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2016.08.31

近代日本美術の煌き! 1972年(昭和47) その一

Img_0001     奥村土牛の‘醍醐’(山種美)

Img     麻田鷹司の‘天橋雪後図’(何必館・京都現美)

Img_0003     山口華楊の‘深秋’(足立美)

京都の醍醐寺はこれまで2度出かけた。みどころはなんといって国宝の五重塔、そしてもうひとつ有名なのが枝垂れ桜、でも観光シーズン真っただ中の春や秋の京都は避けているので実際の花見はまだ縁がない。それなのに奥村土牛(1889~1990)の‘醍醐’をよくみているせいでこの桜が身近に感じられるから不思議。

牛牛は桜の光景に心が和んだようで吉野の桜も描いている。名古屋にいたときこの桜がみたくて電車で出かけた。満開の時期よりすこし早かったが、ここが日本一の桜の名所だということが実感できた。一生の思い出。

天橋立の絵というと雪舟と川端龍子がすぐ頭に浮かぶが、もう一点いいのがある。麻田鷹司(1928~1987)が描いた‘天橋雪後図’、とても現代感覚にあふれる天橋立で雪の降った光景は深い寂寥感がただよい日本海のイメージとぴったりあう。

山口華楊(1899~1984)は動物画の名手、だが鷹や獅子といった勇ましい肉食系は登場せず、いたってやさしい牛や鹿や狐などが個性的に描かれる。その姿をじっとみていると内面がつかめるような気がしてくるが、これはまわりの場が背景として上手く溶けこんでおりモチーフが象徴的に浮き上がってくるから。

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2016.08.30

近代日本美術の煌き! 1971年(昭和46) その二

Img_0001     工藤甲人の‘夢と覚醒’(青森県美)

Img_0002     岡鹿之助の‘献花’

Img     三輪休和の‘萩耳付水指 銘 岩波’(茨城県陶芸美)

絵画をみていて嬉しさがこみあげてくるのは日頃気になっていた作品が突然目の前に現れたとき。工藤甲人(1915~2011)の‘夢と覚醒’はそんな思い出のある作品。出会ったのは2006年に訪問した青森県美。棟方志功の肉筆美人画を楽しんだあと気分よく隣の部屋へ移動したらこの絵が飾られていた。

シュールな感覚でちょっと不気味さもただよう一風変わった日本画なので一度みたら忘れない。だが、個人の所蔵ということがインプットされているので作品の分類としては‘見たい度は強いが鑑賞の可能性は小さい’グループに入っている。その絵が目の前にある。枯木のほこらからこちらをじっとみている女性にくらくらしてきた。また上のほうにも女性が眠っており、そのまわりを蝶が飛んでいる。洋画家のシュール画より断然こちらに惹かれる。

西洋画家が描いた花の絵というとすぐ思い浮かぶのがゴッホのひまわり、そしてルドンやキスリングの色鮮やかな花々、岡鹿之助(1898~1978)の‘献花’はルドンやキスリングのものとイメージが重なる。いくつかある献花のなかでこれが花の数が多く最も華やか。大きな部屋にはこういう絵があう。

萩焼の人間国宝、三輪休和(十代休雪 1895~1981))は弟の壽雪(十一代)とともに‘休雪白’と呼ばれる純白の釉薬をつくり、これがみどころの豪快な水指を生みだした。萩焼のなかでも新しい作風に挑戦し続ける三輪家の作品に大変魅了されている。

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2016.08.29

近代日本美術の煌き! 1971年(昭和46) その一

Img     前田青邨の‘知盛幻生’(部分)

Img_0001     片岡球子の‘面構 葛飾北斎’(神奈川県近美)

Img_0002     小倉遊亀の‘舞う’(山種美)

絵画のジャンルひとつに歴史画がある。日本画でよく取り上げられるのが源平合戦や源義経物語、前田青邨(1885~1977)の‘知盛幻生’は頼朝に追われた義経の話が描かれている。

だが、ここに描かれているのは義経・弁慶ではなく壇ノ浦で海の藻屑と消えた平知盛ら平家一門の亡霊、九州へ落ち延びようと大物浦(尼崎市)の港から船出した義経らの前に現れたのが薙刀をもった勇将平知盛、頼朝から逃れることに頭がいっぱいになっている義経はこれにはパニくったにちがいない。こういうとき機転がまわるのが弁慶、数珠をもって祈祷すると知盛たちは遠ざかっていった。

片岡球子(1905~2008)の名を世間に知らしめた‘面構’シリーズ、足利尊氏、雪舟、浮世絵師などいろいろな人物が登場するが最も人気の高いのが赤富士を背景して描かれた‘葛飾北斎’、北斎は一体どんな顔をしていたのかよくわからないが、この顔が北斎のイメージとして刷り込まれた。このシリーズに北斎はもう2回でてくる。背景に龍が舞っている別ヴァージョンと娘のお栄と一緒にいるもの。

スーパー長寿コンビの相方小倉遊亀(1895~2000)の‘舞う’はお気に入りの一枚、えらのはった丸顔の舞妓の踊りはとても元気がいい。今話題の卓球の伊藤美誠ちゃんが化粧をして同じような衣装を着たらこんな感じになるかもしれない。

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2016.08.28

近代日本美術の煌き! 1970年(昭和45) その二

Img_0002     岡本太郎の‘太陽の塔’(大阪 万博記念公園)

Img_0001     加守田章二の‘曲線彫文壺’

Img     濱田庄司の‘藍塩釉櫛目水指’(大阪市立東洋陶磁美)

1970年に開かれた大阪万博のシンボルというと誰もがすぐ思い浮かべるのが岡本太郎(1911~1996)の‘太陽の塔’、この高さ70mのパブリックアートを会場でみたときはその強烈な存在感に圧倒された。真ん中の太陽の顔のふてぶてしい表情が今でも目に焼きついている。

岡本太郎の絵画を一時期いろいろみたが、結局この芸術家の真髄は絵画ではなく彫刻という結論に達した。制作されたパブリックアートでこれまでお目にかかったのは多くない、‘太陽の塔’と川崎市岡本太郎美に設置してある‘母の塔’、そして愛知県の日本モンキーパークにある‘若い太陽の塔’、首都圏にはいくつもあるのでその場所の近くに行ったら寄り道してみたい。

加守田章二(1933~1983)の‘曲線彫文壺’は代表作のひとつ、この壺をみていると大昔の日本にワープしたような気分になる。このようなおおらかな曲線で模様をつくるのなら自分でもできそうな気がするが、これが大間違い。直線でも曲線でも素朴な感じと軽やかさを同時にだすのは至難の技、心を強く打たれる一品である。

濱田庄司(1894~1977)は茶陶をいくつもつくったが、この藍色が目にしみる塩釉の水指は独特なもの。青とシンプルな白の線の流れの組み合わせはとてもモダンな感じがする。70代になってもまだこんな刺激的な作品をつくるのだから濱田には底知れぬ創作力がそなわっている。

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2016.08.27

近代日本美術の煌き! 1970年(昭和45) その一

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Img_0003     加山又造の‘千羽鶴’(東近美)

Img     橋本明治の‘朝暘桜’(山種美)

Img_0001     小松均の‘最上川源流’(部分 山形美)

美術館に飾られている絵画作品のなかにはほかに類をみない独創的な画風が強く印象に残るものと、その作品をみてすぐ過去にみた作品があらわれてくるものがある。加山又造(1927~2004)の‘千羽鶴’は後者のタイプ。琳派が好きな人はすぐ本阿弥光悦と俵屋宗達が書と絵画でコラボした‘鶴下絵三十六歌仙和歌巻’(京博)が思い浮かぶにちがいない。

この‘千羽鶴’は昨年12月にみたワシントン、フリーア美の‘宗達展’にも出品されていた。だからアメリカの日本美術愛好家たちもこの絵を琳派の美が現代に受け継ぐ作品として目に焼き付けたにちがいない。なにか誇らしいような気分だった。

橋本明治(1904~1991)の‘朝暘桜’は福島県三春町で写生した滝桜がもとになっている。この桜は観光名所になっているが、なかなか縁がない。東北の桜で一度みてみたいのは青森弘前の桜と三春の滝桜。旅行会社から送られてくる国内ツアーの案内にも三春の桜は載っているから、参加すると楽しいかもしれない。

10年くらい前、山形美術館を訪問した。ここは公立の美術館ではなく吉野石膏のコレクションを展示する美術館、西洋絵画から日本絵画までいい作品が揃っている。江戸絵画では与謝蕪村が忘れられないが、近代のものでは山形県出身の小松均(1902~1989)の‘最上川源流’が群をぬいていい。この代表作をみれたのは一生の思い出。

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2016.08.26

大躍進 リオ五輪!

