近代日本美術の煌き! 1986年(昭和61)
全国各地にある陶芸の里をできるだけ多く訪ねことをライフワークにしているが、実際に出かけたところはまだ多くない。
九州は有田焼と唐津焼と小鹿田焼、中国地方は広島で仕事をしていたので萩焼と備前焼にはよく行った。中部、北陸では九谷焼、信楽焼、そして関東は益子焼と笠間焼、今思えば残念だったのが名古屋にいたとき。仕事が忙しくて美濃焼や瀬戸焼などをまわれなかった。多治見や土岐へ行かないとやきものがわかったとはいえないので、いつか足を踏み入れたい。
広島にいるときクルマででかけた佐賀県の有田町、有田焼の代名詞というと柿右衛門様式、これを受け継ぐ十四代柿右衛門(1934~2013)の‘濁手山つつじ文鉢’は名品のひとつ。十四代は山つつじが好きだったようで何度もこれをモチーフに使っている。柔らかな乳白色の濁手素地に山つつじの赤が元気よく浮かび上がっているのが印象深い。
京都出身の清水卯一(1926~2004)の‘鉄燿扁壺’ですぐ目にとまるのは小さな口と胸をドンとつかれた感じのの黒の素地に施された掻き落としの文様。こういう鉄釉が輝くやきものは一度みたら忘れない。卯一は1985年、‘鉄釉陶器’の人間国宝に認定された。
人形作家の吉田良(1952~)の有名な作品が東近美にある。それは赤い着物の少女人形、‘すぐり’という名前がついている。はじめてみたとき赤のインパクトの強さにたじたじになった。少女はきれいな顔をしているが、その美形ぶりは闇のなかではかえって怖さを増幅させる。ホラー映画にでてくる怖い女の子はだいたいこのように美形であることが多い。
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