美術館に乾杯! ミュンヘン アルテ・ピナコテーク その八
本籍フランス、現住所イタリア・ローマと言われるプッサン(1594~1665)はベラスケス(1599~1660)、彫刻家ベルニーニ(1598~1680)、ヴァン・ダイク(1599~1641)らと同時代を生きた画家。でも、ベラスケスがカラヴァッジョ(1571~1610)の影響を受け、ヴァン・ダイクが師匠のルーベンス(1577~1640)から多くを学んだのに、ローマで制作を続けたプッサンは独自の画風を切り開いた。
描いたのはキリストや神話の物語や古代ローマの英雄など。プッサンがとても惹かれるのはこうした物語が野外の自然を背景に描かれているところ。そのため、そうした話にリアリティがありこういう場面だったんだと妙に納得がいく。‘キリスト哀悼’は人がこの世からいなくなる悲しさが深く表現されている。
ブーシェ(1703~1770)が描いたポンパドゥール夫人はルーブルにもあるが、アルテが所蔵するのはそれを上回る見事な肖像画。ポンパドゥール夫人はルイ15世の公認の愛人ではあるが、その高い教養や気品をそなえた美貌のため普通の愛人のイメージとは違い好感度が高い。きっと王にはもったいないすばらしい女性だったのだろう。
ブーシェにくらべるとフラゴナール(1732~1808)の女性画はコメデイタッチのエロチシズムにつつまれており、‘ベッドで犬と遊ぶ娘’は昔みたフランス映画にはこんなシーンがあった感じ。犬はキスされたり高く上にあげられたり愛撫されほうだい。
フリードリヒ(1774~1840)の‘シュレ―ジェルの山々は’アルテ・ピナコテークの前にあるノイエ・ピナコテークに展示されている作品。この風景画にはロマン派特有の神秘性が強く感じられじっとながめていると神妙な気持ちになる。ドイツのこんな自然を前にすると、フリードリヒの世界に近づけるかもしれない。ハンブルグ美などへでかけフリードリヒ巡りをすることを夢見ている。
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