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2017.01.29

美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その七

Img_0002     アンチンボルトの‘四季:夏’(1563年)

Img       アンチンボルトの‘四季:冬’(1563年)

Img_0001     アンチンボルトの‘四大元素:水’(1566年)

Img_0004     アンチンボルトの‘四季:火’(1566年)

ブリューゲル同様、ウィーンに足を運ばなければみれない特別な絵がもうひとつある。そう、元祖シュルレアリストといっていいアンチンボルド(1527~1593)が描いたへんてこな人物画。でも擬人像で‘四季’と‘四大元素’という名がつけられている。全部で4点あるが、このうち‘冬’と‘水’は10年くらい前?に行われた展覧会に出品された。

この2つの連作はアンチンボルトが宮廷画家として仕えた神聖ローマ皇帝マクシミリアン二世に捧げられたもの。‘四季’は‘夏’と‘冬’はウイーン美術史美にあるが、‘春’はマドリードのサン・フェルナンド美が所蔵し、そして‘秋’は失われた。サン・フェルナンド美は2011年に訪問したのにお目にかかれなかった。残念!

この‘四季’はルーヴルに4点揃っているが、これは10年後に描かれた第二ヴァージョン。ところが、こちらはルーヴルを訪問した時はいつもチェックリストに載せているのに一度もお目にかかったことがない。通常は展示せずときどき倉庫からだしてくる展示方法にタイミングが合わないのか、それともそもそも展示してないのか、依然ナゾのまま。‘四大元素’のほうは‘大地’と‘大気’はいまだに所在がわかっていない。

すでにご存じの方もおられると思うが、6月から西洋美で‘アンチンボルド展’(6/20~9/24)が行われる。今のところ出品作の情報は2点のみ、一体何点でてくるのだろうか。嬉しいことにそのひとつがマドリードで見逃した‘春’、もう一点は1572年に描かれた‘夏’の別ヴァージョン、アメリカのデンバー美からやってく来るようだ。

‘四季’と‘四大元素’に描かれた横顔はどこからこんな発想がでてくるのかと仰天するパーツで出来上がっている。最もみやすい‘夏’は果物が多く使われている。頬っぺたの桃?梨や赤のサクランボなど、一方、‘冬’は枯れた木を使いしわだらけの老人を描いている。

グロテスクなイメージが強いのが‘水’、顔は海の生き物で占領されている。すぐ目がいくのが頬のヒラメと胸のあたりにいるカニ。その横には大きなエビもいる。そして首にまいた真珠の下にはカメがみえる。

タイトルがすぐイメージできるのが‘火’、皇帝マクシミリアン二世の頭は燃え盛る炎につつまれている。こんなおもしろい絵をアンチンボルドはどこから思いついたのだろうか、ダリもマグリッドもこれをみたら裸足で逃げるにちがいない。

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コメント

ブリューゲル同様、アルチンボルドもウィーン美術史美術館ならでは、という蒐集で、大変な魅力ですね! 特に希少価値の高い画家の蒐集があると、もうたまりません。

ウィーンへ行った時、よく見たことを覚えているのは『火』と『水』です。『火』は色が鮮やかで強い吸引力がありましたが、今は『水』の方にさらに惹かれます。様々な生き物の目がユーモラスでもあり、見とれてしまいます。

なお国立西洋美術館の『アルチンボルド展』には、デンバー美術館の『夏』と『秋』も来日して、マドリードの『春』、ウィーンの『冬』と合わせて、四季のセットが揃うようです。デンバー美術館は、今後もまず足を運ぶことはなさそうなので、今回の出展は大変ありがたいです。

マドリードのサン・フェルナンド美術アカデミーの作品は、22年以上前に一度見たのですが、今回はもっとじっくり見たいです。

投稿: ケンスケ | 2017.02.01 22:03

to ケンスケさん
西洋美はアンチンボルドが今年の目玉ですね。
‘四季’が全部揃いますか!これは楽しみです。
こういう絵は顔のパーツを一点々を時間をかけ
てみようという気になりますね。

投稿: いづつや | 2017.02.02 01:33

ご存知かもしれませんが、今年のアルチンボルド展にはスウェーデンから『司書』、『コック』、『法律家』もやってくるようです。

スウェーデンにアルチンボルドの作品が何点もあるのは、ハプスブルク家がチェコのプラハ城(当時ハプスブルク領)に所蔵していた400点以上もの絵画コレクションをスウェーデン軍が略奪したからだそうですが、現在のウィーン美術史美術館としては大損失ですね。

なお大阪市立美術館準備室の『ウェイタ―』も今年のアルチンボルド展に出展されるようです。

投稿: ケンスケ | 2017.02.09 20:32

to ケンスケさん
アンチンボルドの情報ありがとうございます。
スエーデンから出品される3点のうち‘司書’は
Bunkamuraでみましたが、‘コック’と‘法律家’
もやって来ますか! 期待感が高まりますね。

当時スエーデン軍は強かったですから、敗けた
ハプスブルク家は意気消沈だったでしょうね。

投稿: いづつや | 2017.02.09 23:50

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