近代日本美術の煌き! 1966年(昭和41) その三
今日の日曜美術館でとりあげられた画家は今横浜美で回顧展が開かれているメリー・カサット、心が和む母子絵がいくつもでてきたが、そのなかに銅版画の‘母親のキス’という作品があった。この絵と200%コラボするのが平田郷陽(1903~1981)の‘抱擁’。
毎年伝統工芸展へ足を運んでいるわけではないのでこういう展覧会にでてくる作品をみる機会が少ない。それでも、どんな作家が名が知れているかアバウトにインプットされているのは大きな人間国宝展と2回遭遇したから。‘抱擁’は2年前、東博であった日本伝統工芸展60回記念展でお目にかかった。日本でカサットの絵に相当する作品というとすぐ思い浮かぶのは上村松園の絵とこの平田郷陽の人形。母親の子どもによせる深い愛情はどこの国でもいつの時代でも変わらない。
友禅の人間国宝、木村雨山(1891~1977)は金沢市の出身、東近美によく通っていたころ‘縮緬地友禅梅文訪問着’に度々出会い、作者が木村雨山であることを知った。着物の柄というのは一目見て印象に残るものがやはりいい出来映えなのだと思う。梅の連続した模様が斜めに流れていくのがじつに爽快。
加茂田章二(1933~1983)は陶芸家という枠におさまりきらないスケールの大きなア―ティストだった。もっと長生きしたら魅了される作品にまだまだみれたはずだから50歳で天に召されたことが残念でならない。‘灰釉鉦鉢’は日本のやきもの原点に回帰した作品。生活のなかで必要な鉢が堅牢な造形でつくられている。
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