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2017.01.31

美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その九

Img_0002     ベラスケスの‘王女マルガリータ(3歳頃)’(1654年)

Img_0001     フェルメールの‘絵画芸術’(1666年)

Img_0003     レンブラントの‘読書する息子ティトゥス’(1657年)

Img     チェッリーニの‘サリエラ’(1543年)

マドリードのプラド美へ行くと誰もがまず目指すのがベラスケス(1599~1660)の傑作‘ラス・メニーナス’、この絵の主役をつとめる王女マルガリータの可愛い姿をみるとわざわざスペインまで足を運んだ甲斐があったなとつくづく思う。

このときマルガリータは5歳。ベラスケスがマルガリータをはじめて描いたのは王女が3歳のとき。この絵がウィーン美術史美にある。ふっくらした幼な顔のマルガリータも本当にカワイイ。日本で行われたウイーン美術史美展はこれまで4回くらい体験したが、マルガリータというとやって来るのは8歳のとき描かれた‘青衣の王女マルガリータ’ばかり、確か2度みた。そして、6,7年くらい前ようやく3歳のマルガリータが登場した。まさに真打のお披露目という感じだった。

人気のフェルメール(1632~1675)の‘絵画芸術’はブリューゲル同様、美術館のお宝中のお宝。日本にお出ましいただきたいが難しそう。以前来日のうわさがあったが、コンデイションが懸念され実現しなかった。その状況は今も変わってない。

レンブラントは4、5点みた。自画像2点と母親と息子のティトゥスを描いたもの。女性的な雰囲気をもつティトゥスは日本に展示されたような気がする。

2006年の1月、盗難にあったウイーン美術史美蔵の金細工‘サリエラ’が発見されたという記事が新聞に載った。2003年この美術館を訪問したとき、フィレンツェで活躍した彫刻家チェッリーニ(1500~1571)がフランソワ1世のためにつくった金の塩容れをみようと意気込んでいた。ところが、でかけた8月の3ケ月前に盗まれていた。その情報はまったく知らなかったのでガックリ。

今は彫刻や工芸などが飾られている部屋でみれるはず。この‘サリエラ’をみないとウィーン美術史美は済みマークとはならない。ミューズのお力を借りてなんとかこの目でと思っている。

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美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その八

Img_0001     ルーベンスの‘ヴィーナスの祝祭’(1637年)

Img         ルーベンスの‘毛皮の女’(1638年)

Img_0002    ダイクの‘プファルツ選帝侯公子ルプレヒト’(1632年)

Img_0003         スプレンヘルの‘ヴィーナスとアドニス’(1597年)

若い頃、ジュネーブに住んでいた。当時は今ほど美術にのめりこんでなかったが、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークやウィーン美術史美に飾ってあった名画との出会いは大きな感動をもたらしてくれた。強く印象に残っている画家が3人いる。デューラー、ブリューゲル、そしてルーベンス(1577~1640)。いずれも展示されている作品の数が圧倒的に多い。

ルーベンスの画才に圧倒されるのは大作を目にしたとき。大きなスペースに登場人物を躍動的に描きドラマ性に満ちた画面に仕上げていくルーベンスの技量は神業的なところがある。縦2.2m、横3.5mある‘ヴィーナスの祝祭’は代表作のひとつで、生命賛歌をバロックという新しい様式で表現した傑作中の傑作。

画面の左下に2番目の妻、若いエレーヌ・フールマンを描きこんでいるが、ここには‘毛皮の女’というタイトルをつけエレーヌを半裸の姿で描いたものもある。これほど若くて美しければどんな風に仕上がってもヴィーナスのイメージが生まれてくる。天はルーベンスの芸術を完成させるためにエレーヌをルーベンスに引き合わせたのかもしれない。

ルーベンスをみたらダイク(1599~1641)はどこにあるの?となる。幸いここにはダイクのいい絵も揃えている。お気に入りのひとつが美男の‘ブファレツ選帝侯公子ブレヒト’、ダイクは脚色していい肖像画にすることがあるから実際はこれほどかっこよくはないだろう。

スプランヘル(1546~1611)がルドルフ2世の依頼で制作したちょっとマニエリスム風の‘ヴィーナスとアドニス’はまだ縁がない。8年前‘芸術新潮’で特集されたヴィーナスでこの絵のことを知り、関心がいくようになった。ウィーンを再訪することがあったらしっかりみたい。

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2017.01.29

美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その七

Img_0002     アンチンボルトの‘四季:夏’(1563年)

Img       アンチンボルトの‘四季:冬’(1563年)

Img_0001     アンチンボルトの‘四大元素:水’(1566年)

Img_0004     アンチンボルトの‘四季:火’(1566年)

ブリューゲル同様、ウィーンに足を運ばなければみれない特別な絵がもうひとつある。そう、元祖シュルレアリストといっていいアンチンボルド(1527~1593)が描いたへんてこな人物画。でも擬人像で‘四季’と‘四大元素’という名がつけられている。全部で4点あるが、このうち‘冬’と‘水’は10年くらい前?に行われた展覧会に出品された。

この2つの連作はアンチンボルトが宮廷画家として仕えた神聖ローマ皇帝マクシミリアン二世に捧げられたもの。‘四季’は‘夏’と‘冬’はウイーン美術史美にあるが、‘春’はマドリードのサン・フェルナンド美が所蔵し、そして‘秋’は失われた。サン・フェルナンド美は2011年に訪問したのにお目にかかれなかった。残念!

この‘四季’はルーヴルに4点揃っているが、これは10年後に描かれた第二ヴァージョン。ところが、こちらはルーヴルを訪問した時はいつもチェックリストに載せているのに一度もお目にかかったことがない。通常は展示せずときどき倉庫からだしてくる展示方法にタイミングが合わないのか、それともそもそも展示してないのか、依然ナゾのまま。‘四大元素’のほうは‘大地’と‘大気’はいまだに所在がわかっていない。

すでにご存じの方もおられると思うが、6月から西洋美で‘アンチンボルド展’(6/20~9/24)が行われる。今のところ出品作の情報は2点のみ、一体何点でてくるのだろうか。嬉しいことにそのひとつがマドリードで見逃した‘春’、もう一点は1572年に描かれた‘夏’の別ヴァージョン、アメリカのデンバー美からやってく来るようだ。

‘四季’と‘四大元素’に描かれた横顔はどこからこんな発想がでてくるのかと仰天するパーツで出来上がっている。最もみやすい‘夏’は果物が多く使われている。頬っぺたの桃?梨や赤のサクランボなど、一方、‘冬’は枯れた木を使いしわだらけの老人を描いている。

グロテスクなイメージが強いのが‘水’、顔は海の生き物で占領されている。すぐ目がいくのが頬のヒラメと胸のあたりにいるカニ。その横には大きなエビもいる。そして首にまいた真珠の下にはカメがみえる。

タイトルがすぐイメージできるのが‘火’、皇帝マクシミリアン二世の頭は燃え盛る炎につつまれている。こんなおもしろい絵をアンチンボルドはどこから思いついたのだろうか、ダリもマグリッドもこれをみたら裸足で逃げるにちがいない。

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2017.01.28

美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その六

Img     ブリューゲルの‘バベルの塔’(1563年)

Img_0003     ブリューゲルの‘農民の婚宴’(1568年)

Img_0001     ブリューゲルの‘謝肉祭と四旬節の喧嘩’(1559年)

Img_0002     ブリューゲルの‘雪中の狩人’(1565年)

ウィーン美術史美のお楽しみはなんといってもブリューゲル(1525~1569)、ここには12点もある。だから、これだけの数を一度にみると‘ブリューゲルみたぞ!’という気分になる。マドリードのプラドへ行けばボスに会え、ウィーンへ足を運ぶとブリューゲルの世界が堪能できる。これだから美術館巡りはやめられない。

過去二回ブリューゲルの部屋に入ったが、12点全部飾ってあったか定かでない。2003年のとき図録をチェックしたら、これみた?というのもあった。たぶん、常時全点はでてないように思う。

