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2016.09.21

近代日本美術の煌き! 1981年(昭和56)

Img_0002     稗田一穂の‘帰り路’(和歌山県近美)

Img_0001     池田遙邨の‘稲掛け’(愛知県美)

Img     松井康成の‘練上嘯裂茜手大壺 深山紅’(茨城県陶芸美)

日本人画家が時代を超えてつながっている例として、与謝蕪村と東山魁夷の作品と取り上げたが、日本の画家が海外の画家と同じ世界を共有している場合もある。こうした作品の重なりは西洋画を学んだ洋画家よりも意外に日本画家が描く作品に強く感じることが多い。

例えば小倉遊亀の人物画にマチスのデッサンとの関連をみたり、山口蓬春とホドラーのコラボ、また加山又造とイタリアの未来派の類似点などにも目がいく。では、稗田一穂(1920~)の‘帰り路’は誰の絵がイメージされるだろうか、シュルレアリスムが好きな方はピンとくるかもしれない、そう形而上絵画のデ・キリコ(1888~1978)、後ろ姿の女性が地面に落とす影をみると寂寥感のただよう都市の一角を建物や人物の影を長くのばして描いたデ・キリコの作品がふっと浮かんでくる。

じつはこの絵は残念なことにまだ縁がない。所蔵する和歌山県近美は遠いので回顧展と遭遇しなければこの先もずっと遠い絵になりそう。かなり前、世田谷美で回顧展が開催されその図録が手元にある。このころ東京にいなかったため見る機会を逃した。どこかの美術館で稗田一穂展をまた実施してくれるとうれしいのだが。

岡山県出身の池田遙邨(1895~1988)には漫画的というかとぼけた味のする作品がある。‘穂掛け’はそのひとつ。穂掛けの光景を縦に描き、上のほうでは穂の下からタヌキが顔を出している。ここにタヌキがでてくるところが遙邨流。漫画の一コマをみてるよう。

松井康成(1927~2003)は練上の技法を極め芸術性の高い作品を数多く生み出した天才的な陶芸家、11年前茨城県の笠間にある陶芸美で行れた回顧展にはワクワクしながらクルマを走らせた。展示室では高揚しっぱなしだったが、表面のひびや亀裂が美しい風景となって心のなかに入ってきた‘練上嘯裂茜手大壺 深山紅’の前では立ち尽くしてみていた。

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コメント

稗田一穂の『帰り路』、いいですね! 初めて見ましたが、一目で魅せられました。大きく描かれている月もシュールですね。

線路と対比して疎外感が描かれているのか、と思いますが、そういえばキリコも鉄道を描きますね。こうした心象風景は、想像力をかきたてられます。

将来は、大阪和歌山を巡る美術旅行をして、和歌山県立美術館に行きたくなりました。

投稿: ケンスケ | 2016.09.25 20:40

to ケンスケさん
稗田一穂の‘帰り路’は‘昭和の日本画100選’
(1989年)に選ばれました。これが代表作です。

デ・キリコとデルヴォーの画風を連想しますが、
それらをほどよい加減で抒情的な日本の風景のなか
にとりこんでいるところがいいですね。なんとか
みたいです。

投稿: いづつや | 2016.09.25 23:20

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