美術館に乾杯! ブダペスト国立美 その七
フランス近代絵画において大きな存在だったのが写実主義のクールベ(1819~1877)、ブダペスト美にクールベのいい絵がある。古代オリンピックのレスリング競技を連想させる‘闘技者たち’、モデルになっているのは労働者階級に人気のあったプロの闘技者たち。
クールベは世相の出来事に対し鋭い観察眼をもっていたから、こうした鍛え上げた男たちの闘いに注目しくすん色合いで力強く描いた。大きな絵で思わずのけぞった。クールベをここでみれたのは想定外の収穫。
印象派はあまり多くないが、2点あったモネ(1840~1926)とセザンヌ(1839~1906)に足がとまった。‘三隻の漁船’はモネ26歳のときの作品。波辺の何気ない光景だが、俯瞰の視点からとらえられた漁船に海の香りが漂っている。構図のとりかたで絵が生き生きしてくることがよくわかる。
セザンヌの静物画にぞっこん惚れている。静物なら一にも二にもセザンヌという感じ。だから、目の前に現れたこの静物にガツンとやられた。白の布がテーブルから下に落ちているところがいいし、4つの果物の配置もしっかり決まっている。
マクシミリアン・レンツ(1860~1948)はウィーン出身の画家でクリムトが1897年に立ち上げたウィーン分離派の参加したメンバーのひとり。世紀末に描いた‘ひとつの世界’は装飾性に富むファンタジックな作品、美しい女性たちが自由に跳びはねる花園にひとりの紳士が迷いこむという不思議な世界が描かれている。
この絵は2013年宇都宮美で開かれたクリムト展に出展されていた。2度も縁があるとは思ってもみなかった。
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