そのみてない絵は‘サウルの自殺’だったのだが、2011年オランダ・ベルギーを旅行したときブリュージュにあるグルーニング美で突然目の前に現れた。嬉しいことにここでウイーン美術史美名品展を開催しており、ブリューゲル、ボス、ファンエイクなどが出品されていた。お陰でリカバリーが叶った。

4月、東京都美にロッテルダムのボイマンス美が所蔵する‘バベルの塔’がやって来るが、それを存分に楽しむためにも今からウィーンにあるバベルをしっかりレビューしておくつもり。こういうとき役に立つのが2013年3月号でブリューゲルを特集した‘芸術新潮’、拡大図版が載っているのでこの巨大な塔がどんな風に建てられているのかがよくわかる。

農民画家、ブリューゲルの描く風俗画はじつに楽しい。風俗画がとりわけ好きなのはブリューゲルの絵を味わったからかもしれない。‘農民の婚宴’は画集でなじみのある絵なので35年前はじめてみたときは感激した。おもしろかったのはテーブルの中央で顔を赤らめて座っている花嫁さん。‘私、幸せ絶頂だけどあまりはじけるわけにはいかないワ’、という感じ。そして、視線が向かうのが丸皿を板の上に乗せて運ぶ二人の男、この動きのある描写が忘れられない。

‘謝肉祭と四旬節の喧嘩’はじっくりみると時間がいくらあっても足りない。こういう宗教行事に精通しているわけでないが、絵画をみることで当時のフランドル地方の農民たちの暮らしのひとコマを垣間見ることができる。

ひいきの日本画家、加山又造が参考にした‘雪中の狩人’、西洋絵画で雪の光景を描いたものというとこの絵とモネの‘かささぎ’をすぐ思い浮かべる。感心するのは狩りから帰ってきた狩人と猟犬を手前の高台に配置する構図。男たちのほっとする気分が伝わってくるよう。でも、わずかな獲物しかなかったので足取りは重そう。

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2017.01.27

美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その五

Img_0001  ファン・エイクの‘ニッコロ・ルベルガーティ枢機卿’(1435年)

Img_0002    ウェイデンの‘キリスト磔刑’(1440年)

Img_0003     メムリンクの‘トリプティック(三連祭壇画)’(1440年)

Img       ボスの‘十字架を担うキリスト’(1490年)

日本で開催される古典絵画展で海外の美術館からよくやって来るのはなんといってもダ・ヴィンチを中心としたイタリアのルネサンス絵画、そのため北方絵画のヤン・ファン・エイク(1390~1441)やウェイデン(1339~1464)、メムリンク(1425~1494)などはまずお目にかかれない。

こうした画家の傑作と出会えることもウィーン美術史美に惹きつけられる理由のひとつ。ファン・エイクは驚くばかりの細密描写にすいこまれる宗教画のほかにも肖像画にいいものがある。最も魅せられているのが‘ニッコロ・ルベルガーティ枢機卿’。15世紀の前半に描かれたものなのに古さがまったくなく、ヨーロッパを旅行しているとこうい顔つきの老人によくでくわす感じ。

ファン・エイクはルーヴルに‘宰相ロランの聖母’があるので比較的早い時期から馴染みがあるのに対し、ウェイデンやメムリンクについてはある時期まではそれほどのめりこんでなかった。今はその画力の高さに参っているが、ウイーンを訪問した2003年は二人に開眼する前、だから、‘キリストの磔刑’も‘トリプティック’も細部までじっくりみてないため印象が薄い。

ボス(14450~1516)への関心はずいぶん前から続いているので、2回みた‘十字架を担うキリスト’が飾られている部屋もよく覚えている。今年はロッテルダムのボイマンス美から日本にブリューゲルの‘バベルの塔’がやって来るが(4/18~7/2 東京都美)、嬉しいことにボスの絵も2点出品される。

こういう流れがでてくると次にウイーン美術史美展が企画されるときは‘十字架を担うキリスト’が含まれるということがあるかもしれない。勝手に妄想しすぎ?

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2017.01.26

美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その四

Img     デューラーの‘若いヴェネツィア女性の肖像’(1505年)

Img_0001     デューラーの‘三位一体の礼拝’(1511年)

Img_0003     クラーナハの‘フリードリヒ賢明公の鹿狩り’(1529年)

Img_0002     アルトドルファーの‘キリストの復活’(1518年)

7,8年前ウィーン美術史美とブダペスト国立西洋美にあるコレクションが一緒に公開されたとき、デューラー(1471~1528)がどちらからも出品されたが、期待していたものとちがっていた。

デューラーはヨーロッパにある大きな美術館、例えばルーヴル、プラド、ウフィッツイなどでいい絵をみることができるが一番充実したコレクションはウィーン美術史美、美術館が作成した図録(日本語版)の表紙に使われているのが‘若いヴェネツィア女性の肖像’、ここには色彩に絵の生命を求めたヴェネツィア派に学んだ成果がでており、現実感のある女性がみずみずしく描かれている。

数多く展示されていたデューラーのなかで最も心を打ったのが祭壇画の‘三位一体の礼拝’、三位一体を讃えている聖人と使徒が身に着けている衣装の赤と黄金色がまぶしいこと!デューラーというと自画像とかアダムとイブのイメージが強かったので目の前に現れたこの壮麗な宗教風景を言葉を失ってみていた。

クラーナハ(1472~1553)も印象に強く残る画家、西洋美に出品された‘ユディット’のもつ衝撃波は長いこと振動し続けているが、風俗画として楽しめる‘フリードリヒ賢明公の鹿狩り’もしっかり記憶されている。
そして、‘ロトとその娘たち’に描かれた女性の愛嬌のある容姿にも魅了されている。

アルトドルファー(1480~1538)の作品はミュンヘンのアルテ・ピナコテークにある‘アレクサンドロス大王の戦い’がすぐ思い浮かぶだけで、ウィーン美術史美の‘キリストの復活’をしかとみたという実感がない。次回のために用意している必見リストの上位に載せている。

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2017.01.25

美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その三

Img     カラヴァッジョの‘ロザリオの聖母’(1607年)

Img_0003     コルトーナの‘ハガルの帰還’(1637年)

Img_0002     jジョルダーノの‘大天使ミカエルと堕天使’(1655年)

Img_0001    プッサンの‘ティトゥス皇帝のエルサレム征服’(1638年)

海外の大美術館にある作品をいろんな角度から比較してみるのもおもしろい。例えば、西洋絵画で人気抜群のカラヴァッジョとフェルメールの作品を所蔵しているのはどの美術館か?二人が好きでたまらないという人はすぐ頭に浮かぶだろう。

4館ある。ルーヴル、ロンドンナショナルギャラリー、メトロポリタン、そしてウィーン美術史美。ウィーン美術史美にはカラヴァッジョ(1571~1610)が3点、フェルメールが1点ある。どの絵もまだ日本にやって来たことがない。何年か前フェルメールの‘画家のアトリエ’が出品されるうわさがあったが、流れた。

3点あるカラヴァッジョのなかで見ごたえのあるのは‘ロザリオの聖母’、この絵は自慢のコレクションなので回顧展にもあまりでてこない。2010年ローマであった大カラヴァッジョ展では残念ながらお目にかかれなかった。まだ2回しか対面できておらず、最後にみたのは14年前のこと。もう一度じっくりみたい。

ローマバロックの有名な建築家として活躍したコルトーナ(1596~1705)は絵画の腕前も一流だった。ここにある‘ハガルの帰還’は真ん中に立つアブラハムの着ている衣装の赤が強烈。コルトーナの絵はみる機会が少ないのでよく記憶されている。

ナポリ出身のジョルダーノ(1634~1705)というと、ロンドンのナショナルギャラリーのある悪党たちをやっつける英雄ペルセウスを描いた大作とこの中国のサーカス団の演技を連想させる‘大天使ミカエルと堕天使’がすぐでてくる。感心させられるのはドラマチックな構図のとり方。これは一度日本にやって来たかもしれない?

