美術館に乾杯! ドレスデン美 その四
デューラーの‘ベルンハルト・フォン・レーデンの肖像’(1521年)
ルネッサンスのビッグ3というとダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、では北方絵画は誰れ?もちろんファン・エイク(1390~1441)、ボス、そしてブリューゲル。
この6人の作品をずっと追っかけてきたが、コンプリートにだいぶ遅れをとっていたボスの大回顧展と昨年プラドで幸運にも遭遇することができたので今は満ち足りた気分になっている。
2011年、ベルギー・ブリュージュのグルーニング美でファン・エイクの重要ピースの一枚‘ファン・デル・パーレの聖母子’と対面し、その精緻な描写に200%KOされた。この絵のサイズと比べるとうんと小さいが人物の配置や衣装や武具の質感をリアルにとらえる技巧は同じレベルにあるのが‘ドレスデンの三連画’、宝石箱をみるような感じでみつめていた。本当にファン・エイクはスゴイ!
ウィーン美術史美同様、ここにもドイツが生んだ偉大な画家、デューラー(1471~1528)とクラーナハ(1472~1553)のいい肖像画がある。デューラーの男性像は目の前いる感じでこれほど画面いっぱいに描かれていると思わずじっとみてしまう。
一方、クラーナハの描いた夫妻の肖像は豪華な衣装や花冠が目を見張らせる。さらに、この画面から視線をそらさせないのが一緒に描かれている二匹の犬。犬は貞節のシンボル。クラーナハは商売っ気が大いにあった画家なのでこういう演出をして夫妻の愛の絆の深さを強調している。
この二人の巨匠以上に収穫だったのがホルバイン(1497~1543)の描いたフランスの貴族の肖像画。ホルバインが英国にいたとき描いた傑作‘大使たち’(ロンドンナショナルギャラリー)と同時期の作品であり、その内面までつかみとる感情描写にはほとほと感心させられる。
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コメント
このハインリヒ敬虔公夫妻像は旅行中に見たクラーナハの絵の中で最も印象に残った作品です。帰国してから上野のクラーナハ展で見た子のクラーナハのザクセン選帝侯アウグスト夫妻の像と比べて一層その感を強くしました。同じような大きさの絵なのに、子のクラーナハの絵と比べて迫力、人物の存在感が格段に優っていると思います。子の絵の方は近寄って見ると衣服の質感などはかなり上手く描いているのに、全体の印象は平面的で薄っぺらな絵と感じました。また、このアルブレヒト系ザクセン公はモデル夫妻も親子、それを描いた画家も親子ということで面白いと思います。
なお、ウィーン美術史美術館でご覧になったと思いますが、このドレスデンの敬虔公夫妻像の子供たちがザクセン公女ジビュレ、エミラ、シドニアの三姉妹の絵です。(あまり似ていないので異論もありますが。下記HPの1番目参照)
http://lucascranach.org/AT_KHM_GG877
http://lucascranach.org/gallery
このサイトは画像を拡大したり、X線画像を見たり、所蔵場所やテーマで検索したりと、なかなか楽しめるHPですから、いろいろ試してみてください。(特に拡大機能が素晴らしい。首飾りの細部などがよく分かります。2番目のHPのCollectionのCountriesのドイツを+にして、ドレスデンにチェックを入れると小さい画像の一覧が出てきて、ハインリヒ敬虔公夫妻像の絵もあります。)
他の画家で同じようなHPがあると嬉しいのですが、私が知っているのはこれだけです。
投稿: むろさん | 2017.02.06 11:27
to むろさん
ハインリヒ敬虔公夫妻の肖像は見事な感じですね。
こんなインパクトのある衣裳だと忘れません。
この夫妻の娘たちの絵も画面いっぱいにどんどん
どんと3人並んでいますから圧倒されます。
情報ありがとうございます。
投稿: いづつや | 2017.02.07 00:00