質の高い作品を揃えるティッセン・ボルネミッサ美!
ルーベンスの‘ヴィーナスとキューピット’(1606~11年)
マドリッドで訪問することを決めていた美術館はボス展をやっているプラドとここから目と鼻の先にあるティッセン・ボルネミッサ美の2館。もし、ボスとラ・トウールがあまり待ち時間がなく順調にみれたらピカソのゲルニカに会うためソフィア王妃芸術センターにも寄るつもりだった。
プラドはお目当ての2つの回顧展を満喫したあと常設展示をまわり追っかけ作品をみたため時計の針は2時を指していた。トータルで4時間、ここで鑑賞エネルギーをだいぶ使い果たしたので次はティッセン・ボルネミッサだけにすることにした。
この美術館へ入るのは2度目。2011年のとき1階から3階まで時間をかけてみたが、作品の数が予想以上に多く、館の図録に載っている作品で姿を現してくれなかったものが数多く残った。だから、今回はそのリカバリーをしようと意気込んで進んでいった。
展示の構成は3階がルネサンス絵画、バロック絵画、2階が印象派や表現主義、北米絵画、そして1階が近現代アート、となっている。はじめてここへ来た人はコレクションの質の高さに驚くにちがいない。とにかく軽くみれない作品がここにもあそこにもあるという感じ。
リカバリー作戦は予想以上に上手くいった。シエナ派のマルティー二(1284~1344)の‘聖ペテロ’とまず会え、いいスタートをきったと思ったら、すぐ近くに最もみたかったファン・エイク(1390~1441)の‘受胎告知’が現れた。ぱっとみると目の前に彫像があるような感じ。なんと見事に描かれたみせかけの彫像、だまし絵である。ファン・エイクは誰も真似のできないぬきんでた技術をもった特別の画家、その作品をこの美術館はしっかり所蔵しているのだから恐れ入る。
ルーベンス(1577~1640)の‘ヴィーナスとキューピット’もぐっとテンションがあがる傑作。モデルは生身の女性を思わせる雰囲気があり、思わず見入ってしまう。ワシントンナショナルギャラリーでティツイアーノが描いた本歌を楽しんだが、これも甲乙つけがたい出来栄え。ルーベンス同様、期待値の高かったレンブラント(1606~1669)の‘自画像’も姿をみせてくれた。上々の滑り出しだった。
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コメント
ティッセン・ボルネミッサ美術館は、再訪したい美術館の一つです。METより小さいものの、MET同様に中世ルネサンスから現代まで質の高い作品で概観できる貴重な美術館ですね!
ご紹介作品の中では、特にマルティーニとレンブラントに惹かれます。14世紀シエナ派の童話の挿絵的色彩と抒情的雰囲気がとても好きなのですが『聖ペテロ』にも、そうした魅力があると思います。
レンブラントの自画像は、最晩年の作品を予兆するような内面の深さが出てきていますね。毛皮や金属の描写も見事です。
投稿: ケンスケ | 2016.07.02 11:32
to ケンスケさん
今回館内はフラッシュをたかなければ写真OKと
なってました。でも、デジカメが壊れましたので
足のとまった作品を画像にできませんでした。悔や
まれます。
素朴な印象のマルティー二の画風は心がなごみます。
レンブラントは大きな絵ではありませんが丁寧な描写
に魅了されます。
投稿: いづつや | 2016.07.02 23:43