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2017.02.22

美術館に乾杯! ブダペスト国立美 その三

Img_0003     クラーナハの‘聖ヨハネの首をもつサロメ’(1535年)

Img_0001     クラーナハの‘キリストと姦淫の女’(1532年)

Img     デューラーの‘青年の肖像’(1500~10年)

裸婦像は絵画の定番みたいなものだから、普通はすっと受け入れられる。ところが、クラーナハ(1472~1553)の裸婦像については好みがわかれるかもしれない。あの不自然にのびた細長い体はどうもしっくりこないという人もいれば、エロチシズムたっぷりでいいじゃないという美術ファンもいる。

でも、衣装をつけた女性をクラーナハが描くときは誰しも目を見張るかもしれない。その仕掛けは見た目のインパクトを強くするために飾り付けた装身具の数々。‘洗礼者聖ヨハネの首をもつサロメ’ではサロメは昔のハリウッド女優のように豪華な金属のアクセサリーや一際目立つ装飾いっぱいの帽子を身につけている。

このため、サロメが踊りのご褒美によってもらった洗礼者ヨハネの首のほうには視線はあまりいかず、もっぱら当時宮廷で流行ったファッションと人気があったころの女優の安達祐実をおもわせるキュートな顔のほうに関心がいく。同じ調子で描いたユディットはモデルが冷ややかな容姿のためぞくっとする怖さがあったが、このサロメにはそんな緊張感はみじんもない。

‘キリストと姦淫の女’で左に描かれた顎をつきだし右手に石をもっている男の顔をみているとある絵が目の前をよぎる。それはボスの‘エッケ・ホモ(この人を見よ)’(フランクフルト シュテーデル美)に登場するグロテスクな顔立ちの群衆。いかにも悪意丸出しの人物はほかの絵にもでてくる。ひょっとするとクラーナハはボスの絵をみたのかもしれない。

デューラー(1471~1528)はこの時代に描かれた肖像画としてはおそるべき技量を発揮している。ファン・エイクもそうだが、脚色なしで人物そのままという感じがするところがすごい。この作品は何年か前日本にやって来た。

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コメント

ウィーン美術史美術館だけでなく、プラハの国立美術館、そしてブダペストの国立西洋美術館は歴史的・地理的関係でしょうが、ドイツ本国の美術館同様、ドイツ絵画の宝庫の感があります。

クラーナハも、名品がこれらの美術館にありますね! つい最近終わった国立西洋美術館の『クラーナハ展』にもブダペストから来た『聖母子』がありましたが、二点のご紹介作品もいいですね!

『聖ヨハネの首を持つサロメ』は残酷な生首を別とすれば、なまめかしい当世風の美人画的作風。左上の風景も美しく、傑作だと思います!

デュ―ラ―の『青年の肖像』も観察眼の鋭さが際立つ肖像画の名品ですね。

投稿: ケンスケ | 2017.02.25 21:07

to ケンスケさん
ブダペストにあるクラーナハもいいですね。
サロメの衣裳と装身具のきらびやかさをみると
人々はどんな肖像画を喜ぶかをクラーナハは
よく知っていたのでしょうね。
この生感覚の装飾性を表現できるのは特別の
才能です。

投稿: いづつや | 2017.02.26 00:07

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