忘れられないクラーナハ!
‘ヴィーナスと蜂の巣をもつキューピッド’(1531年 ボルゲーゼ美)
‘ヴィーナスに訴えるキューピッド’(1525年 ナショナルギャラリー)
多くの美術ファンが足を運ぶ人気の美術館には2度訪問することを目標として世界中の美術館巡りをしているが、ローマにあるボルゲーゼ美はまだこれがはたせてない。ここは事前にネットで入館日を予約することが必要。だから、日程の調整がいるので団体ツアーに参加するときはかなり神経を使う。でも、もう一度という思いはずっともっている。
ここの古典絵画コレクションはカラヴァッジョやティツイアーノ、ラファエロなどのスゴイ絵を揃えている。そのなかにクラーナハ(1472~1553)も入っている。それは最も魅せられている‘ヴィーナスと蜂の巣をもつキューピッド’、プロポーションが異常にひきのばされおしゃれな帽子を被っているヴィーナスと蜂に刺されて痛そうな顔をしているキューピッド、親しみを覚える二人の組み合わせが目に強く焼き付いている。快楽には苦痛をともなうという教訓をキューピッドで表現しているのがおもしろい。
ヴィーナスとキューピッドを描いたものはロンドンのナショナルギャラリーにも蜂の巣をもったキューピッドの別ヴァージョンがあり、またサンクトペテルブルクのエルミタージュ美にあるものはキューピッドは弓矢をもっている。
アダムとイヴを題材にしたものはウフィッツイ美とブリュッセルのベルギー王立美でお目にかかった。ここに登場する男女はきわだってリアルに描かているわけではなく、かといって宗教色の強い人物描写になってもいない。だから、わりと気楽に二人をみつめられる。これがクラーナハの一番の魅力かもしれない。
クラーナハの真骨頂はやはり薄いヴェールをまとう裸婦像、このヌードパワーが‘パリスの審判’でも全開、美女を前にして木の下で腰をおろしているパリスの姿をみれば誰を一番の美女にするか大いに悩んでいることがよくわかる。
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