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リオ五輪が終了し徐々に睡眠不足が解消されてきたが、連日のメダル獲得で感動の高まりが大きかったので今はちょっとしたオリンピックロスに陥っている。

小さいころからオリンピックのTV放送は釘付けになってみている。好きな競技は体操、柔道、水泳、そしてマラソン。昔は中学校のとき部活でやっていたバレーを夢中になってみていたが、今は弱いからほとんどみない。今回俄然興味がわいてきたのが男女合わせて3つのメダルを獲得した卓球と女子のダブルスで金メダルをとったバドミントン。

卓球で注目の選手は男子の水谷準と女子の15歳の伊藤美誠ちゃん、水谷のプレーはロンドン大会でもみているが、今回これほど強くなっているとは思わなかった。シングルス準決勝で王者の中国選手に敗れたが2セットとったのだから今は相当強い。二人が激しく打ち合うハイレベルのラリーは圧巻だった。

15歳の美誠ちゃんの卓球ははじめてみたが、すぐものがちがうなと思った。エースの石川佳純ちゃんは近いうちに追いつかれそうな気がする。おもしろいのは美誠ちゃんはポイントをとっても声を出したりガッツポーズをしないこと。これは頼もしい。

卓球関係者やTVの解説者の話から若手にもすごい選手がいることがわかった。まだ13歳の張本智和君というのは天才らしい。東京五輪のメンバーに選ばれる可能性があるというのだからすごい。16歳の平野美宇ちゃんは美誠ちゃんと同級生コンビで話題になった選手だから名前だけは知っている。リザーブとして3人と一緒ぬ行動していたようだ。これから卓球はすごく盛り上がるはず。日本選手権大会をのぞいてみようかという気になっている。

日本が獲得した金メダルは12個、その3分の1の4個が女子レスリングによってもたらされたもの。はじめから優位に戦かった川井選手をのぞく、登板、伊調、土性の3選手はいずれもきわどい逆転で勝った。だから、大きな感動をもたらした。

だが、一方でレスリングという競技そのものはあまりおもしろくないなとも思った。6分間戦ってポイントがはいる技はタックルを決めてバックをとること。柔道の一本勝ちにあたるフォールはなかなか決まらない。男子の場合は腕力で相手を強引にひっくり返したりするが、女子にはそんな力はない。とにかく後ろをとったら勝ちという印象が強くダイナミックさに欠ける。レスリングを競技から外そうという動きがでてきたのはよくわかる。

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2016.08.25

ビッグニュース!ミュシャの‘スラブ叙事詩’が来春やって来る

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Img_0002    ゴーギャンの‘タヒチの3人’(1899年 スコットランド国立美)

Img  ティツィアーノの‘ダナエ’(1546年 ナポリ カポディモンテ美)

お目当ての展覧会をみて退館するとき取り忘れないようにしているのがほかの美術館の案内チラシ、先週いくつかまわったときビッグニュースが目に入った。

来年春、国立新美で‘ミュシャ展’(3/8~6/5)が行われることは知っていたが、これまでミュシャの回顧展は皆勤しているのでパスしようと思っていた。だからチラシは要らなかったが、それでもまあみておこうかと手にしたら、サプライズの内容が載っていた。なんと、あの‘スラブ叙事詩’が20作全部日本にやって来るという!

これはスゴイことになった。ミュシャ物語はこの大作‘スラブ叙事詩’をみないと完結しないが、普通に考えればこの連作が飾ってあるチェコ南部のモラフスキー・クルムロフ城はまず縁がない。こういう場合は数点の図版をながめてよしとするのがお決まりの心のおさめかた。

みたいのにみることが叶わない、いわゆる‘幻の名画’のままで終わるところだったのに幸運なめぐりあわせで来春お目にかかれることになる。チェコ国外ではじめて公開されるのがパリでもなくロンドンでもなく東京というのだから、日本の美術シーンは本当にすこいなと思う。来年はボイマンス美のブリューゲルの‘バベルの塔’で十分だったのにミュシャの‘スラブ叙事詩’までみれる、嬉しくてたまらない。

作品情報をもうふたつ、東京都美で開催される‘ゴッホとゴーギャン展’(10/8~12/18)にスコットランド国立美にあるゴーギャンの‘タヒチの3人’が含まれていることがわかった。そして、東京都美はそのあと行う‘ティツイアーノとヴェネツィア展’(来年1/21~4/2)でもホームランを打ってくれる。いつか訪問しようと思っているナポリのカポディモンテ美が所蔵するティツイアーノの傑作‘ダナエ’もやって来る。こういう展覧会を開催してくれると東京都美に対する好感度はますます上がっていく。

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2016.08.24

予想以上に内容の濃い‘古代ギリシャ展’!

Img_0003     ‘漁夫のフレスコ画’(前17世紀 テラ先史博)

Img_0001     ‘スぺドス型女性像’(前29世紀~24世紀 キュクラデス博)

Img_0002     ‘コレ―像’(前530年 アクロポリス博)

Img_0004 ‘アッティカ赤像式アラバストロン’(前500~475年 アテネ考古学監督局)

現在、東博で開催中の‘古代ギリシャ展’(6/21~9/19)、だいぶ遅い出動となったがお目当ての‘漁夫のフレスコ画’をみてきた。このサントリー二島で発見された色鮮やかな壁画が日本でみられたことは大きな喜び。

アテネ五輪が行われた2004年、ギリシャを旅行しアテネにある考古学博物館にわくわくしながら入館した。ここを訪問するのは2度目だったので、一番のお目当てはサントリー二島で出土した有名な‘ボクシングをする少年’や‘漁夫’などのフレスコ壁画だった。ところが、これらが展示されている2階は改修工事のため閉鎖中、なんという巡り合わせの悪さ、どっと疲れがでた。

もう縁がないと思っていたら、なんと‘漁夫’がわざわざ日本にやって来てくれた。腹の底から嬉しくなる。3500年以上もたっているのに漁夫の体に塗られたうすい赤茶色が見事に残っている。両手にはひもでくくったたくさんの魚、これだけのか数だと重さが腕にずっしり感じられたにちがいない。本当にいい絵をみた。

キュクラデス文明の時代に大理石でつくらてた‘スぺドス型女性像’は思わずそのユニークな造形に惹きこまれる。人物のリアルさを消して生命の原型をシンプルな形にしてみせる造形は日本の土偶とも共通性がある。

以前はパルテノン神殿のあるアクロポリスの丘にあった博物館は今は街中につくられた建物に移転している。アルカイック時代の彫刻が楽しめるこの博物館で何点もお目にかかったコレー像、印象深いのは流れるような線で表現した衣紋と編んで細く束ねられた髪、そして口元がちょっと上にあがったアルカイックスマイル。ついじっと眺めてしまう。

リオ五輪を連日みていたなかでの展覧会訪問だったので、オリンピックの競技種目が描かれた陶製の器、アラバストロンには敏感に反応する。左が円盤投げで右が走り幅跳び、当時の走り幅跳びではアスリートは記録を出すため石や鉛でできた重りを持って跳んだ。これはおもしろい。

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2016.08.23

国立新美でティツィアーノの‘受胎告知’をみた!

