ヨーロッパの美術館でハドソンリバー派に会えるとは!
お気に入りの画家との距離感がぐっと縮まるのは回顧展に出会ったとき。そこでその画家の代表作が一通り頭のなかに入る。そして、作品の記憶と一緒にどこの美術館がその名画を手に入れているかという情報もインプットされる。
2008年シカゴ美を訪問したときにまさかの大回顧展に遭遇した。ここでのお目当てはあの‘夜ふかしをする人たち‘、これをみるだけで目的の50%を達成できるというのにホッパー(1882~1967)の作品をほかにもどどっと見れることになった。もう天にも昇る気持ちだった。
興奮状態のままみて回ったが、足が思わず止まる作品の前では美術館の名前もしっかり覚える。とても魅了された‘ホテルの部屋’はティッセン・ボルネミッサのコレクションだった。2011年のとき軽くご挨拶しておいたが、今回ホッパーはこれだけでなくもう一点いいのがでていた。心がスカッと晴れるような明るい海景画‘ヨットとカモメ’。
この絵をいつ手にいれたの?シカゴで同じようなヨットの絵を2点みていたので日本に帰ってチャックしたらほかの美術館の所蔵だった。新しいホッパーに会えるなんて最高!
はじめてこの美術館を訪れて感心したことがある。それはヨーロッパにあるほかの美術館ではほとんどみる機会がないアメリカ絵画が展示されていること。前回はコール、チャーチ、ビーアスタットらハドソンリバー派の作品が1点ずつ3点と遭遇した。今回はぐっと増えて全部で6点、そのなかで長くみていたのがビーアスタット(1830~1902)の‘滝の景観’、それほど大きな作品ではなかったが、壮大な構図で細部まで緻密の描かれた滝の景観に心を打たれた。
リカバリーを切に願っていた作品のひとつがカンディンスキー(1866~1944)の‘ムルナウの家’、画面を構成する角々した家がユニット的に表現主義派やフォーヴィスムを思わせる強くて深い色調で描かれている。カンディンスキーは華麗さのほとばしる抽象絵画へむかう前にこんな緑や紫が印象に残る作品を手がけていた。
未来派のバッラ(1891~1958)はボッチョーニ同様、昔から関心の高い画家。5年前にも立ち尽くしてみたみて‘ダイナミズム’にまたやられた。前ショップに絵はがきあった?図録には載ってないので2枚目になるかもしれないが買っておいた。
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コメント
ティッセン美術館は、本当に多彩ですね!
ホッパーの『ヨットとカモメ』は、目の覚めるような青のグラデーションが見事で、画家が色彩にも優れた感覚を持っていたことをうかがわせます。
アメリカ絵画は、確かに他のヨーロッパの美術館にはないのでティッセン美術館の大きな魅力ですね。『滝の景観』は、ビ―アスタットらしい雄大さに吸い込まれていくようです!
具象時代のカンディンスキーの『ムルナウの家』は、色彩に才気あふれるものが感じられますね。
投稿: ケンスケ | 2016.07.06 21:33
to ケンスケさん
ホッパーにもう一枚いいのがありました。シカゴ
の回顧展のときに心を打たれましたので、ぼあーっ
としてみてました。
そして、ビーアスタットやコールやチャーチがみれ
るのですから嬉しいですね。昨年でかけたボストン
にあったアメリカ絵画のパート2をみている感じで
した。今回デジカメが壊れてこうした作品を撮れな
かったのが悔やまれます。
カンディンスキーの深い色合いが印象的な‘ムルナウ
の家’も期待通りの名画でした。
投稿: いづつや | 2016.07.07 00:12