美術館に乾杯! ブダペスト国立美 その一
古代ギリシャのコリント式の列柱がならぶブダペスト国立美の外観
海外の美術館をまわりとき所蔵作品の情報があるとないとでは鑑賞に注ぎ込むエネルギーの出方が違ってくる。はじめて訪問するハンガリーのブダペスト国立美がおおいに楽しめたのは週刊雑誌‘ラミューズ 世界の美術館’(1994年 講談社)のお陰。それはこのあと登場するプラハ美でも大変役に立った。
ハンガリーの首都ブダペストにはハンガリーの画家たちの作品を展示するハンガリー国立美(ブダ王宮内)とハンガリー以外の古典絵画や近代絵画を飾っているブダペスト国立美の2つの大きな美術館がある。ツアーで入館したのは古典絵画のほう。
収集品の中心をなすのはハンガリー史上最も権勢を極めた貴族エステルハージ家のコレクション、そのお宝のひとつがラファエロの(1483~1520)の‘エステルハージのマドンナ’、こういうラファエロの聖母がさらっとでてくるのがヨーロッパの美術館のすごいところ。
ラファエロが20代のはじめころ描いた詩人ピエトロ・ベンボの肖像画もなかなかいい絵だが、これは2013年西洋美で開催されたラファエロ展に登場した。
作品の数が30点たらずのヴェネツィア派、ジョルジョーネ(1476~1510)が最晩年に描いた‘若い男の肖像’も強く印象に残っている。ジョルジョーネの作品をみる機会は少ないから大きな収穫。
ジョルジョーネにくらべると長く生きたティツィアーノ(1485~1576)はブラン美術館では定番のように美術ファンの目を楽しませてくれるが、ここにもヴェネツィ総督の見事な肖像や何年か前に日本にやって来た‘聖母子と聖パウロ’などがある。
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コメント
中欧をご旅行されたのですね。私は一度ウィーンに行った際、プラハも、と思ったのですが、時間的な理由で断念しました。
ブダペストの国立西洋美術館は、派手な大作があるイメージではないのですが、ルネサンスから19世紀までかなり網羅的な蒐集ですね。希少価値のあるジョルジョーネまであるのは、すごいです。
充実度に比して日本ではあまり知られていない、ここの美術館を取り上げていただいて、楽しく拝見させていただいています!
さて日本での美術展で何点かブダペストから来た作品を見ましたことも記憶に残っていますが、美術関連の本やネットで、その収蔵品の写真・画像をたびたび見かけます。まさに珠玉のような名品がありますね。一度行ってみたいです。
有名な『エステルハージのマドンナ』は、未完成ですがラファエロの制作過程がわかり興味深いですね。
『ピエトロ・ベンボ』の肖像は国立西洋美術館での『ラファエロ展』で記憶に新しいですが、ラファエロの初期作品に共通する初々しさ、親しみやすさに溢れているように思います。
ティツィアーノのご紹介作品は、いつ日本に来たのでしょうか。見逃してしまいました!
投稿: ケンスケ | 2017.02.25 20:47
to ケンスケさん
ブダペスト国立美はラファエロが2点もあります
から、ウイーン美術史美、アルテピナコテーク、
ドレスデン美にもひけをとりません。
そして、ブリューゲルがありエル・グレコ、ゴヤ
も揃っているのですから一級の美術館です。
ティツィアーノの絵は7年くらいまえにあった
ハプスブルク家所蔵名品展に出品されました。
投稿: いづつや | 2017.02.25 23:59