Img_0001 ティツィアーノの‘受胎告知’(1565年 サン・サルヴァドール聖堂)

Img  ドメニコ・ティントレットの‘キリストの復活’(1590年 アカデミア美)

Img_0004    ベッリーニの‘聖母子’(1490年 アカデミア美)

Img_0002  カルパッチョの‘聖母マリアのエリサベト訪問’(1508年 アカデミア美)

イタリアのヴェネツィアには有名な美術館が2つある。ジョルジョーネやティツイアーノやティントレットらの傑作がずらっと並ぶアカデミア美と現近代アートのいい絵を楽しめるグッゲンハイム美。幸運なことにそれぞれ2回訪問したので、国立新美でアカデミア美名品展が行われるという情報が入ったときはこれはすごい!と思った。

今回の‘アカデミア美所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち’(7/13~10/10)は館蔵品に加えビッグなオマケがついている。それはサン・サルヴァドール聖堂にあるティツイアーノ(1485~1576)の大作‘受胎告知’。この絵は次のヴェネツィア旅行でターゲットにしていた作品、だからみるのを楽しみにしていた。この受胎告知はほかとくらべ大天使ガブリエル、聖母マリアともに動きのある人物描写が特徴。マリアの手を上にあげるポーズからは‘ええー、私身ごもったのー!?’という戸惑いの感情が伝わってくる。強く印象に残る受胎告知だった。

お目当てのティツイアーノをみたのであとはさらさらとみた。収穫はティントレットの息子の‘キリストの復活’この奥行きを感じさせる構図は2ヶ月前プラドでみたち父の‘使徒の足を洗うキリスト’を思い出させる。場面を広くみせる技は父親同様に天才的。

入ってすぐのところにあったカルパッチョ(1460~1526)の‘聖母マリアのエリサベ訪問’も嬉しい絵。アカデミア美にある作品でカルパッチョに開眼したので、今回再会できることを楽しみにしていたがこの1点しかなかった。明快な色彩と人物を巧みに配置する構成の上手さに感心しながらみていた。

ベッリーニ(1434~1516)もアカデミア美の目玉、今回やって来たのはチラシに使われている‘聖母子’、はじめてみたとき赤一色で塗られた顔と羽だけの智天使の姿にギョッとした。そのため、上のほうに気をとられ聖母子の印象が薄いなる。このように脇役が主役を食ってしまう絵にときどきでくわす。

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2016.08.22

待望の‘カサット展’!

Img_0001     ‘桟敷席にて’(1878年 ボストン美)

Img     ‘果実をとろうとする子ども’(1893年 ヴァージニア美)

Img_0002     ‘母の愛撫’(1896年 フィラデルフィア美)

Img_0003     ‘家族’(1893年 クライスラー美)

アメリカの美術館をまわっていると当然のことながらヨーロッパでも名の知れたアメリカ人画家の作品によくお目にかかる。ホイッスラー、サージェント、ホッパー、ホーマー、そして女性ではカサット、オキーフ。このなかでどこの美術館へ行っても展示されているのが印象派のカサット(1844~1926)、今横浜美ではそのカサットの回顧展(6/26~9/11)が開催されている。

昨年12月ボストン美を訪問したとき必見リストの上位にいれていたのが‘桟敷席にて’、長年の夢がようやく叶った。絵の存在はずいぶん前から知っていたのに日本で何回となく行なわれたボストン美蔵の印象派展に一度も出品されない。その理由が絵の前に立ってよくわかった。この絵がアメリカ人に人気のある傑作だから貸し出したくなかったのだと。

その絵と横浜で再会した。やはりとびぬけていい。この絵に惹かれるのは自分もこの劇場のなかにいるような気分になるから、ふいと横をみるとすぐ近くの席にいる美しい女性がオペラグラスでじっと舞台を見ている。芝居や踊りの楽しい雰囲気をこの女性と共有できる、これだから劇場通いはやめられません。

カサットというとこの桟敷席と母子像がすぐ思い浮かぶが、母子像のイメージはアメリカの美術館巡りを3度体験したことでできあがった。訪問したのはシカゴ美、ボストン美、フィラデルフィア美、ワシントンナショナルギャラリー、メトロポリタンのビッグ美術館だが、今回の回顧展でほかの美術館にもいい絵があることがわかった。足が思わずとまったのが‘果実をとろうとする子ども’と‘家族’。

そして、2013年にでかけたフィラデルフィア美で強く印象に残っている‘母の愛撫’も心をとらえて離さない。赤ん坊や子どもが登場する絵で大変魅せられているのはフィレンツェにあるラファエロの‘小椅子の聖母’、この絵とカサットの作品が響き合い、そしてカサットの母子像は日本の喜多川歌麿や上村松園ともむすびつく。3人のコラボに思いをめぐらすと絵画をみる楽しさが倍増する。

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2016.08.21

大盛況の‘ルノワール展’!

Img      ‘ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会’(1876年)

Img_0002     ‘草原の坂道’(1875年)

Img_0001     ‘田舎のダンス、都会のダンス’(1883年)

Img_0003     ‘ピアノを弾く少女たち’(1892年)

4月末から国立新美で開催されている‘ルノワール展’、閉幕(8/22)が近づいてきたので足を運んできた。1ヶ月くらい前?、入館者が30万人を突破したことをニュースで知っているので、館内は相当混んでいると予想していたが案の定大勢の人がいた。とくに目立ったのは親子連れ、印象派展を数多くみてきたがこれほど子どもたちの姿をみたのははじめて。夏休みに入ってどっと増えたのではなかろうか。

この大ルノワール展の情報を得てから美術好き人におおいにPRしてきたのが‘ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会’、オルセーを4か月も離れて日本で多くの西洋画ファンの目を楽しませてくれているのだから、もう大事件といっていい。

ルノワール(1841~1919)の全作品のなかで最も好きなのはこの絵。元来風俗画に魅せられているのでこういうにぎやかな場所を舞台にした群像描写をみると心が浮き浮きしてくる。もう一点同じような気分になるのがワシントンのフィリップスコレクションにある‘舟遊びをする人たちの昼食’、この2点がルノワールの最高傑作、どちらも日本にやって来てくれたのだから、日本は本当に美術大国。

風景画のお気に入りは‘草原の坂道’、モネにも母子が描かれた似たような絵‘アルジャントゥイユのひなげし’がある。明るい日差しのなか緩い坂道を降りてくる母子の顔がだんだんはっきりみえてくる感じ。この動感描写によりライブな感覚を生みだされている。

今回はオルセーとオランジュリーにあるルノアールがほとんどやってきている。出し惜しみ一切なし、ルノワールの傑作全部みせます、お楽しみあれ!といった感じ。だから、この展覧会をみたらルノワールの真髄が体に沁みわたる。見ごたえのある縦長の作品‘田舎のダンス、都会のダンス’も傑作、顔の表情が嬉しさに満ちみちている‘田舎のダンス’のモデルは後にルノワールの妻になるアリーヌ・シャリゴ、この笑顔がじつにいい。

ルノワールは‘ピアノを弾く少女たち’を数点描いているが、どれも魅力にあふれるいい絵だがあえて順位をつけるとオルセーにあるものが一番。とくにじっとみてしまうのがピアノを弾いている少女の金髪、服の白と金髪のコントラストにうっとりさせられる。

満足度200%の超一級の回顧展だった。ミューズに感謝!

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2016.08.20

祝 陸上銀、銅メダル、レスリング男子銀メダル、シンクロ銅メダル!