プッサン(1594~1665)が得意とした歴史画のおかげで古代ローマの戦いにも知識が深まった。どの絵も兵士の激しい戦いぶりに目が点になるがこの‘ティトウス皇帝のエルサレム征服’では制圧される側の兵たちの悲惨な状況が強く胸に突き刺さる。

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2017.01.24

美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その二

Img     ティントレットの‘水浴するスザンナ’(1556年)

Img_0002     ジョルジョーネの‘若い婦人(ラウラ)’(1506年)

Img_0001     ティツィアーノの‘ヴィオランテの肖像’(1518年)

Img_0004     ティツィアーノの‘刺客’(1520年)

ウイーン美術史美にあるヴェネツィア派で最も魅了された絵はティントレット(1519~1594)の描いた‘水浴のスザンナ’、この絵のサプライズはスザンヌの肌が左からの光に照らされて発光体のように光っていたこと。
その輝きはまるで印象派のモネの光の表現のようだった。これには200%KOされた。

ジョルジョーネ(1476~1510)の作品は少ないのでどこの美術館でお目にかかったかがすらすらとでてくる。最も見ごたえのあるのがドレスデン美にある‘眠れるヴィーナス’、そしてアカデミア美の‘嵐’とリアルすぎる人物描写に息をのむ‘老婆’も目に焼き付いている。

ウイーン美術史美には小品の‘若い婦人’と‘3人の哲学者’がある。‘若い婦人’で驚かされるのは‘老婆’同様、顔の表情が生感覚なところ。だから、ふと声をかけたくなる。描かれたのは16世紀のはじめなのに近代の肖像画のような雰囲気が漂っており、モデルとの間の心理的な壁がまったく感じられない。ダ・ヴィンチやラファエロの描く人物にはこれほどの気軽さはない。

これと同じような目で見てしまうのがティツィアーノ(1485~1576)の2点、‘ヴィオランテの肖像’はルノワールの女性画の前にいるような感じになるし、ただならぬ緊張感が画面を支配している‘刺客’はどこかラヴァッジョの絵に通じるものがある。ヴェネツィア派のこの圧倒的なリアリズムにカラヴァッジョは強く影響を受けている。

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2017.01.23

美術館に乾杯! ウィーン美術史美 その一

Img     ラファエロの‘草原の聖母’(1506年)

Img_0001     ペルジーノの‘キリストの洗礼’(1500年)

Img_0002 コレッジョの‘ゼウスとイオ’(左)‘ガニュメデスの誘拐’(右)(1530年)

Img_0004     パルミジャニーノの‘弓を削るキューピッド’(1534年)
 

海外旅行の楽しい思い出も時が経つにつれてその記憶が薄れてくる。訪問した街が何度も出かけた街とはちがって回数が少ないと、ときどきアルバムなどをひっくり返してみていないと街の光景の印象がだんだん消えていく。

2003年に行ったウイーンの場合、観光名所の位置関係はもうすっかり忘れてしまったが、おもしろいことにハプスブルク家代々の珠玉の絵画コレクションがみられるウィーン美術史美の展示室の流れはまだアバウトに記憶している。

ここにある古典絵画で最も魅了されるのはラファエロ(1483~1520)の傑作‘草原の聖母’、ルーヴルにある‘美しき女庭師’、ウフィッツイにある‘ひわの聖母’とともにラファエロの聖母の定番。流石、ハプスブルク家の芸術を愛する心は高いところにある。

ラファエロの師匠ペルジーノ(1448~1523)の‘キリストの洗礼’も忘れられない一枚、このモチーフで描かれたものではウフィッツイにあるヴェロッキオの絵よりこちらのほうが川の流れが明快で人物描写がやさしい感じ。この女性的な雰囲気はラファエロに受け継がれていく。

コレッジョ(1489~1534)の‘ゼウスとイオ’を35年前はじめてみたときはドキッとした。裸婦の体を触っている得体のしれない物体は一体何なの?ギリシャ神話の話では雲に変身したゼウスが好きになったイオと浮気の真っ最中ということがわかったのはだいぶ後のこと。ゼウスは美女だけに関心があるのではなく可愛い男の子にもちょっかいをだす。なんと鷲に姿を変えてガニュメデスをさらっていく。

パルミジャニーノ(1503~1540)はこの美術館の自慢のコレクションのひとつ。4,5点みたがお気に入りは‘弓を削るキューピッド’、キューピッドのこちらに視線をむけるきりっとした目だけでなく、キューピッドの両足の間にふざけあっている二人のプットーを配置する構図が強く印象に残る。

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2017.01.22

祝 稀勢の里 初優勝 横綱昇進!

Img    結びの一番で白鵬をすくい投げで破った稀勢の里

Img_0001   念願の優勝 そして横綱昇進へ

大相撲1月場所は昨日初優勝を決めた大関稀勢の里が千秋楽も白鵬をすくい投げで破り優勝に花をそえた。これで成績は14勝1敗となり場所後の横綱昇進が決定した。拍手々!

ここ一番に弱かった稀勢の里がようやく優勝してくれた。初日からずっと見ていたが、中盤に入るといつものプレッシャーに弱い面がでて敗けが続いていた琴奨菊にいいところなく押し出されてしまった。折角前の日に白鵬が敗け優勝争いのトップに立ったというのにすぐ並ばれそうになった。ところが、今場所は稀勢の里にツキがあった。同じ部屋の高安が白鵬を堂々の相撲で2敗目をつけてくれた。

白鵬は後半戦に体力が落ち思わぬ力士に苦杯をなめ、日馬富士、先場所優勝の鶴竜の休場、さらに豪栄道まで遠藤戦で膝を痛め休場となると優勝するのは稀勢の里のほかに誰がいるのかという状況。だから、稀勢の里の優勝をみんなでお膳立てしてくれたようなもの。

そして、今場所は精神的に一皮むけたように落ち着いていた。その冷静さは今日の白鵬との一戦にもでた。白鵬の一気の寄りを必死でこらえうまく体をかわしてすくい投げで仕留めた。本当に強かった。この一番で稀勢の里の横綱が確定した。

日本人の横綱が誕生するのは19年ぶり。頂点にたったらもうプレッシャーから解放される。だから、稀勢の里はさらに精進を重ねれば強い横綱になれる。かんばって期待にこたえてもらいたい。

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2017.01.21

関心の高い‘ラスコー展’!

Img     フランスのドルドーニュ県にある‘ラスコー洞窟’(2万年前)

Img_0001     大きな黒い牝ウシ

Img_0004     背中合わせのバイソン

Img_0002     バイソンとヒト

上野の国立科学博で開催されている‘ラスコー展’(~2/19)をみてきた。フランスのラスコー洞窟に描かれた動物の絵は世界史の教科書に載っているのでずいぶん昔から知っている。洞窟を訪ねてじかに動物の壁画をみたいと思っていたが、ある時現地を旅行した人から今は中に入れなくて近くに建てられた建物で現場を再現した壁画をみるだけということを聞いていたので旅行の話はなくなった。

今回その壁画が日本でも再現されることになった。これは見逃すわけにはいかない。どんな動物が描かれているかを知り資料価値の高い図録を手に入れようと意気込んで入館した。

入るといきなり現代のフランス人と変わらないクロマニョン人の母子が迎えてくれた。クロマニョン人はネアンデルタール人の後に登場したホモ・サピエンスだからわれわれと似ていてもおかしくはない。洞窟全体の構造を頭に入れた後実物大の壁画がある部屋に進む。5つの壁画が再現されていた。

最もインパクトがある動物が大きな黒い牝ウシ。ボリューム感のある堂々としたウシ、ほかには背中合わせのバイソンとか鹿が泳ぐ場面、ヒトに槍で腹をつかれたバイソンなどが描かれていた。人類の祖先たちがこのように生きていく中で目にした動物たちを洞窟の壁に描くというのは声を出して歌うのと同じ自然な表現行為かもしれない。

