今年 My‘好きな女性画’に加わった作品!
ジェンティレスキの‘悔悛のマグダラのマリア’(1640年代中頃 バルベリーニ美)
絵画をみる一番の楽しみは‘女性画’との出会いなので一年の締めとして、今年My‘好きな女性画’加わった作品を登場させることにした。
12月に入ったときこの4枚は決まっていたが、6月初旬マドリードのプラド美でみたフラ・アンジェリコ(1400~1455)の‘ザクロの聖母’はケンスケさんの情報によると、イギリスの美術・文化雑誌はこの絵を世界の美術館が新たに収蔵した作品のベストワンに選んだとのこと。
不思議に思ったのは聖母の顔、ほかの宗教画に描かれた聖母とくらべとても親近感がありドラマやCMにでている人気のタレントと対面しているような気がした。この現代に生きる女性を思わせる容姿と身につけている服の青の輝きが目に焼きついている。
カラヴァッジェスキの女流画家、ジェンティレスキ(1593~1654)の‘悔悛のマグダラのマリア’も忘れられない一枚になった。大盛況の‘カラヴァッジョ展’(西洋美 3/1~6/12)に出品されたこの絵を所蔵しているのはローマにあるバルベリーニ宮国立古典美術館、一度訪問したときは展示されてなかったので目の前に現れたときは大きな衝撃を受けた。とくに息を呑むのが静脈のリアルすぎる表現。
今年はマドリードでの美術館巡りが大きな喜びをもたらしてくれたが、メインディッシュのボス、ラ・トゥールの絵だけでなく、想定外のワイエス(1917~2000)もそのなかに入っている。肌の皺やしみなど思わず見入ってしまうほど精緻に描くのがワイエスの肖像画の特徴、画面に大きく描かれた‘マガの娘’を長くみていた。
日本画でもいい絵に遭遇した。それは2月から3月にかけて出光美と太田記念美で開催された勝川春章(1726~1792)の回顧展に姿を現してくれた‘石橋図’、はじめてお目にかかる肉筆画で視線を釘付けにするのが被り物の獅子の毛の鮮やかな赤、こんないい獅子舞の絵を個人コレクターがもってたのか!という感じ。
今年も拙ブログにおつきあいいただきましてありがとうございます。
皆様よいお年をお迎えください。
| 固定リンク
コメント
フラ・アンジェリコの『ザクロの聖母』は、私には浮世絵の女性像を思い起こさせます。おちょぼ口が似ていると思いませんか。初期ルネサンスと江戸期の絵画(勝川春章の『石橋図』も)の女性像は、矢代幸雄氏の言うように感性が近いような気がします。日本人には親しみやすいですね。
今年はボッティチェリの『書物の聖母』の解説を読んで、ステッラ・マリス(stella maris=聖母の衣服の肩の部分に描かれている星)に初めて注目しました。人を導く聖母が海上の航海を導く星に喩えられているとのことで、フラ・アンジェリコの『ザクロの聖母』の衣服の肩の部分にも見えますね。
イギリスのアポロ誌は、毎年年間ベストワンの新規収蔵品、展覧会、新規オープンの美術館、ア―ティストなどを選んで、世界的に権威ある雑誌だそうです。ちなみに今年一番の展覧会は、オランダ北ブラバントの美術館での『ボス展』とのことです(プラドのものでなく)。以下のサイトは、さらっと見るだけでも興味深いです。
https://www.apollo-magazine.com/acquisition-of-the-year-winner-apollo-awards-2016/
今年も多数の作品のご紹介ありがとうございました! 楽しく読ませていただき、いづつやさんのレポートを参考にしていくつもの美術展に足を運ばせていただきました。来年もよろしくお願いいたします。どうかよいお年を!
投稿: ケンスケ | 2016.12.31 21:05
すみません。上記のサイトのアドレスは正しいのにうまく作動しません。apollo acquisition of the year でも簡単に検索できます。
投稿: ケンスケ | 2016.12.31 21:12
to ケンスケさん
今年は本当にお世話になりました。プラドのボス展
の情報を教えてもらわなければスペイン行きは実現
しませんでしたし、ラ・トウールにもワイエスにも
巡り会えませんでした。
来年もよろしくお願いします。よいお年をお迎えく
ださい。
投稿: いづつや | 2016.12.31 22:47