Img 400mリレーで銀メダルを獲得した山県、飯塚、桐生、ケンブリッジ選手

Img_0003     50キロ競歩で3位になった荒井選手


Img_0001    初出場で強豪を破り銀メダルに輝いたレスリング57キロの樋口選手

Img_0002    アテネ大会以来のメダルを獲得したシンクロチーム

残り2日となったリオ五輪、陸上でサプライズのメダル獲得が2つあった。信じられない結果になったのが400mリレー、なんとボルトのいるジャマイカについで2位にはいった。拍手々! 多くの人が期待したのは3位、ところが山県亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥選手は皆が最高の走りと見事なバトン技術をみせ世界をあっと言わせた。銀メダルはスゴすぎる。

100mを走った山県、桐生、ケンブリッジは誰も決勝進出できなかったのに飯塚選手を加えた日本はファイナリストや9秒台を出しているスター選手をメンバーにいれている強豪国に競い勝った。こんなすばらしいリレーを誰が想像したか、歴史に残る快挙。東京大会でもこんな光景がまたみられるかもしれない。

50キロ競歩は荒井広宙選手が一度は失格となり地獄をみたが正当な評価がえられ再度夢の銅メダルが現実のものになった。競歩でははじめてのメダル、拍手々!2キロのコースを25回まわるこの競技、お坊さんの苦行と似てなくもない。同じ風景を25回もみるのだから、相当な忍耐力と強い体力、歩力がいる。

あと一周となって、3位の荒井選手は後ろのカナダの選手に一度抜かれた。こういう場合、だいたいはメダルが逃げていく。でも、荒井選手はまだ元気、すぐに追いつき抜き返した。このときカナダの選手に右手が触れ、そのあとカナダ選手はバランスを崩し追い上げに使った体力と気力がみるみるうちにしぼんでいった。これをカナダチームを問題にし荒井選手が進路妨害をしたと訴えそれが認められ荒井選手は失格となった。

これは素人だっておかしな判定だとわかる。日本が抗議したら失格が取り消され荒井選手の3位が確定した。なんとも不可解な失格騒動だった。カナダの選手がメダルが欲しかったので演技をしたのかもしれない。

レスリングフリースタイルの57キロ級で20歳の樋口選手が強豪と堂々をわたりあい、見事銀メダルに輝いた。拍手々!軽量級では日本は昔から多くのメダルをとってきたからそれなりに期待していたが、決勝はあと一歩のところで敗れた。このリベンジは東京ではたしてくれそう。

シンクロナイズド・スイミングはチームでも銅メダルを獲得した。これでデュエットとあわせて2つのメダル、拍手々!井村コーチのもとハードなトレーニングを続け復活にこぎつけた。見せ場のリフトが力強く決まると本当にスゴイパワーだなと思う。このリフト、ロシアは日本より3倍くらい高い、たまげた!

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2016.08.19

祝 バドミントン女子金、銅メダル、レスリング女子金メダル!

Img バドミントン初の金メダルに輝いたダブルスの高橋礼華・松友美佐紀選手

Img_0001    シングルスで銅メダルを獲得した奥原希望選手


Img_0002   レスリング63キロ級で優勝した川井梨紗子選手

期待していたバドミントンダブルスは高橋・松友ペアが接戦を逆転で勝ち見事金メダルに輝いた。拍手々!決勝までの戦いぶりをみると、デンマークには2-0ですんなり勝つと予想したが、オリンピックはそんなに甘くなかった。1セットは逆にデンマークにとられてしまった。

バドミントンは今回はじめてじっくりみてわかったのは、このダブルスがとてもおもしろいこと。シングルスに比べ4人の選手の動きがスピーデイで激しい打ち合いしのぎ合いは目を釘づけにさせる。2セットは高橋・松友に本来の攻めがでてデンマーク組を圧倒した。だから、3セットはこの勢いでざっといくと思ったが、逆に16-19で追い詰められた。

ところが、ここからが強かった。レスリングの逆転劇がバドミントンにも連鎖反応したのか5連続で得点し、歓喜のなか勝利した。卓球の水谷隼が中国の選手に同じような追い詰められたあと粘りの反撃により勝ったが、この試合のデジャブをみているよう。こういう勝利には腹の底から感動する。日本のバドミントンの歴史が変わった瞬間だった。

シングルスの準決勝に進出した奥原選手は背の高いインドの選手にあれれ、という感じで負けてしまった。ポイントの2セット目、1セットをとったインド選手が後半から覚悟を決めて強烈に攻めてきたため、3セットまで持ち込んで勝つゲームプランが崩れ2-0で敗退した。でも、3位決定戦に中国の選手が怪我のため出れなくなったので銅メダルが転がりこんできた。決勝進出を逃したのは残念だったが3位は立派な成績、拍手々!

レスリング女子は63キロ級に出場した川井選手が4つ目の金メダルをもたらした。拍手々!もともとは58キロ級の選手だが、伊調馨選手がこの階級にいるため増量してひとつ上の階級で金を目指すことになった。そして、すばやい動きで対戦相手を打ち負かし見事頂点に立った。21歳と若いから東京では連続金メダルが期待される。がんばってほしい。

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2016.08.18

祝 レスリング女子 逆転勝ち連鎖で金3つ!

Img 金メダルトリオ 69キロ級土性沙羅、58キロ伊調馨、48キロ登坂絵莉

Img_0001      勝利の定番セレモニー、監督担ぎをする登坂絵莉選手

今日からはじまったレスリング女子、いきなり金メダル3つを獲得した。拍手々!凄すぎる快挙をやってのけたのはオリンピック初出場の48キロ級登坂絵莉選手と69キロ級の土性沙羅選手、そして女子で史上初の4連覇を成し遂げた58キロ級伊調馨選手。

3人の優勝はいずれも逆転勝ち、こんなきわどい勝利が続けて3回もおこるなんてまったく神がかっている。吉田選手とともに女子レスリングの顔になっている伊調馨選手の4連覇が注目の的だったが、最軽量の48キロでも重いほうの69キロでも金メダルをとるとは想像してなかった。

しかもその勝ち方が感動的、相手に試合が終了する寸前までリードされながら、残り僅かな時間に効果的な技をきめ逆転する。応援するほうは敗けを覚悟しているのに最後の最後で試合をひっくり返す、本当にすごい闘争心。感動袋が3回もはちきれそうになった。

解説者の話に即納得した。選手たちは日ごろから6分間を戦いきるように猛練習を重ねているそうだ。そのため後半息が上がってくる外国の選手たちに比べ、最後まで体が動く。それで試合の終盤になってもポイントをとる技がくりだせる。素人にはきわどい勝利のようにみえるが、栄光の金メダルは豊富な練習量がもたらしたものだった。 

4連覇した伊調馨選手は今32歳、連勝を続けてこられたのは頑丈な体力を維持し技の鍛錬に努力を重ねてきたから。大きな怪我をせずオリンピックに体調のピークをもっていくのは大変なこと。これをもう4回も行ない、金メダルを獲得してきた。すばらしい!

アスリートの鏡みたいな存在になったが、2020年の東京大会まで選手を続けるのだろうか。強い選手が現れ敗けたら引退も仕方がないが、そういう状況にならない限りレスリングの道を究めてもらいたい。多くのファンはそう願っているにちがいない。

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2016.08.17

祝 卓球女子団体 銅メダル、シンクロデュエット乾・三井   銅メダル!

Img     銅メダル獲得を喜ぶ石川佳純、伊藤美誠、福原愛選手!

