茶入の名品!
‘唐物茄子茶入 付藻茄子’(南宋~元時代・13~14世紀 静嘉堂文庫)
‘唐物茄子茶入 松本茄子’(南宋~元時代・13~14世紀 静嘉堂文庫)
‘唐物肩衝茶入 銘・新田肩衝’(南宋時代・12~13世紀 徳川ミュージアム)
日本美術の展覧会が行われるとき作品が多い場合は会期をいくつかに分けて展示される。以前は出品作を全部目のなかに入れようという気持ちが強く何度も足を運んでいた。ところが、今は絵画にしろやきものなどの工芸にしろ鑑賞済みのものが多くなってきたこともあり、一回で終わらせることが普通になってきた。
一度みた作品が重なってくると図録も毎度々購入する習慣が変わってきた。お気に入りのものが絵葉書にラインナップされていればニンマリして買い込み分厚い図録はパスになる。今は高い愛着度が維持できそうな図録だけを購入することにしている。
静嘉堂文庫で開催中の‘漆芸名品展’では図録があれば買う予定だったが、今回は図録はなくパンフレットタイプのものを300円で販売していた。この美術館は以前からこのスタイルで作品情報を提供しているがこれで十分、手元に過去につくられた図録が5冊もあるので美術館自慢の作品はほぼカバーされている。
ここにある茶入の名品がこの漆芸展にも登場している。やきものの茶入が展示されているのはこの茶入が壊れた個所が漆で見事に修復されたものだから。後期(11/8~12/11)にでている‘唐物茄子茶入 付藻茄子’と前期に飾られた‘唐物茄子茶入 松本茄子’。
これまで数回縁がありその伝来の話がインプットされているので思わず長くみてしまう。なんとあの織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が所有していた。‘付藻茄子’と‘松本茄子’が現在、東博の‘禅展’に出品されている‘唐物肩衝茶入 銘・新田肩衝’などとともに災難にあったのは大阪夏の陣(1615)、家康の命をうけて藤重藤元、藤厳父子は大阪城の焼け跡のなかから探し出し漆で繕った。
この卓越した技のおかげで今もこうして目にすることができる。この茶入をみるたびにやきものの名品にまつわる数奇な運命に思いをめぐらせる。
| 固定リンク
コメント