人類史への関心はだんだん高まっており、こういう展覧会は多くの情報を手に入れる絶好の機会。図録をじっくり読むことにしている。

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2017.01.20

サプライズ! 東京都庭園美の‘並河靖之展’

Img     ‘四季花鳥図花瓶’(1899年 三の丸尚蔵館)

Img_0001     ‘桜蝶図平皿’(明治中期 京近美)

Img_0002     ‘龍文瓢形花瓶’(明治中期 ギャルリー・グリシーヌ)

Img_0003     ‘藤草花文花瓶’(明治後期 並河靖之七宝記念館)

18日の美術館巡りは4館足を運んだが、最後に寄ったのが東京都庭園美。新館ができてもう3年くらい?経っているがなかなか来る機会がなかった。久しぶりの訪問なのでJR目黒駅からの道順がちょっと不安だったが、歩き出すとだんだん美術館までのイメージが湧いてきた。

ここで今行われているのは七宝界の神様みたいな存在だった並河靖之(なみかわやすゆき 1845~1927)の回顧展(1/14~4/9)。この展覧会の情報が入ってきたのはほんの一ヶ月前、まさか並河靖之展に遭遇するとは思ってもいなかった。

今回でているのは全部で93点、名品がすべて集まったという感じ。日本だけでなくイギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート博からもたくさん出品されているのだからたまらない。おそらく30年に一度クラスの回顧展、だから一点々噛みしめながらみた。

まず入ってすぐの部屋に最高傑作‘四季花鳥図花瓶’が飾ってある。黒地に映える緑の紅葉と鶯は何度みても感動する。並河の繊細な感性が漆黒の背景というのがこれほど美を演出してくれることを気づかせてくれた。そして円形の‘桜蝶図平皿’でも緑の地が強く印象に残る。中心で浮き上がる蝶はその精緻な描写からすると蛾のイメージに近い。

はじめてお目にかかったもので思わず足がとまったのが‘龍文瓢形花瓶’、同じ龍をモチーフにした花瓶がもう一点あったが、並河の七宝というと花鳥図を連想するのでこの龍の出現には驚いた。こういう異色の作品があったとは!

藤を描いたものが7点あった。そのなかでぐっと曳きこまれたのが‘藤草花文花瓶’、描かれた垂れ下がる紫と白の藤の花と長い花瓶の形がぴったり合っている。じっとみていると昨年12月根津美でみた応挙の藤の絵が重なってきた。

なお、この展覧会はこのあと二つの美術館を巡回する。
・伊丹市立美 9/9~10/22
・パラミタミュージアム(三重県) 10/28~12/25

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2017.01.19

待望の‘春日大社展’!

Img_0003     ‘鹿島立神影図’(南北朝~室町時代 14~15世紀)

Img_0001     国宝‘金地螺鈿毛抜形太刀’(平安時代 12世紀)

Img_0002     雀を追う猫の螺鈿装飾

Img     国宝‘赤糸威大鎧’(鎌倉時代 13世紀)

今年の美術館巡りは‘春日大社展’(1/17~3/12)がはじまった東博からスタート。春日大社のお宝は国宝追っかけで最後に残っていた大事なピース。ここにすごい美術品があることは1998年に発行された‘週刊朝日百科 日本の国宝 奈良・春日大社’で知ってはいたもののこれまで春日大社にとんと縁がなく、漆芸品の傑作や太刀などは遠い存在だった。

そのお宝が今回どっとでてくるのだからたまらない。お馴染みの‘鹿島立神影図’の神鹿に軽くご挨拶をして、お目当ての国宝へと急いだ。ありました、ありました!昨年の末NHKの番組‘よみがえる黄金の太刀~平安の名宝に秘められた技’に登場した‘金地螺鈿毛抜形太刀’。

展覧会の2日目の午前中だから人の数も少なくゆったりみれる。単眼鏡で螺鈿細工のスゴ技をじっくりみた。猫が雀をとらえたところは裏側にある。そして柄や鍔の金具に施された緻密な金加工にも目が点になる。こんな立派な太刀がみれたのは生涯の思い出。展示は全期間ではなく1/17~2/19なので要注意!

もう1点長く見ていたのが‘赤糸威大鎧(梅鶯飾)’、これもじつに見ごたえのある堂々とした鎧。過去に国宝の鎧を4点くらいみたが、これがNO.1におどりでた。とくに夢中になってみたのが金銅製の金物の洗練された装飾、描かれているのは梅の木。ここ蝶と鶯がとまっている。

じっとみていると蝶はなんとか見つけられた。ところが、鶯がなかなかとらえられない、隣の方に‘鶯がどこにいるのはわからない’といっていたら横にいた年配の女性が‘ここにいますよ’と教えてくれた。そこは正面向かって兜の右側のほう。そのあとぐるぐるまわっていたらもう一羽みつけた。この鶯は同じく兜の左側のほうにいる。みてのお楽しみ。この大鎧も1/17~2/19の展示。

長いこと対面を待っていた国宝‘蒔絵箏’は2/14~3/12にお披露目される。今からわくわくしている。

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2017.01.18

出光美の‘岩佐又兵衛と源氏絵’!

Img_0003      ‘源氏物語 野々宮図’(重美 17世紀 出光美)

Img_0002     ‘四季耕作図屏風’(部分 17世紀 出光美)

Img     ‘職人尽図巻’(部分 17世紀 出光美)

Img_0001     ‘源氏物語 桐壺・貨狄造船図屏風’(部分 17世紀 出光美)

出光美ではじまった開館50周年記念展‘岩佐又兵衛と源氏絵’(1/8~2/5)をみてきた。ここへ来るのは一年に一回くらい、昨年は勝川春章展で肉筆美人画の傑作を存分に楽しませてもらった。

岩佐又兵衛(1578~1650)は一時期のめりこんでいたが、今はみたい作品がおおよそ目になかに入ったので
又兵衛は晴れて済マークグループ入りとなりプラスαを積み重ねていく鑑賞スタイルに移行している。今回はある1点をみるために出動した。

ここにあげた4点はすべて2004年千葉市美で開催された岩佐又兵衛展に出品された。このとき出光が又兵衛を結構な数所蔵していることを知った。タイトルにもなっている源氏絵や歌仙絵のなかで人物の印象が一番強いのは‘野々宮図’に描かれた光源氏。

又兵衛が描く人物は男でも女でもその姿を横からみたら腹を中心に三日月のつくりものを胸から膝のあたりまで貼り付けたようにみえる。この体形は着物をとったらまさに相撲のあんこ型の力士。顔をみるといつものように下にいくにつれ肉が過剰についた二重あご。この下ぶくれが又兵衛の人物描写のトレードマーク。女性をうりざね顔に描いたモデイリアーニ同様、とてもわかりやすい。

今回のお目当ては‘四季耕作図屏風’、この屏風は回顧展のとき展示替えのため見逃した。そのリカバリーになんと13年もかかった。気になる風俗画なのでずっと企画展をウォッチしていたが、本当に長いこと待たされた。だから、単眼鏡を使い耕作に汗をかく農民たちの様子を隅から隅までじっくりみた。

描かれているのは大勢のひとたちが精をだしている仕事だけではなく、その横では遊びまくっている子どもがいたり、また家族みんなで猿回しを楽しむ場面もでてくる。こういう生活のひとコマが見る者を画面にくぎ付けにさせる。やはり又兵衛の風俗画は格別おもしろい。

ユーモラスな‘職人尽図巻’も夢中になってみた。踊りの姿が洛中洛外図を思い起させる大黒さんや隣で童子とニコニコしながら遊ぶ布袋さん、頬が緩みっぱなしだった。職人は25種、いつの世でもいろんな仕事をして生きる糧をえている。