Img_0001    2大会ぶりにメダルをとった乾友紀子、三井梨紗子選手

卓球女子団体は3位決定戦で日本はシンガポールを破り2大会連続でメダルを獲得した。拍手々!準決勝でドイツに接戦の末敗れた福原、石川、伊藤のトリオ、その敗戦を引きづりそうで今回はメダルなしに終わるかと思った。その不安を増幅させたのが最初に戦った愛ちゃんの敗け。

まず1ゲームをとったのにシンガポールの選手を攻めきれない、愛ちゃんの動きにきれがなくスタミナが無くなっている感じ。次のエース佳純ちゃんは期待通りラリーを制し強烈なフォアをビシビシきめてくれた。佳純ちゃんは腕も細いのに強いフォアがよくきまる。団体戦では全勝、本当に頼もしい。

さあー、勝利を左右するダブルス、これもきわどかった。2ゲーム目もやられるかなと思ったらラッキーなエッジボールがでて辛くも1-1に戻した。これで流れは日本にきた。愛ちゃんの動きにリズムがでてきて、15歳の美誠ちゃんの強いフォアやリターンがきまり3,4ゲームを連取、2-1とリードした。

シングルスの3戦目は美誠ちゃんとシンガポールのランキング4位の選手との戦い。並みの選手なら位負けして実力の半分も出せないだろうが美誠ちゃんはまったく緊張するところがなく速い攻撃で得点を重ねていく。終わってみれば3-0の一方的な勝利、次代のチャンピオンを予感させる見事な卓球だった。

ロンドン大会が銀、そして今回が銅、順位はひとつ下がったが、中国が圧倒的に強い現状では銀も銅も同じようなものだから立派な成績。2020年は石川、伊藤のダブルエースで金メダルがめざせそう。

シンクロナイズド・スイミングは久しぶりにみた。デュエットの乾・三井ペアの演技は専門的な見方はできないが、‘風神・雷神’のテーマをよく表現できた演技だった。この美しさ・強さをひきたてていたのが現代感覚にフィットした音楽、印象的な旋律、テンポのよさに感心した。銅メダルにふさわしい素晴らしい演技、拍手々!

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2016.08.16

祝 体操跳馬 白井銅メダル、卓球男子団体 銀メダル以上!

Img     跳馬で新技を成功させ銅メダルを獲得した白井健三選手

Img_0001   ダブルスでドイツに勝った吉村・丹羽ペア

体操種目別はゆかで金メダルを逃した白井健三選手が跳馬で難しい新技を成功させ見事銅メダルを獲得した。拍手々!この跳馬でメダルをとるのは意外にも32年ぶり。ロサンゼルス大会のとき、あの懐かしい森末、具志堅選手がともに2位だったことをかすかに思い出した。

新技のどこがすごいのかまだのみこめてないが、最後にひねりを加えて前向きで着地することはわかった。失敗するとメダルが遠くなるのに果敢に挑戦してしっかり決める。この度胸のよさ、白井は内村同様なにかをもっている。オールラウンドに種目をこなすには課題は多いが、この強い精神力と高い潜在力を秘めた技術をもってすれば内村の後継者に必ずなれる。東京大会では大きく羽ばたきそう。

今日のハイライトは卓球男子、ドイツとの準決勝を制し銀以上を確定させた。水谷隼、吉村真晴、丹羽孝希選手の健闘に拍手々!卓球はハラハラドキドキのプレーが続くので試合に勝つと感激も大きいが、逆に敗けるとどっと疲れがでる。昨日の女子の敗戦がそう。その疲れを吹き飛ばしてくれたのが3人のスカッとするプレー。勝ちゲームをみていると卓球は本当におもしろい。

シングルス戦で2つ勝った水谷は相変わらず強かった。最初に対戦したボル選手にはこれまで1勝15敗とまったく分が悪っかったのに、いざふたをあけるとシングルス3位の勢いを見せつける強さ、ラリーは負けないし、錦織圭のエアーショットを思わせる左足をあげて打ちこむ多彩な技、まさにエースに相応しい戦い。

3人のうちとくに注目したみていたのは吉村選手のサーブ、TBSの‘ひるおび’でこの魔球サーブを詳しく解説してくれたのでよくわかった。準々決勝ではじめてこの選手のサーブをみて、そのユニークな打ち方が気になっていたが、これはレシーブをする相手に球がどういうふうにラケットに当たっているかをみせないための工夫だった。サーブがよく決まる秘密がこれで呑みこめた。明後日の金メダルをかけた中国との戦いでこのサーブがどれくらい決まるか、楽しみ。

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2016.08.15

祝 テニス錦織圭 銅メダル レスリング太田 銀メダル! 

Img     スペインのナダルを破り銅メダルを獲得した錦織圭

Img_0002     レスリンググレコ59キロ級で銀メダルに輝いた太田忍選手

リオ五輪の男子テニスシングルは錦織圭が強豪ナダル(スペイン)を2-1で破り、銅メダルを獲得した。テニスで日本人選手がメダルをとったのはなんと96年ぶり、拍手々!

マレー(イギリス)との準決勝は簡単に負けてしまい、過去の対戦成績のよくないナダルとの3位決定戦もダメかなと思ったが、錦織のメダル獲得の思いは強くナダルに粘り強くせり勝った。オリンピックでは先に2ゲームとったほうが勝ちなので、ちょっと気を抜くとすぐピンチに追い込まれる。今大会、錦織はタフに戦った。4年後は金メダルをとるかもしれない。

レスリンググレコローマンは初戦の59キロ級で太田忍選手が実力者を次々と打ち破り、見事銀メダルをゲットした。拍手々!上半身だけの力で戦うグレコローマンスタイル、技が決まったときは迫力満点、圧巻は準決勝、反り返るようにして相手を投げ逆転のフォール勝ち。

インタビューでの話が頼もしい、‘銀メダルなのは練習量が世界で二番だから、東京大会では世界で一番練習をして金メダルをとります’、昔は男子レスリングといえば柔道、体操、とともにメダルを量産していた競技。ところが、今は一個か二個。ロンドンではフリーで金1個、銅一個だったが、今回はまだとれるだろうか。

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2016.08.14

マリナーズ 岩隈14勝目!

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マリナーズの岩隈は今日のアスレチックスとの試合で5回1/3を投げ勝ち投手となった。これで14勝目(7敗)、今シーズンの岩隈は4,5月はもたもたしたが、6月以降はぐっと調子をあげ勝ち星を積み重ねている。チームは現在西地区の2位、首位のレンジャーズとの差は6.5ゲーム。

これから追い上げてポストシーズンへの進出ができるか微妙なマリナーズ、エースのフェルナンデスは故障などで万全ではないので久しぶりにポストシーズンに駒をすすめるには岩隈のがんばりがどうしても必要。あと5勝くらいするとチームには明りがみえてきそう。

同僚の岩隈がこれだけ活躍しているのだから、青木もガンガン打ってチームを引っ張っていかないといけないが打率は2割5分をうろうろしてなかなか調子が上がってこない。そのため1番で起用されても常時先発で使ってもらえない。

期待を下回る成績になっているのは序盤3割を意識するあまり思い切りのいい打撃をしなかったことが原因。そしてまさかのマイナー降格、チームは優勝は難しいにしても2枚あるワイルドカードはなんとしても獲得したい。だから、1番の青木がイチローのようにマルチ安打を続け勝利に貢献することが強く望まれている。青木の復活を期待したい。

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2016.08.13

祝 柔道メダル12個獲得!

Img      絶対王者のリネールを破れず銀メダルとなった原沢久喜選手

柔道男子100キロ超級は原沢久喜選手が王者リネール(フランス)を破れず銀メダルとなった。また、女子の78キロ超級の山部佳苗選手は銅メダルを獲得した。これで全種目が終了、日本は男女あわせて12個のメダルを獲得した。拍手々!

男子は金2、銀1、銅4と全員がメダルをとった。金メダルを獲得した大野、ベイカー以外の選手はみな悔しい思いをしているだろうが、手ぶらではなく銀、銅メダルを首にかけて日本に帰れるのだからよかったのではなかろうか。女子は金1、銅4、ロンドン同様金がとれたのでトータルではいい成績。

日本の柔道はやはり一本勝ちが多いのでいい技が決まるとスカッとする。大野選手の切れ味鋭い内股が目に焼きついている。小さい頃からこの柔道の技の美しさに魅せられ続けているので、日本選手以外の試合でも見事な技がでるとつい唸ってしまう。

4年後の東京大会では男子は7階級のうち4つくらい金メダルをとるような気がしてきた。女子だって負けていないだろう。3個くらいいける? 男子の井上監督は嬉し泣きの会見をしていたが、期待に応えられてほっとしていることだろう。監督やコーチの選手への技術的なアドバイスや精神的なケアがうまくいっっていることが今回の好成績で証明された。さらなる飛躍をめざして監督、選手一丸となって突き進んでもらいたい。

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2016.08.12

祝 卓球水谷銅メダル、競泳 金藤金メダル、萩野銀メダル!

