近代日本美術の煌き! 2012年(平成24)
日頃の生活のなかで頻繁に気になる芸術作品と出くわしているわけではないが、ときどき大きな喜びをもたらしてくれるものがひょいと姿を現すことがある。まだ2ヶ月残っているので一年の振り返りモードにはちと早いが、今年は音楽で乾杯をあげたくなるいい曲が耳に入った。‘パワーオブラブ’、まさに衝撃度M7クラスの名曲だった。
やきものの世界でこの曲と同じくらいのサプライズを味わったのは神農巌(1957~)の青磁。2年前、東近美の工芸館で開かれた‘青磁のいま’で忽然と現れた。出品された5点いずれも後光がさしているような感じだったが、もっとも惹かれたのが‘堆磁線文壺’。
花の蕾を思わせる壺の器面は微妙な盛り上がりがあり新体操に使われるリボンがひらひらと揺れるようにしなやかな線文をつくりだしている。器全体の造形として完璧な球体が心を打つことはよくあるが、口縁や表面につけられた形がぐさっとくるものはこれまでみたことがない。個展が開かれるときは万難を排して駆けつけたい。
福島善三(1959~)の青磁も個性的で自分の色がしっかりでている。やや白っぽい青の色は端正で品のいい形をなめらかにつつみこんでいる感じ。こういう作品だと部屋の空気が自然と緩む。
古谷で釉裏金彩の技を追求し高く評価されているのが小松出身の吉田美統(みのり 1932~)、金彩という装飾はややもすると志野などと較べて低く見られがちだが、それは鑑賞する側が日本の美意識に肩入れしすぎるからにすぎない。この‘釉裏金彩更紗文花器’は銀ねずみが金彩の更紗文を渋く輝かせている。
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