‘桐壺・貨狄造船図’は烏天狗のようなお化け鳥や貫禄十分な龍と人間が一緒に描かれているとても賑やかな場面。思わず、足をとめてみていた。

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2017.01.17

美術館に乾杯! エルミタージュ美 その十

Img_2     ‘冬宮’(宮殿広場側)

Img_0003     ‘正面階段(ヨルダン階段)’

Img_0002     ‘ブドア’(婦人用の私室)

Img_0004     ‘孔雀石の間’

エルミタージュ美は美術品を展示する建物自体が壮麗な宮殿。だから、いい絵画をみて高揚感が高められるだけでなく宮殿のなかのひとつ々の部屋に施された煌びやかな装飾やそこに置かれている宝飾品や調度品の数々が目を楽しませてくれる。

訪問してからもう17年も経っているので、どこから入ってどういう風に回ったのかは記憶が薄れている。それでも、5時間もここにいたのでサプライズの大きかった部屋はよく覚えているし、図録をみるとそのときの感動がよみがえる。

入館してすぐ‘おおー、すごい!’と思わず声を発したのが‘正面階段’、事前にビデオでみた通りのバロック風の見事なエントランス階段。これから絵画をみるというのにまるで舞踏会がおこなわれる大広間へ進んで行くような気分。

フランスのヴェルサイユ宮殿にいるような錯覚にとらわれるようなのが‘ブドア’(婦人用の私室)、キラキラ光る黄金の装飾と壁の赤が目にしみる。ウィーンのシェーンブルン宮殿にもこんな部屋があったが、こんな部屋をみせられると名画の鑑賞だけに時間を割くのはもったいない。ほかのツアー参加者と別行動をとりここに居続けたのはいい選択だった。

この宮殿での大きな収穫は‘孔雀石の間’、有名な観光名所となっているヨーロッパの宮殿をいろいろ体験したが、柱にこんな大きな緑色の孔雀石が使われた客間はみたことがない。これは一生の思い出。

王冠などの宝飾品も多くみたが、全部をみるには時間が足りなかった。そのため、図録に載っている有名な‘ゴンザ―ガのカメオ’(紀元前3世紀 アレキサンドリア)や遊牧民族スキタイ人がつくった‘黄金の鹿’(紀元前7~6世紀)にお目にかかれなかった。これは次回に楽しみ。

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2017.01.16

美術館に乾杯! エルミタージュ美 その九

Img     ドンゲンの‘黒い帽子の女’(1908年)

Img_0002     ピカソの‘アブサン好きの女’(1901年)

Img_0001 アンリ・ルソーの‘ルクセンブルグ公園 ショパンの銅像’(1909年)

Img_0003    カンディンスキーの‘冬景色’(1913年)

オランダのフォーヴィスム派、キース・ヴァン・ドンゲン(1877~1968)はアムステルダムのゴッホ美でみた‘画家の妻’というインパクトの強い肖像画で開眼した。そのきっかけとなったのがエルミタージュにある‘黒い帽子の女’、ところがここを訪問したときはまだ画家の存在を知らなかったのでこの絵をみたという実感がない。

だから、あとで図録をみてこんないい絵があった?と悔いを残すはめになった。絵画鑑賞にはこういうことがよく起きる。絵画が好きだからといっても鑑賞のタイミングと画家に対する思い入れがいつも一致しているわけではないのでどうしてもすれ違いが生じてしまう。次回訪問するときリカバリーリストの第一列にこの絵を載せておくつもり。

ピカソ(1881~1973)は青の時代の作品とキュビスム風の人物画など5点くらいみた。そのなかで強く印象に残っているのは‘アブサン好きの女’、絵の描き方はちがうが孤独なカフェの女という点ではドガやロートレックを連想させる。左手を広げて顎にあて右手を肩のつけ体をぐっと細くみせるポーズが視線を釘づけにする。これとよく似た絵をフォッグ美でみたことがある。

アンリ・ルソー(1844~1910)の‘ルクセンブルグ公園 ショパンの銅像’は確か大エルミタージュ美展(2012年)に出品された。画面の多くをしめる緑の木々はルソーのジャングルのイメージとつなっがっているが、シチューキンが蒐集した豹が水牛を襲う‘熱帯林にて’はどういうわけか縁がなかった。今はジャングル画をコンプリートしようと意気込んでいるので惜しいことをした。

カンディンスキー(1866~1944)の抽象画はポンピドーやグッゲンハイムにあるものほど高揚感はえられなかったが、具象的な要素が残る‘冬景色’の明るい色の組み合わせに大変魅了された。

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2017.01.15

美術館に乾杯! エルミタージュ美 その八

Img     マティスの‘ダンス’(1910年)

Img_0001     マティスの‘赤い部屋’(1908年)

Img_0002    マティスの‘画家の家族’(1911年)

Img_0004     マティスの‘会話’(1909年)

エルミタージュで最も印象に残る画家は3人いる。オランダが生んだ大巨匠レンブラント、そして近代絵画ではゴーギャンとマティス(1869~1954)。今日は60点も所蔵しているマティスをどんと4点並べてみた。

これまで日本の美術館で遭遇したマティス展は2004年西洋美で行われたもの一回だけ。回顧展は2度体験するのが理想なので普通はまだマティスに大接近したとはいえないのだが、エルミタージュですばらしい絵をどっとみたので色の魔術師といわれるマティスの神髄はつかんだ気でいる。

ご承知のようにマティスの初期のパトロンがシチューキン(1854~1936)。1900年にパリでマティスに会ったシチューキンは当時評価されてなかったマティスの絵に嵌った。色彩が主役のこの新しい絵をどんどん注文していく。そうして集めた作品は現在エルミタージュとモスクワのプーシキン美に展示されているが、エルミタージュには38点ある。

作品が展示されているのは3階、ここでみたマティスは生涯の思い出、最も心を打つのはやはり‘ダンス’、色の数は赤、青、緑の3つだけ。手をつないで踊る男女5人の飛翔するような動きがシンプルな造形と少ない色で描かれている。

マティスの画面は赤がとくに印象深い。その代表作が‘赤い部屋’、2012年国立新美で開かれた大エルミタージュ美ではじめて公開されたので同じ思いをした方も多いのではなかろうか。日本にはプーシキンにある‘金魚’もやって来た。となると、次にエルミタージュ美展があるときは‘ダンス’を期待したくなる。果たして、

‘画家の家族’はとても平板は絵。おもしろいのは中央でチェスを楽しんでいる子どもたちの床がこちらに滑り落ちてくるようにみえること。でも、暖炉の横で夫人が座ってるソファは安定している。マティスの赤好きがここでも表れており、男の子にも無理やり赤の服を着させている。これだとサーカスの道化師にみえてくる。

マティス自身と夫人をモデルにしたのが‘会話’、青を背景にして2人を横向きでしゃべらせる構図がなかなかいい。左の男性をみたとき瞬間的にパジャマ姿かいな、と思った。ベッドからおきてきて‘おはよう、朝食はできている’とかなんとかいってるのだろうか。

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2017.01.14

美術館に乾杯! エルミタージュ美 その七

Img_0001     モネの‘庭の貴婦人 サン=タドレス’(1867年)

Img     シスレーの‘小都市ヴィルヌーブ・ラ・ガレンヌ’(1872年)

Img_0003     セザンヌの‘煙草を吸う男’(1890~92年)

Img_0004     セザンヌの‘カーテンのある静物’(1899年)

大きな美術館にはどこも質の高い印象派とポスト印象派が誇らしげに飾っている。エルミタージュもすばらしいゴーギャンコレクションをはじめここにもあそこにも足のとまる作品がある。

モネ(1840~1926)で魅了されたのは初期の作品‘庭の貴婦人 サン=タドレス’。眩しいほど強い光は婦人の後ろからさし白い服を発光体のように変えている。モネの絵をみる楽しみはこの光の実感を風景画で共有できること。嬉しいことに2011年パリのグランパレで開催された大モネ展で再会した。