Img    卓球で日本初の個人メダルを獲得した水谷隼選手

Img_0001     ベラルーシのベテラン選手を4-1で破り銅メダル

Img_0002     200m平泳ぎで見事1位になった金藤理絵選手

Img_0003    200m個人メドレーで銀メダルに輝いた萩野公介選手

連日日本人選手のメダル獲得が続くリオ五輪、今日は期待していた種目がいずれもメダルに輝いた。朝から最も気合が入っていたのが男子卓球シングルの3位決定戦、準決勝で世界チャンピオンの中国選手から2セットとり健闘した水谷隼の対戦相手は40歳のベテラン選手(ベラルーシ)、戦前の予想は期待をこめて勝つ可能性は6割くらいあるとみていた。1,2ゲームをぽんぽんととったので、ストレート勝ちもあるかなと思った。

ところが、そう簡単にはいかない。3ゲームを落とすと4ゲームの中盤当たりから雲行きがあやしくなった。2-2に追いつかれそうな感じ、デュースで2度追い込まれたときは悪い流れを予感した。でも、水谷がゲームポイントをむかえるとラッキーなエッジボールになった。勝利の女神が水谷のほうに微笑んでいる。これで水谷は一気に勝ちモードの入り4-1で勝利をものにした。拍手々!

卓球はこれまで福原や石川の活躍で女子のほうが注目を集めていたが、水谷隼のメダル獲得によって男子も人気がでるだろう。団体戦がおもしろくなってきた。

女子200m平泳ぎは大方の予想通り、金藤理絵選手が金メダルに輝いた。120mあたりでトップに立つと快調に飛ばし危なげなくゴールした。勝ち方は楽だったが、金藤選手が北京大会に出場したあと8年間の道のりは厳しいものだった。激しいトレーニングの成果がでていい記録がでたのは今年から。そして見事表彰台の真ん中に立った。すらばしい、拍手々!出身は広島にいたとき山陰へ行く途中通り過ぎた庄原、だから彼女に親しみを覚える。

萩野の2個目の金を期待していた200m個人メドレー、残念ながら怪物フェルプスには歯が立たなかった。ラストの自由形の前は5位まで落ちたのでメダルは無理なようにみえたが、荻野はやはりものがちがう。最後の25mあたりから猛然と追い上げ2位に入った。拍手々! 4年後はフェルプスがいないから北島のように2冠の可能性がある。金、銀、銅と3つのメダルを手にして萩野は日本水泳界の堂々たるエースになった。どんどん強くなってほしい。

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2016.08.11

祝 金メダル 体操内村、柔道ベイカー、田知本!

Img    大逆転で個人総合2連覇をなしとげた内村航平選手

Img_0001    90キロ級で初めて優勝したベイカー茉秋選手

Img_0002     女子で金メダル一号となった70キロ級の田知本遙選手

今日3人の日本選手が金メダルを獲得したことは朝起きてから知った。体操個人総合で内村選手の2連覇したのは予想通りだったが、ライブでみていた人は最後の種目鉄棒がはじまる前はウクライナのベルニャエフに負けたと思ったにちがいない。

録画映像をみると内村の鉄棒は神がかっていた。3つの離れ技を美しくこなし、ビシッと着地を決めて15.8の高得点をたたきだした。これに対し、1点近くもリードしていたベルニャエフは着地を決められず14.8点。なんと内村の奇跡的な逆転勝利となった。内村はやはりイチローのようになにかをもっている。拍手々!

柔道はベイカー茉秋(ましゅう)と田知本選手の2人が準決勝に進んだのを確認して眠りについた。ベイカーの柔道には優勝の予感がしたので起きてようなかと迷ったが、田知本選手が決勝まで進むのはなさそうと思ったので寝不足を回避した。

結果は半分はあたり半分は外れた。2回戦でオランダの強い選手を延長戦で破った田知本選手、これが金メダルへの一歩だった。得意の大外刈りがさえ、見事オリンピックチャンピオンに輝いた。準々決勝で負傷し無念な結果に終わったロンドンから4年、南米のリオでそのリベンジを果たした。本当にすばらしい、拍手々!

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2016.08.10

祝 競泳 坂井200バタ銀、800メートルリレー銅!

Img     フェルプスを猛追し銀メダルを獲得した坂井聖人

Img_0001    ‘ゴーツーメダル’のポーズをとる800mリレーメンバー

競泳の選手たちが連日活躍してくれるので午前中の応援が楽しくてたまらない。今日は200mバタフライで坂井聖人選手が見事銀メダルを獲得した。拍手々!

400m個人メドレーで3位になった瀬戸大也も出場した決勝、関心は瀬戸のほうだったが、最後の50mでぐんぐんでてきたのが坂井、この選手まったく知らない。瀬戸よりすごいじゃないか、というのが率直な感想、あとふたかきくらいでフェルプスをとらえていたが、2着に入ったのは大金星!この選手もなかなかのイケメンで大学生。出身は福岡県の柳川市、ついこのあいだ優勝した大関の琴奨菊と同郷。地元は大騒ぎにちがいない。

バタフライはメダルがとれるかもしれないという予想をしたが、最後の決勝、800mリレーは望みがなさそうだった。とろこが、今の日本の競泳陣は強い絆で結束している。なんと、3位に入った。この種目でメダルをとるのは東京大会以来52年ぶりのこと。これは快挙、拍手々!

エースの萩野がいい泳ぎでトップグループで2番手の江原につなぐと、、江原も次の小堀も2位をキープした。予選の時とはまったくちがうがんばり、これはいけそうな感じになってきた。アンカーは32歳の松田、いつもはバタフライのエースとして出場してメダルをとってきたが、今大会はこのリレーだけの出場。

最後はイギリスのエースに抜かれて3位に後退したが、見事にメダルを獲得した。4年前400mメドレーリレーで3位になったときと同じような盛り上がり、リレーは大声援のなかで順位争いをする選手たちの姿に感動する。思わず手をたたいた。4人それぞれすばらしい泳ぎだった。

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2016.08.09

祝 体操男子団体 金メダル 柔道73キロ 大野 金メダル!

Img     アテネ大会以来、3大会ぶりに金メダルを獲得した体操男子

Img_0001      ゆかで4回転ひねりを成功させる白井健三

Img_0002     柔道界の新ヒーロー大野将平

Img_0003     決勝でアゼルバイジャンの選手に一本勝ち

今日はあとからふりかえるとリオ五輪のハイライトだったかもしれない。日本のお家芸である体操と柔道で2つの金を獲得した。拍手々!

体操男子団体の決勝があることはわかっていいたが、予選でミスがたくさんでたので優勝は無理かもしれないと90%思っていた。そのため、柔道の男子73キロと女子57キロのほうを夢中になってみていてチャンネルを切り変えたのは鉄棒の演技から。加藤、内村、田中は大きなミスはなく得点は15点以上、これでロシアを抜いてトップに立った。

最後のゆかで度肝を抜かされのが10代の白井健三の驚愕のひねりと回転の演技、スポーツニュースで白井が今やゆかでは世界ナンバーワンの選手であることは知っていたが、その演技はみたことはなかった。解説者が‘これからすごい演技がはじまりますのでよくみてください’と言っていたが、確かにほかの選手と比べる一段上のレベルの演技をしている。これが噂の白井のゆかか、という感じ、評価も高く16点をこえた。

出場した種目で安定した演技をみせた加藤は25歳くらいかと思っていたがまだ22歳だった。ゆかもうまくまとめていた。予選から終始いい演技をしてチームの悪い流れを断ち切ってきた加藤、イケメンで俳優が体操ををやっているよう。そして、エースの内村はびしびしっと切れ味のある演技でしめくくった。

体操の団体で優勝するのは12年ぶり、この金メダル獲得で東京大会でも体操ニッホンをみせつけてくれそうな気がする。体操の場合、鉄棒でも跳馬でもゆかでもすばらしい演技は何度みても気持ちがいい。内村の個人総合、白井のゆかの金はまちがいないだろう、白井が跳馬も金をとるかどうか、楽しみ。

柔道73キロで金メダルを獲得した大野将平選手、最初の試合をみてすぐこの選手はものがちがう、と思った。これまでいい柔道家を何人もみてきたが、大野も柔道家列伝に入れる逸材だった。とにかく技が切れる。とくにいいのが内股、決勝でアゼルバイジャンの選手を小内刈りで一本にしとめてもガッツポーズなどみせない、こんな選手はみたことがない。この選手の柔道はお金を払ってでもみにいきたい。

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2016.08.08

祝 イチロー 大リーグ3000本安打達成!

