近代日本美術の煌き! 1989年(平成元年)
天才芸術家に共通する特徴はその作品が多様的なこと、ひとつの表現にこだわらず作風がいろいろ変化する。加山又造(1927~2004)にもそんなところがある。心を打つのは琳派の装飾美を200%感じさせる大きな屏風だけではない。1970年代に入ってから取り組んだ水墨画ももうひとつの又造ワールドをつくっている。
‘仿北宋水墨山水雪景’はただ北宋の水墨画に倣った作品ではなく日本的な感性にあった水墨山水に変容している。この水墨画はもうすこしやりすぎると抽象画の世界になる。暗い背景に浮き上がる山々は雪の衣を着ることによって鋭角的な形から生じる冷たい印象が多少薄められて幽玄的な雰囲気をつくりだしている。
高山辰雄(1913~2007)には牡丹の絵がある。どれも色彩が明快な静物画とはちがい、牡丹の花に霧吹きで水の細かな粒子がかけらたような感じ。これは静物でも人物でも同じ調子で高山辰雄の絵の特徴。初期の作品にみられるゴーギャン的な色面構成からは似ても似つかぬ表現に変わっている。
島根県境港の写真家、植田正治(1913~2000)の‘砂丘モード’をみたときの衝撃はマグニチュード7の地震なみの大きさだった。ええー、鳥取砂丘でファッションショーをやるの?!この創作エネルギーとセンスはワールドクラス、こんなビッグな写真家がいたのか、いっへんに嵌った。
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