シスレー(1839~1899)がたくさん展示された展覧会が2013年の秋、東京富士美で行われた。モネと較べるとどうしてもシスレーは分が悪いが、その理由はシスレーの風景画がワンパターンなところがあるから。ヴァリエーションがあまりないのでいい絵をしっかり目のなかにいれて‘これでもういいや’となる。

そのいい絵のひとつがエルミタージュの‘小都市ヴィルヌーブ・ラ・ガレンヌ’。川の向こう側に建つ家々をこのように手前に木を配しそれを窓枠のようにして描くのは日曜画家がすぐ真似したくなる構図。素人の写真でもこういう風に撮ると‘上手いわね!’とお世辞をいわれる。

セザンヌ(1839~1906)は傑作が2点ある。TASCHENの表紙の絵に使われている‘煙草を吸う男’とみていていい気持になる‘カーテンのある静物’。セザンヌは2015年12月再訪したフィラデルフィア美で念願の‘大水浴図’と対面できたので追っかけはひと段落した。

こういう済マークをつけた画家の場合、画集をみるのがとりわけ楽しくなる。エルミタージュにあるこの2点をみるたびにいい絵だなと思う。‘煙草を吸う男’は2010年ロンドンのコートールド美へ行ったとき、不意に現れた。ここで特別展‘セザンヌのカード遊びをする人たち’が開かれており、この絵が出張してきていた。オルセーのカード遊びの絵もこの絵も大のお気に入りなので夢中になってみた。

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2017.01.13

美術館に乾杯! エルミタージュ美 その六

Img     ゴーギャンの‘果実を持つ女’(1893年)

Img_0001     ゴーギャンの‘タヒチの牧歌’(1893年)

Img_0004     ルノワールの‘女優ジャンヌ・サマリーの肖像’(1878年)

Img_0002     ゴッホの‘アルルの女たち’(1888年)

ここ数年はゴーギャン(1848~1903)のいい絵が毎年姿を現してくれる。昨年は東京都美の‘ゴッホとゴーギャン展’でスコットランド国立美蔵の‘三人のタヒチ人’をみることができた。ゴッホ同様、ゴーギャンは一生付き合っていきたい画家なのでこの流れが途切れないことをミューズにお願いしている。

ゴーギャンを存分に楽しめる美術館というとまずあげられるのがオルセーとエルミタージュ、オルセーに足を運ぶ人は多いからゴーギャン好きはここで満ち足りた気分になる。そしてもう一度この感動を味わいたいと思ったらサンクトペテルブルクをめざすといいかもしれない。エルミタージュでも傑作が出迎えてくれる。

その数15点。これらはシチューキンとモロゾフが集めたもので19世紀後半から20世紀のはじめのフランス絵画のなかでは数質とも群をぬいている。‘果実を持つ女’は傑作中の傑作、メトロポリタンにある‘アベ・マリア’とともに長くベストワンの座を占めている。

‘タヒチの牧歌’もお気に入りの一枚。ぱっとみると平板的な画面にみえるが、じっとみているとゆるやかな凹凸のある地面に塗られた鮮やかな色彩や空間を前後にわけるように配置された太い幹の木によって奥行きのある画面になっていることに気づく。この構図はオルセーにある‘悦び(アレアレア)’とよく似ている。

ルノワール(1841~1918)の‘女優ジャンヌ・サマリーの肖像’は‘果実を持つ女’とともにエルミタージュの思い出を象徴する作品。どこからみても女優といった華のある立ち姿、200%KOされた。じつはこの絵は日本に一度やって来た。会ったのは確か損保ジャパン美だったことは覚えているが、1999年以前にみたか後にみたかはあやふやになっている。

ゴッホ(1853~1890)は4点ある。‘アルルの女’は動きのある人物描写と左手前に描かれた2人の女性が身につけている服にみられる点描風の赤い点々が目に焼きついている。そして、亡くなる年に描かれた風景画‘潅木’も画面をおおう草木の緑が心をとらえてはなさない。

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2017.01.12

美術館に乾杯! エルミタージュ美 その五

Img     フラゴナールの‘盗まれた接吻’(1780年代末)

Img_0001     シャルダンの‘食前の祈り’(1744年)

Img_0002     ルブランの‘自画像’(1800年)

Img_0003     ジェロームの‘仮面舞踏会後の決闘’(1857年)

今回とりあげる作品は全部現地でみてないかお目にかかったとしても記憶にないもの。いずれも購入した3冊の図録に載っており、後で当時情報不足だったことが悔やまれてならなかった作品。でも、幸運にもミューズのご配慮によって日本で行われた展覧会でリカバリーできた。

その大変お世話になった美術館は三菱一号館美。フラゴナール(1732~1806)の‘盗まれた接吻’とルブラン(1755~1842)の‘自画像’は2011年の‘ルブラン展’に出品され、シャルダン(1699~1770)の‘食前の祈り’は2012年に行われた一級の‘シャルダン展’に登場した。

フラゴナールには観る者の視線をいやがおうでも画面に向かわせる特別な表現力がある。それは劇的で思わせぶりな男女のからみの描写。ルーヴルにある‘錠前’とエルミタージュにある‘盗まれた接吻’がその代表作。
ロンドンのウォレスコレクションで‘ブランコ’と‘追憶’をみて、見損なった大事なピース‘盗まれた接吻’も目に入った。だから、フラゴナールはもう済みマークをつけている。

美貌の画家ルブランに開眼したのはまったく三菱一号館のおかげ。回顧展をみるまでこの女流画家をどういうわけか知らなかった。とにかくルブランはうっとりするような美形、この絵をみるたびに女優の沢口靖子が目に浮かぶ。どこか雰囲気が似ている。

シャルダンの風俗画はオランダの影響を受けたのだろうが、好みはシャルダンのほう。エカテリーナ2世(1729~1796)もシャルダンが好きだったようだ。‘食前の祈り’は腰を少し曲げたお母さんと手前の手をあわせた男の子が目と目をあわせるところがじつにいい。

ジェロームの(1824~1904)の‘仮面舞踏会後の決闘’は図録でずっと気になっていた絵だが、ありがたいことに3年前のエルミタージュ美でお目にかかることができた。決闘に敗れて死んだ男を赤い服を着た男が下から緊張した面持ちでみている。こういう絵は一生忘れられない。

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2017.01.11

美術館に乾杯! エルミタージュ美 その四

Img_0001_3     レンブラントの‘放蕩息子の帰還’(1668年)

Img_2     レンブラントの‘ダナエ’(1636年)

Img_0002_2     スルバランの‘聖母マリアの幼年時代’(1660年)

Img_0004_2    ムリリョの‘犬と少年’(1650年代)

ブランド美術館の場合、自慢のコレクションがある。例えばプラド美ならボスとティツィアーノ、エルミタージュはレンブラントとゴーギャンにひときわ質の高い作品が揃っている。レンブラント(1606~1669)は専用の部屋に20点ぐらい飾られている。レンブラント好きな人は天にも昇るような気分になるにちがいない。

そのなかでとくに心を揺すぶられるのが画集に必ず載っている‘放蕩息子の帰還’、‘ダナエ’、‘女神フローラに変装したサスキアの肖像’。父が息子にみせる深い情愛がジーンと伝わってくる‘放蕩息子の帰還’に対して、‘ダナエ’はとてもドラマチックな作品。

ティツィアーノが同じ題材で描いたものではゼウスは部屋の上から降り注ぐ黄金の雨に変身してダナエと交わるが、レンブラントの絵ではゼウスはどこにいるのか?そう光に姿を変えてやって来る。ゼウスは色事となるといろいろ知恵がまわる。このあたりがじつに人間臭い。

ご承知の方もおられると思うが、‘ダナエ’は1895年大災難にあった。ひとりの青年が硝酸をかけたため頭部や手、足が大きな損傷を打けた。ダナエの裸体があまりに挑発的にみえたためこの男は瞬間的に過剰妄想の状態に陥ってしまった。美術館のなかでもときどき信じられないことが起きる。