Img    ロッキーズ戦で三塁打を放ち大リーグ3000本安打を到達

Img_0001      マーリンズの同僚から祝福されるイチロー

イチローが今日のロッキーズ戦で三塁打を放ち大リーグ通算3000本安打を達成した。拍手々!あと2本から予想外に時間がかかったが、3000本という偉業にたどりついた。アメリカ人以外で3000本をこえたのはこれまで4人しかいなかった。ここに27歳でデビューした日本のイチローが加わるのだから、誇らしい気分になる。

今シーズンのイチローは不振だった昨年と比べ奇跡的な回復をみせ、大台まで65本のヒット数を期待を上回るペースで積み重ねてきた。好調のひとつの要因はイチロー自身がオフから行った改善策の効果がでて右方向に強く引っ張る打法が復活したこと。もうひとつは監督が一番で先発に起用してくれたこと。

昨年マーリンズの一番は首位打者と盗塁王を獲得した二塁手のゴードン、ところが薬物使用で半分の試合に出場できなくなった。そのため、イチローは先発で使われるときはすべて一番、この打順はイチローの奮闘大いに促した。長年つとめた一番だから気分が悪かろうはずがない。

ここ数試合もたついたのは復帰のゴードンが一番にすわり先発のイチローの打順が2番と6番(今日の試合)に下がったことも微妙に影響したかもしれない。打順というのは打者にとってこだわりがあるから、これまでと違いと気持ちの持ち方に変化があらわれる。ヤンキースでイチローが輝かなかったのは下位で起用されたから。

マーリンズはこれからポストシーズン進出に向かって大事な戦いが続く、イチローはこれで3000本安打に
区切りをつけたから若い同僚の精神的な支柱となってチームの勝利に貢献することだろう。3度目となるポストシースンでイチローがヒットを打つ姿を是非みたい。やってくれそうな気がする。

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2016.08.07

祝 400m個人メドレー 萩野金メダル、瀬戸銅メダル!

Img       競泳で最初のメダリストになった萩原、瀬戸選手

昨日開幕したリオデジャネイロオリンピック、今日は競泳で期待の男子400m個人メドレーの決勝が行われ、見事萩原選手が金メダル、瀬戸選手が銅メダルを獲得した。拍手々!

2人とも予選でいいタイムがでて皆が期待しているワンツーフィニッシュが実現しそうな雰囲気だったが、後半に強いアメリカの選手が2位に食い込んできたので瀬戸は3位に終わった。萩原はロンドンが銅だから瀬戸とすればはじめてのオリンピックでメダルがとれたので大いに満足しているのではなかろうか。

400m個人メドレーで日本人がオリンピックで勝つなんてちょっと前なら考えもつかなかった。ところが、今は萩野が世界ランキング1位、その実力通り金メダルに輝くのだからたいしたもの。バタフライ、背泳、平泳ぎ、自由形を100mずつ泳ぎこなしていくのは高い技術と耐久力が要求される。それをマスターして2人は世界のトップスイマーとして活躍している、本当にスゴイ!

萩野はこのあと200m自由形、200m個人メドレー、800mリレー、瀬戸は200mバタフライにそれぞれ出場する。レジェンド北島のように萩野は200m個人メドレーにも勝つかもしれない。そして瀬戸も得意のバタフライでメダルは期待できる。新しいヒーローの泳ぎに目が離せなくなった。がんばれ、萩野公介、瀬戸大也!

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2016.08.06

近代日本美術の煌き! 1969年(昭和44) その二

Img     松田権六の‘赤とんぼ蒔絵箱’(京近美)

Img_0001     岡部嶺男の‘精青瓷大砧’(宮内庁)

Img_0003     楠部彌弌の‘碧玉釉包花瓶’(敦井美)

近代の漆芸界において神様のような存在なのが松田権六(1896~1986)、はじめてお目にかかったのはかなり前NHKが制作した蒔絵の美術番組。権六といういかつい名前がついているが、その表情は静かな雰囲気をもった辛抱強い職人という感じだった。

90歳まで漆芸の技を磨き続けた権六が70歳をこえてつくったのが葦に赤とんぼをあしらった蒔絵の飾箱。蒔絵をみるときいつも注目しているのが使われた夜行貝の輝き、ここではとんぼの羽に使われている。10年前東近美で松田権六展に開かれたとき、この赤とんぼを息を呑んでみていた。図録は漆芸のバイブルみたいなものでときどき眺めていい気持になっている。

岡部嶺男(1919~1990)はご存知のように加藤唐九郎の息子。青瓷をつくらせたら天下一品、そのなかで最も惹かれているのが‘精青瓷大砧’、一目見たら忘れられない砧の形と奇跡的に生まれたような見事な二重貫入が心をとらえて離さない。10年くらい前東近美で回顧展があったが、そのころはまだこの陶芸家に開眼してなく見逃した。悔やまれてならない。

焼き物でつくられる茶碗や花瓶にはいろいろな形があるが、美しい丸みをもった花瓶に出会うとほっとする。楠部彌弌(1897~1984)の‘碧玉釉包花瓶’はインパクトの強い作品で、目に沁みる強い青と巨人がその大きな指の跡をつけたような表面のへこみが視線を釘付けにする。

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2016.08.05

近代日本美術の煌き! 1969年(昭和44) その一

Img_0002            田中一村の‘アダンの海辺’

Img     横山操の‘赤富士’(水野美)

Img_0001     堂本印象の‘遍界芳形’(京都 西芳寺・西来堂)

2010年 千葉市美で行われた田中一村(1908~1977)の回顧展はとても印象深い展覧会だった。以前から好感度の高かった千葉市美、待望の田中一村展を実現してくれたのでまた好きになった。

このとき奄美を舞台にして描いた密度の濃い植物画や魚の絵は全部で34点、そのなかで一際輝いていたのが代表作の‘アダンの海辺’、アダンをみたことがないのでこれがどんなものわからないがイメージとしてはパイナップル、食べられるのだろうか?強烈な存在感を放つアダンだけでなく砂浜の小石や静かな海面の精緻な描写にも目を奪われる。これをみれたのは一生の思い出。

横山操(1920~1973)は同じ苗字の横山大観と同様、富士山をたくさん描いた。自ら2000点以上描いたと豪語したといわれているがこれはちょっとオーバー、燃えるような赤と強い金色で描いた赤富士が多いが寂寥感がただよいしんみりとさせる富士もある。

最近得た情報によると、京都の西芳寺(苔寺)はこれからは予約なしで拝観できるらしい。隣の方はその気になっているので京都へ出かけたさいは寄ってみたい。そのとき見逃さないようにしたいのは堂本印象(1891~1975)が描いた襖絵‘遍界芳形’、琳派狂いでカンディンスキーが好きとくればこの琳派風の抽象画は200%ぐっとくる。

 


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2016.08.04

近代日本美術の煌き! 1968年(昭和43) その二

Img     小倉遊亀の‘観自在’(滋賀県近美)

