近代日本美術の煌き! 1977年(昭和52) その二
絵には写実的な絵から抽象画までタイプの違う絵がいろいろある。具象でもぱっとみて何が描いているのかよくわからない作品もある。東近美の平常展でお目にかかった高山辰雄(1913~2007)の‘いだく’は絵の前に長くいないとタイトルのイメージがつかめない。
絵の主役は赤ちゃんというのはわかる、だが、この幼子を抱いている二人の女性がちょっと変、手がみえるがこれが左の女性の手か正面向きで下をみている女性の手がよくわからない。とにかくこの二人と幼子がいるのは幻の世界。西洋人がこの絵をみたらおそらく聖母子像が重なってくるにちがいない。そういうことを思うとこれはスゴイ絵。
上村松園(1875~1949)の息子の上村松篁(1902~2001)と孫の上村淳(1933~)は現代に生きる人たちの感性に響く見事な花鳥画がいくつもも描いた。このライブ感のある花鳥画が大きな魅力、‘閑鷺’に描かれた3羽の鷺(さぎ)の姿がリアルで生き生きとしているのは松篁が自宅にミニ動物園をつくり何種類もの鳥を飼い熱心に観察していたから。こんな花鳥画が居間にあると穏やかな心持で毎日が過ごせる。
山田貢(1912~2002)の‘紬地友禅着物 夕凪’はなんだか漁村を描いた風景画を見ているよう。静かな夕暮れの浜辺に網干がずらっと並んでいる。網干が着物の文様になると直感する絵心は並みの才能では生まれてこない。
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