美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その五
ファン・エイクの‘ニッコロ・ルベルガーティ枢機卿’(1435年)
日本で開催される古典絵画展で海外の美術館からよくやって来るのはなんといってもダ・ヴィンチを中心としたイタリアのルネサンス絵画、そのため北方絵画のヤン・ファン・エイク(1390~1441)やウェイデン(1339~1464)、メムリンク(1425~1494)などはまずお目にかかれない。
こうした画家の傑作と出会えることもウィーン美術史美に惹きつけられる理由のひとつ。ファン・エイクは驚くばかりの細密描写にすいこまれる宗教画のほかにも肖像画にいいものがある。最も魅せられているのが‘ニッコロ・ルベルガーティ枢機卿’。15世紀の前半に描かれたものなのに古さがまったくなく、ヨーロッパを旅行しているとこうい顔つきの老人によくでくわす感じ。
ファン・エイクはルーヴルに‘宰相ロランの聖母’があるので比較的早い時期から馴染みがあるのに対し、ウェイデンやメムリンクについてはある時期まではそれほどのめりこんでなかった。今はその画力の高さに参っているが、ウイーンを訪問した2003年は二人に開眼する前、だから、‘キリストの磔刑’も‘トリプティック’も細部までじっくりみてないため印象が薄い。
ボス(14450~1516)への関心はずいぶん前から続いているので、2回みた‘十字架を担うキリスト’が飾られている部屋もよく覚えている。今年はロッテルダムのボイマンス美から日本にブリューゲルの‘バベルの塔’がやって来るが(4/18~7/2 東京都美)、嬉しいことにボスの絵も2点出品される。
こういう流れがでてくると次にウイーン美術史美展が企画されるときは‘十字架を担うキリスト’が含まれるということがあるかもしれない。勝手に妄想しすぎ?
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