、ブロンデイーノがこれまたぐっときます。
マニエリスムの画家が登場するのですから、びっく
りします。
投稿: いづつや | 2017.02.28 00:32