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2016.07.23

近代日本美術の煌き! 1964年(昭和39) その一

Img_0002     安田靫彦の‘飛鳥の春の額田王’(滋賀県近美)

Img_0001     寺島紫明の‘舞妓’(大関株式会社)

Img    宇田荻邨の‘桂離宮笑意軒’(東近美)

Img_0004     森口華弘の‘大振袖 梅林’(京近美)

美術館が展覧会を開催するときに制作する図録のなかには特別愛着を覚えるものがある。今年3月に東近美で行われた安田靫彦展は宝物のような一冊になった。そのベスト図録に載った作品で一際目を見張らせるのは80歳の安田靫彦(1884~1978)が描いた‘飛鳥の春の額田王’。

歴史上の人物で男性を描いた最高傑作が‘喜瀬川陣’(1940年)なら、女性はこの額田王が群を抜いていい。西洋絵画まで視座を広げてみるとこの絵はダ・ヴィンチの‘モナリザ’のようなイメージがある。手前にやわらかい表情の額田王をどんと描きその背景に古の大和の山々や寺院をみせる。横向きのポーズは西洋の古典を彷彿とさせる構成。

舞妓の画家というとまず思いつくのが土田麦僊、そしてもうひとり忘れてならないのが舞妓の艶やかな姿を美人画として残した寺島紫明(1892~1975)、師匠の鏑木清方の描く女性にくらべると舞妓たちが動くたびに顔や首にぬったおしろいがほわーっと匂ってくるよう、この匂いに男はころっと参る。

宇田萩邨(1896~1980)の‘桂離宮笑意軒’は静かでとても平板な印象を与える風景画、京都にはいろんな庭園があり木々の間に簡素で開放的なつくりの家屋敷が姿を見せる。贅沢な願いだがこういう庭園をゆっくりみてまわりたい。

日本橋や銀座のデパートで展覧会をみたついでに着物の売り場に寄ることがある。昔から着物の色や柄には大変興味があり、飾られている出来映えのいい着物をじっとながめている。友禅染の森口華弘(1909~2008)の着物は東近美や京近美で何点かある。みていて涼やかな気持ちになる‘大振袖 梅林’は10年前‘人間国宝展’でお目にかかった。伝統的な友禅の美に加え斜めに梅の林をリズミカルに配する現代感覚にあふれる意匠が見事!

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コメント

明治以降の日本画の魅力を示してくれる作品群ですね。

今年の安田ユキ彦展は、本当に充実していました! そして画家が死ぬまで制作に打ち込んだ姿に感動しました。80歳の時に『飛鳥の春の額田王』のような作品を描くなんて、まったく驚愕してしまいます。流れるような線描は、ただただ見事です。

宇田萩邨の『桂離宮笑意軒』は、東京国立近代美術館でお目にかかっていませんが、こうした淡い色合いは日本画独自の魅力ですね!

投稿: ケンスケ | 2016.07.25 22:47

to ケンスケさん
澄んだ色彩が心を打つ安田靫彦の作品はしみじみ
いいなと思います。額田王は日本画の金字塔の
一つですね。

宇田萩邨の桂離宮は京都らしい作品ですね。この
画家の回顧展を待っているのですが、難しそうです。

投稿: いづつや | 2016.07.26 01:09

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