3月森アーツセンターで開催される‘大エルミタージュ美展’(3/18~6/18)に出品されることが決まっているスルバラン(1598~1664)の‘聖母マリアの幼年時代’は記憶に強く残っている一枚。赤い服をきた可愛い女の子とまた会えるのが楽しみ。

ムリリョ(1617~1682)の‘犬と少年’も少年の笑顔が目に焼き付いている。日々の生活は決して楽ではないのにそれを微塵も見せず明るく元気に生きる少年の姿になにか救われたような気持になる。この絵画には強い力がある。

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2017.01.10

美術館に乾杯! エルミタージュ美 その三

Img     カラヴァッジョの‘リュート弾き’(1595年)

Img_0001     ホントホルストの‘幼少期のキリスト’(1620年)

Img_0002     ダイクの‘自画像’(1623年)

Img_0003     プッサンの‘ポリュペモスのいる風景’(1649年)

エルミタージュに出かけたのは1999年のことだから、それまでにみたカラヴァッジョ(1571~1610)の作品はほんの片手くらいのとき。だから、ここに飾ってある‘リュート弾き’の驚くべき写実描写をみたときはカラヴァッジョが一生つきあっていく画家になるような気がした。そして、2年後岡崎美で日本ではじめて開かれたカラヴァッジョ展にめぐりあった。

カラヴァッジェスキのなかでとくに魅了されているのがジェンティレスキとホントホルスト(1592~1656)、ホントホルストに開眼したのはずっと後なのでその頃はその名前は知らない。そのため図録に載っている‘幼少期のキリスト’にそれほど心が揺れなかった。

画家のイメージが変わったのはロンドンのナショナルギャラリーで‘大祭司の前のキリスト’をみてから。それ以降‘幼少期のキリスト’への思いがだんだんつのっていったが、3年くらい前開かれたエルミタージュ美展に運がいいことにこの絵が含まれていた。まさに‘待てば海路の日和あり’。

エルミタージュにはダイク(1599~1641)の絵が20点くらいあるそうだが、‘自画像’が自慢の一枚かもしれない。こんなイケメンなら当時の美術界の貴公子みたいな存在だったにちがいない。そのさっそうとした姿は忘れようがない。

プッサン(1594~1665)の‘ポリュペモスのいる風景’はみたのかもしれないが記憶にまったくない。ダ・ヴィンチやレンブラントなどへ関心がいっていたのでみれどみず状態だったのだろう。2008年メトロポリタンですばらしいプッサン展に遭遇したので、次にエルミタージュを訪れるときは12点展示されているというプッサンにしっかりむかいあいたい。

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2017.01.09

美術館に乾杯! エルミタージュ美 その二

Img        ジョルジョーネの‘ユーディット’(1500~05年)

Img_0001     ティツィアーノの‘ダナエ’(1546~1553年)

Img_0002     ウェイデンの‘聖母を描く聖ルカ’(15世紀半ば)

Img_0003       クラーナハの‘ヴィーナスとキューピッド’(1509年)

ティツィアーノ(1485~1576)の兄貴分にあたるジョルジョーネ(1476~1510)を楽しむ機会が少ないので作品に出会うと特別な思いにかられる。エルミタージュではギョッとする作品が待ち受けていた。ちょっと勝手の違う‘ユーディット’、切り落としたホロフェルネスの首を左足で押さえ冷ややかにみつめている。これは一度みたら忘れられない。

1/21から東京都美ではじまる‘ティツィアーノ展’にナポリのカポデイモンテ美が所蔵する‘ダナエ’が出品される。これが最初に描かれたダナエで後に描かれたエルミタージュの別ヴァージョンは基本的な構成はプラドにあるものと同じ。ゼウスが変身した黄金の雨から等間隔で美女と老女を配するところがじつに上手い。このペアリングなら白い肌のダナエがいっそう魅惑的にみえる。

ウェイデン(1399~1464)の‘聖母を描く聖ルカ’にも少しだけちがうところがあるだけでほとんど同じにみえるものがボストン美にある。聖ルカはご存知のように画家たちの聖人、これとお目にかかったころはまだウェイデンに開眼しておらず、ルーヴルにあるファンエイクの絵によく似ているなと、いうほどの印象しかなかった。でも、今はこの画家のスゴさがわかっているので次回会うときはじっくりみるつもり。

エルミタージュにはクラーナハ(1472~1553)が2点ある。弓矢をもったキューピッドがとても可愛い‘ヴィーナスとキューピッド’と顔の描き方がウイーン美術史にあるユーディットと同じ‘女性の肖像’、驚くのはヴィーナスの肢体もつ異様さ、小さな顔とくらべて腰回りがなんとも大きく腿の太いこと。

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2017.01.08

美術館に乾杯! エルミタージュ美 その一

Img      ダ・ヴィンチの‘べヌアの聖母’(1478年)

Img_0004     ミケランジェロの‘うずくまる少年’(1530年代)

Img_0001     ラファエロの‘コネスタビレの聖母’(1503年)

海外にある大きな美術館は2度訪れることを目標にしている。現在、これが果たせてないのがロシアのサンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美とシカゴ美。憧れのエルミタージュへ行ったのは1999年、それから18年も経った。なんとかもう一回あのすばらしい宮殿に入りたいと思っている。

‘世界三大美術館’をあげろといわれたら、すぐルーヴル、ロンドンのナショナルギャラリー、そしてエルミタージュと答える。正月のNHK特番にルーヴルが登場し名画の数々を紹介していたが、エルミタージュにもびっくりするほどいい絵がずらっと並んでいる。

イタリアルネサンスのど真ん中にいるダ・ビンチ(1452~1519)、エルミタージュには2点ある。聖母マリアが少女のように描かれている‘ベヌアの聖母’と‘リッタの聖母’、これをみたときエルミタージュって本当にすごい美術館なんだと思った。‘ベヌア’が印象深いのは幼児イエスの頭がやけに大きいから。変な言い方だが子どもが超肥満児を生んだのかいな、という感じ。

ミケランジェロ(1475~1564)が彫った作品でイタリア以外にあるのは3点、お目にかかった順番でいうとベルギーのブリュージュにあるノートルダム聖堂に飾ってある‘ブリュージュの聖母’、エルミタージュの‘うずくまる少年’、そしてロンドンの王立美術アカデミーが所蔵する‘聖母子と幼児聖ヨハネ’。

2010年トンドのレリーフ‘聖母子と幼児聖ヨハネ’にたどりつきミケランジェロのコンプリートが完成したのは、遠いサンクトペテルブルクまで出かけて‘うずくまる少年’をみていたからこそ。だから、この彫刻には強い思い入れがある。

エルミタージュはラファエロ(1483~1520)もダ・ヴィンチと同じく2点しっかり所蔵している。小品の‘コネスタビレの聖母’と‘聖家族’。ラファエロはやはり古典絵画にとっては欠かせないピース、エルミタージュだけでなく大きな美術館はプラドでもメトロポリタンでもワシントンナショナルギャラリーでも複数の作品を揃えている。

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2017.01.07

オキーフの回顧展に遭遇したい!

