近代日本美術の煌き! 1991年(平成3)
一人の画家の回顧展が開催されるタイミングは美術館サイドの熱意や思い入れだけでなく、人気の浮き沈みを敏感につかむ能力があるかないかで決まってくる。同世代の杉山寧(1909~1993)と東山魁夷(1908~1999)はともに別格扱いされるほどのスケールの大きな画家であるが、回顧展が行われる回数は東山魁夷のほうが多い。
なかなか遭遇しなかった杉山寧の回顧展にやっと巡り会えたのは3年前、日本橋高島屋に80数点集結した。その1点がコウノトリを描いた‘雍’、この絵は杉山作品では一番最初にみた絵なので感慨深い。営巣する場所が古代ギリシャの建築の柱頭というのはちょっと思いつかない。北アフリカにある古代ローマ遺跡でこういう光景がみられるのだろうか。
ダリやマグリットなどビッグネームがぞろぞろいるシュルレアリスム芸術、会田誠(1965~)が描いたダブルイメージには200%KOされた。制服を着た女の子の左右に分けられた髪の毛のまんなかが田んぼのあぜ道につながっている。これをみたらマグリットも裸足で逃げ出すにちがいない。
60代前半で突然亡くなった江里佐代子(1945~2007)、訃報に接したとき残念でならなかった。熟練の技が発揮されたを截金作品はもう神業に近いものだった。‘彩色飾筥 花風有韻’のミニチュアが居間にあれば毎日心が晴れる。
森野泰明(1934~)のサイコロのようなやきものオブジェには椅子のタイトルがつけられている。立方体のそれぞれの面の施された模様はトランプ、まるで子どもたちが遊びながら厚紙を使ってつくったよう。
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