期待値を上回る‘ゴッホとゴーギャン展’! ゴーギャン
‘マルティニク島の風景’(1887年 スコットランド国立美)
この秋に行われる展覧会で期待値の高かった‘ゴッホとゴーギャン展’(10/8~12/18)をみるため東京都美を訪問した。年間を通じて良質の展覧会を繰り返し行っているのはここと国立新美、皆の願いに応え続けるのがブランド美、その意味でこの二つの美術館は今西洋絵画で最強の美術館。
ゴッホとゴーギャンの二人展は予想以上にいい作品が集結している。まず、ゴーギャン(1848~1903)から。今回最もみたかったのがスコットランド国立美からやって来た‘タヒチの3人’、画集で何度もお目にかかっているが、本物があるのはスコットランドだから見れる可能性は小さいと思っていた。ところが、チラシに現れた。素直に嬉しい。
この絵がとても気になるのは人物の意表をついた配置。真ん中の男性は向こうむきで左右のタヒチ女はこちらをみている。どちらの女性に視線がむかうかというと、たぶん多くの人と同じように左側の女、左手に緑色のリンゴをもち、菱川師宣の‘見返り美人’を思い起こさせるようなポーズをとっている。そして、目を釘付けにするのはリンゴの緑と強いコントラスをみせる赤の衣服、この赤に200%KOされた。
‘ブドウの収穫’もいつかこの目でと思っていた作品。やっと対面できた。中央で両手を頬にあてて座っている少女はちょっと怖い顔をしている。このふてくされたような顔がずっと目にやきついて離れない。ゴーギャンはどうしてこんな描き方をしたのだろうか。
スコットランド国立美からはもう一点オマケがあった。それはゴーギャンが39歳のとき訪れたマルティニク島でみた熱帯の植物を描いたもの。ここでの体験がやがてタヒチ行きにつながっていく。生い茂る木々や果実を緑と茶の色面でグラデーションをきかせて表現しているのが印象的。
ゴーギャンが妻の実家があるコペンハーゲンにいるときに描いた‘自画像’は2010年ロンドンのテートモダンで開催されたゴーギャン展に出品されていた。このころのゴーギャンは自信がなさそうであの強気なゴーギャンのイメージとはまったく異なる。
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コメント
こんばんは。
私も今日行ってきました。
最初の方が混雑していましたが、目玉の、二人の自画像とか、ゴッホ描くゴーギャンの椅子とか、いづつやさんもお気に入りの、タヒチの三人、とか、ゆっくり観て、最後に、入り口に戻って、最初の方を観るという戦略でー。
最初の方は、画家の初期の作品を展示しているに決まってるんですからね〜。
主なき椅子を何故、ゴッホは描いたのか、とかいろいろ考えてしまいました。
二人に影響を与えた、良く知らない画家も沢山出ていて、良い展覧会でした。
投稿: oki | 2016.10.23 21:28
to okiさん
予想以上にいい作品が集まっていて一級の展覧会
でした。今回の関心はゴーギャンだったのですが、
ゴッホもいいものが集結してましたので東京都美へ
の好感度がまた上がりました。
投稿: いづつや | 2016.10.23 23:53
遅ればせながら、行ってきました。本当に充実したラインナップで、たくさんの絵の前で足が止まりました。
『マルティニック島の風景』は、一番のお気に入りでした。補色の対比が鮮やかで、魅せられました。『タヒチの三人』ともどもスコットランド国立美術館は、すばらしい作品を送ってくれましたね。
『自画像』は、おっしゃるように後の自画像と違って、ちょっと神経質そうな感じですね。18年ほど前にキンベル美術館に行った時、見た記憶がないので、展示されていなかったのかもしれません。
投稿: ケンスケ | 2016.10.26 21:59
to ケンスケさん
ここ数年ゴーギャンの名画によく遭遇しますので
そのたびにゴーギャンに迫っているという気がして
ます。今回はスコットランド美の2点が目を楽しま
せてくれました。
投稿: いづつや | 2016.10.26 23:50