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Img_0001     ‘夏の日々’(1936年 NY ホイットニー美)

ここ数年アメリカの美術館が所蔵する絵画コレクションを楽しむ機会が多い。近いところでは今月の21日まで上野の森美でやっているデトロイト美展、そしてクリーブランド美、ワシントンナショナルギャラリー、クラークコレクション、メトロポリタン、ボストン、フィリップスコレクションも記憶によく残っている。

この流れはまだ続くと勝手に予想すると、美術館名品展だけでなくアメリカ人画家の回顧展の開催にも期待がふくらむ。そのなかで思い入れが強いのが女流画家のジョージア・オキーフ(1887~1986)。アメリカの美術館をまわるとき、追っかけリストの第一列にくる画家のひとりである。

オキーフの作品はカサット同様、大きな美術館に行くとだいだい飾ってある。3点以上みたという印象があるのがメトロポリタンとTASHENの表紙を飾っている作品をもっているワシントンナショナルギャラリー、好きな画家の場合、お目にかかった作品が多くなればなるほど回顧展との遭遇を切望するようになる。

ところで、日本で過去オキーフ展が開催されたことがあるのだろうか?40年とか50年前のことは知らないが30年くらいのスパンでみるとそんな情報はない。だから、どこかの美術館がオキーフにチャレンジしてくれないかなとずっと思い続けている。

最も期待している美術館はBunkamura、ここはフリーダ・カーロをやりレンピッカにも光をあててくれた。女流画家の回顧展は昨今盛り上がっている。昨年はカサットが横浜美に登場し、今年は国立新美で草間彌生展(2/22~5/22)が行われる。

オキーフ展の開催がベストだが、ホイットニー美の名作展がオキーフの‘夏の日々’を目玉にして行われると飛び上がるほど嬉しい。船の帆は高く掲げておきたい。あとは幸運な風が吹くのを待つだけ。

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2017.01.06

夢のサージェント展!

Img_0001  ‘エドワード・ダーリー・ボイトの娘たち’(1882年 ボストン美)

Img      ‘マダムX’(1884年 メトロポリタン美)

年のはじめは今年はどんなことをしようかといろいろと考える。展覧会だっらどこの美術館に最も期待するか、というのをだいたい決めておく。昨年はサントリー美へ何度も通う計画を立てた。今年は東京都美、国立新美、西洋美、そして東博へ出かけるのが多くなりそう。

美術に対する人々の好みはかなり幅があるので、美術館としてもどんな作品をみせるかというのはかなり頭を使うにちがいない。これをやれば成功間違いなしという、例えば印象派のようなキラーコンテンツで無難にいくか、まだ日本で認知度の低い画家で勝負し新鮮な風を吹き込むか、前者の場合は企画立案は楽しいが、チャレンジングなケースはその選択は重荷を背負った気分に支配されるだろう。

昨日とりあげたゴッホの‘郵便配達夫ルーラン’はやっと日本でみられる待望の作品、ボストン美のコレクションでは長いことこの絵とカサットの‘桟敷席’のことを思い続けてきた。昨年カサットがみれ今年は‘ルーラン’と遭遇するのなら、次はこの絵だろうと期待したくなる絵がある。

それはサージェント(1856~1925)の‘エドワード・ダーリー・ボイドの娘たち’、2015年12月ボストン美を訪問し、新装なった展示室でこの絵と再会しまたまた感激した。そして、強く思った。もしこの絵が日本にやって来たらどんなにか絵画ファンの心をなごましてくれるのにと。

この絵はボストン美の至宝のひとつだから、日本に貸し出してくれるかわからない。でも、日本との相性はルーヴルと並んで最もいいボストン美のことだから、美術館が公開にむけてはたらき続ければOKになる可能性だってある。国立新美でも東京都美でもいいから夢の展覧会を是非実現してもらいたい。

サージェントにはもう一枚日本にやって来たらで大きな話題となる作品がある。メトロポリタン美が所蔵する‘マダムX’、どこかの美術館でまたメトロポリタン美名品展を開催することがあれば、この絵にチャレンジしてくれると天に昇るくらい楽しくなるのだが、果たして。

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2017.01.05

今年もゴッホの傑作がやって来る!

Img       ‘郵便配達夫ルーラン’(1888年 ボストン美)

Img_0001     ‘ルーラン夫人’(1889年 ボストン美)

今月の21日まで上野の森美で行われる‘デトロイト美’と会期が多く重なった東京都美の‘ゴッホとゴーギャン展’で人気抜群のゴッホがおおいに目を楽しませてくれた。そして、嬉しいことに今年もゴッホの傑作がやって来る。

それは東京都美で開催される‘ボストン美名品展’(7/20~10/9)、日本の美術館とは特別に相性がいいボストン美、2,3年前にも世田谷美にモネやゴッホが登場したが、今度は東京都美、情報はまだ少ししかないが曽我蕭白などの日本画も西洋絵画の名画も一緒に披露するようだ。

その西洋絵画の目玉がゴッホ、なんと‘郵便配達夫ルーラン’と‘ルーラン夫人’がペアで展示される。印象派が好きだから日本で行われたボストン美の名画展は欠かさずみてきた。図録も揃っているのでどの絵が出品されたかはおおよそファイルされている。

‘ルーラン夫人’は確か3度目の来日だと思うが、旦那の‘郵便配達夫ルーラン’のほうは日本にやって来るのははじめて。ボストンが所蔵する印象派とポスト印象派で画集に載っている有名な絵はほとんど公開されたのに、最後まで残っていたのがこの‘郵便配達夫ルーラン’。

この絵は現地ではじめてお目にかかったときはその見事な姿を立ち尽くしてみていた。ゴッホが描いた肖像画のなかではこれがNO..1、だから、美術館はなかなか貸し出さない。昨年横浜美であったカサットの回顧展に出品された‘桟敷席’同様やっと貸し出しOKがでたという感じ。

2015年11月にボストン美を訪問したときはサージェントやホーマーをみるのに忙しかったため印象派の部屋はパスしたので、東京都美ではじっくりみるつもり。

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2017.01.04

謹賀新年 2017年前半展覧会プレビュー!

Img     伊藤若冲の‘雪梅雄鶏図’(18世紀 京都・両足院)

今年も拙ブログをよろしくお願いします。暖かい正月三が日だったので、美術館へ出かけられた方も多いのではなかろうか。手元にある情報からわかった展覧会のうち出動する可能性の高いものをリストアップした。

★西洋美術
 ティツィアーノ展   1/21~4/2      東京都美
 カッサンドル展    2/11~3/26     埼玉県近美
 草間彌生展      2/22~5/22     国立新美
 シャセリオー展    2/28~5/28     西洋美
 ミュシャ展      3/8~6/5       国立新美
 
 大エルミタージュ展  3/18~6/18     森アーツセンター
 ボイマンス美展    4/18~7/2      東京都美
 ランス美展      4/22~6/25     損保ジャパン美
 ジャコメッティ美   6/14~9/4      国立新美
 アンチンボルド展   6/20~9/24     西洋美

★日本美術
 並河靖之展      1/14~4/9      東京都庭園美
 春日大社展      1/17~3/10     東博
 河鍋暁斎展      2/23~4/16     Bunkamura
 歌川国芳展      3/11~5/7      府中市美
  
 楽歴代展       3/14~5/21     東近美
 雪村展        3/28~5/21     東芸大美
 茶の湯展       4/11~6/4      東博
 海北友松展      4/11~5/21     京博

(注目の展覧会)
西洋美術で最も楽しみなのは東京都美の‘ボイマンス美展’と国立新美の‘ミュシャ展’、オランダのロッテルダムにあるボイマンス美は次のオランダ旅行では訪問しようと思っていた美術館。その気になるコレクションから今回なんとブリューゲルの‘バベルの塔’とボスが2点やって来る。開幕が待ち遠しい。

そして、ミュシャの大作‘スラブ叙事詩’が20作全部みれるというのも夢のような話。国立新美はヒットを打ち続けて美術ファンの期待に応えてくれているが、これでまた株を上げそう。本当に楽しみ。

昨年はカラヴァッジョ展を開催しブランド力を見せつけた西洋美、今年はあのアンチンボルドを登場させる。秋の‘北斎とジャポニスム’とともに大きな話題になりそう。

日本美術は1/17からはじまる東博の‘春日大社展’への期待が高い。これまで縁がなかったここの宝物、やっとみれるのでワクワクしている。今年は2つのやきもの展が名品をずらっと並べてくれそう。追っかけているものがいくつでてくるだろうか。‘海北友松展’は待望の回顧展、流石、京博という感じ。GW前に京都へ行くことにしている。 

今年の干支は酉、となると若冲の鶏しかない。‘雪梅雄鶏図’は数多くある鶏のなかでお気に入りの一枚。

    


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