‘新宮晋の宇宙船’で想定外のことが!
久しぶりに横須賀美を訪れ‘新宮晋の宇宙船’(11/3~12/25)を楽しんだ。風の力や水の流れによって動くオブジェでその名が世界的に知られている新宮晋(1937~)、今年79歳なのにここにある新作14点はまったく年を感じさせないすばらしいものばかり。
今年制作されたのは黄色で着色された帆が弱い風でゆっくり動く‘雲の日記’など9点。この‘雲の日記’のように帆がポリエステルの布のような素材でつくられたものをみると、アメリカのカルダー(1898~1976)が生み出した‘動く彫刻’、モビールが思い起こされる。
カルダーのモビールがそれがつりさげられたワイヤーの振動によって動きが生み出されているのに対し、新宮晋のオブジェはポリエステルの布や和紙でできているものでもステンレスやアルミの金属を使って造形されたものでも、その動きをゆっくりと不連続に変えていっているのは水や風という自然のエネルギー。
一点々がみてて飽きないのは複数のユニットによってつくられる動きの形がある一定の時間をへて何度も繰り返されている感じではなく、全体の形が無限に変容しているようにみえるから。そして、ときどき高山市のからくり人形が見せ場をつくるように動きが急にダイナミックになることがあるのも興味を惹く。
作品を存分に楽しんだのに、この展覧会はその記憶があとでよみがえらない。どういうわけか図録に作品を載せてない!あるのは作品のスケッチのみ、こんな図録は買う気になれない。館内で写真撮影はNGだから、時間が経つと作品の記憶がごそっと消えてなくなる。新宮晋が嫌になった。
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