Img_0001     棟方志功の‘門世の柵’(鎌倉 棟方板画美)

Img_0002     橋本明治の‘舞扇’(松岡美)

Img_0003     岡本太郎の‘明日の神話’(部分)

画家が制作した絵画がどんなときどういう思いをこめて描かれたのかをさもすべてを承知しているかのように語るのが美術評論家、絵画を真に楽しんでない人はこういう人の意見を熱心に聞く。でも本当にすごい審美眼をもっているのはほんの一握り。多くの人は美術という歴史の研究者にすぎない。だから、どの絵が傑作中の傑作かといったことはよくわかってない。

絵のことが少しわかってきたらこういう余計なことを考えさせる人たちの話はほどほどにしたほうがいい。画家のイメージも作品を多くみて自由につくっていく。では小倉遊亀(1895~2000)はどんな風にみえるか、つくづく優しい心根をもった人だなと思う。

‘観自在’の観音菩薩様はえらの張った顔をしている。モデルに使った女の子や若い女性の顔もみなこんな感じ、これを勝手に‘柿顔’と呼んでいる。丸のような四角のような顔をしているから、すごく親しみを覚える。そして、サプライズは観音様は蓮台を飛びたとうとしていること。こんな動きのある仏画はみたことがない。

棟方志功(1903~1975)の大首絵の美人画に大変魅了されている。どれもまん丸の顔だちでほっぺは小さな子供のように真っ赤。‘門世の柵’は最も好きな一枚、ピチピチした肌が目に眩しいj女性の姿はまさに命を生み出す女性エネルギーそのものという感じ。

橋本明治(1904~1991)の‘舞扇’は白金にある松岡美のコレクション。もう何年もこの美術館はご無沙汰しているが、東京都庭園美でいい企画展があれば足をのばしてみたい。そのとき明治のお得意の舞妓と再会できるだろうか。

JR渋谷駅と京王井の頭線渋谷駅の連絡通路のところに岡本太郎(1911~1996)の大壁画‘明日の神話’が飾られたのは2008年の11月18日、それから8年が経った。今ではじっと立ち止まってみることもなく、渋谷にある馴染みの風景の前を通り過ぎているという感覚になっている。

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近代日本美術の煌き! 1968年(昭和43) その一

Img_0004     東山魁夷の‘年暮る’(山種美)

Img_0002    横山操の‘越後十景 親不知夜雨’(山種美)

Img_0001     加山又造の‘天の川’(右隻)

Img     吉田善彦の‘大和四題’(山種美)

東山魁夷(1908~1999)の作品は隙のない風景画というイメージが強い。日曜画家が得意とする風景画と較べると静けさの深さがちがう。でも、こういう作品ばかりではない。緊張しないで絵に入れて心にジーンとしみるものもある。

そのなかでいつみてもいいなと思うのが‘年暮る’、この絵は与謝蕪村の国宝‘夜色楼台図’の現代版、いずれ重文に措定されるだろう。大みそかに雪が降るという設定がなんともいい。人々は雪の情景につつまれてもうすぐやって来る新年を静かに待っている。これほど日本人の琴線にふれる絵はそうはない。

横山操(1920~1973)の‘越後十景 親不知夜雨’をみるとNHKの昔の旅番組‘新日本紀行’が思い出され、テーマ音楽が聴こえてくるよう。広島に住んでいたときよく鳥取へ出張し日本海沿いをクルマで走った。だから、この絵に描かれているような厳しい日本海を肌で実感している。

横山操とうまがあった加山又造(1927~2004)はこの頃、琳派風の作品にのめりこんでいた。‘天の川’もすばらしい一枚。このところ宇宙の話に夢中なので天の川は銀河系というほうがしっくりいくようになった。切金で表現された天の川はまさに天空の神秘。この絵に魅了され続けているのはもやっと描かれた天の川と装飾的に図案化された地上に咲く桔梗や女郎花が柔らかくとけあっているところ。毎日ながめていれば軽く生きられる。

吉田善彦(1912~2001)の作品をみたのは数回しかない。昨年世田谷美であった‘速水御舟展’で久しぶりに4,5点みた。‘大和四題’は代表作で‘昭和の日本画100選’(1989年)にも選ばれている。霞がかかったような表現は奈良の風景にはぴったりかもしれない。

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2016.08.02

近代日本美術の煌き! 1967年(昭和42) その二

Img_0003     石黒宗麿の‘鉄絵荒蕪文平鉢’(愛知県陶芸美)

Img_0002         芹沢銈介の‘津村小庵文帯地’(東北福祉大)

Img     鹿児島壽蔵の‘志賀島幻想箕立事’

やきものの展覧会で楽しいのは作品自体が茶碗や壺といったあまり大きくないため一度に多くの作品がみれること。年初に渋谷の松濤美でみた石黒宗麿(1893~1968)の回顧展では全部で120点くらいでてきた。

新進の陶芸家ならまだ作品の数が十分揃わないが、長いことやきものをつくっている作家ならバラエティにとんだ作品がずらっと並ぶ。石黒の作域はとても広い。中国の磁器をとことん追及してしているから、いろんな形や絵付けのモチーフがでてくる。‘鉄絵荒蕪文平鉢’な最晩年の作品、描かれているのは荒地に生えている草、そのたくましい姿が胸を打つ。

今年は春ごろ東近美の工芸館で染色家、芹沢銈介(1895~1984)の展覧会があった。ちょっと心が動いたが、図録が3冊もたまっている今回はパスした。染色の仕事は染めの技の会得、図案の構成、色彩の選び方など多くの経験が必要、そのなかでもっとも難しいのが図案、芹沢は70歳をこえてもその卓越したデザイン力はなお大きな強さを持っており、村の風景をもこもことした曲線を使って表現した‘津村小庵文帯地’を生み出した。

2年前東博で行われた人間国宝展で鹿児島壽蔵(1898~1982)のとてもユニークな造形をした‘志賀島幻想箕立事’に出会った。逆立ちをした人魚が腰をぐっと曲げる格好をしている。ここ数年やきもの以外の工芸に関心がむかっているので、こういう作品をみると敏感に反応する。もうすぐリオオリンピックがはじまるが、女子体操の平均台の演技をイメージした。

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2016.08.01

近代日本美術の煌き! 1967年(昭和42) その一

Img     堂本印象の‘はるかな海’

Img_0002     濱田庄司の‘白釉黒流掛大鉢’(川崎市市民ミュージアム)

Img_0001     岩橋英遠の‘神々とファラオ’

画家に個性があるのはあたりまえだが、その個性がこんな絵も描くのかというほど強烈であると関心をとおりこして驚異の的となる。日本画家でそんなイメージを抱かせるのが福田平八郎(1892~1974)と堂本印象(1891~1975)、ともに京都を本拠地にして活躍した。

堂本印象の装飾的な抽象画に魅了され続けている。強い思うがあるのに残念ながら回顧展をみる機会が巡ってこない。東近美あたりが動いてくれると嬉しいのだが、まだまだ先のことになりそう。‘はるかな海’は金を面にも線にも多用する構成がカンディンスキーの作品を連想させる。印象の頭には前衛としてもカンディンスキーと琳派の伝統である装飾性を意識したのかもしれない。とにかく印象のアヴァンギャルド感覚は突き抜けている。

陶芸で前衛を感じさせるのはなんといっても濱田庄司(1894~1978)の大きな鉢や皿に施す流し掛け、柄杓で黒釉薬を器面に勢いよく掛ける熟練の技はまさに濱田にしかできない瞬間芸。ポロックのアクションペインチングのやきものヴァージョンといっていい。この勢いがあってリズミカルに並んだ線がわずかな10秒そこらで見事にできあがるのだからその技はもう神業に近い。

北海道出身の岩橋英遠(1903~1999)の‘神々とファラオ’はじっとながめていると古代エジプトにおけるファラオと神々の物語が浮かんでくる。杉山寧同様、岩橋も古代エジプトに大いに刺激されたようだ。

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