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2016.06.18

ブリューゲルのとっても怖い絵 ‘死の勝利’!

Img     ブリューゲルの‘死の勝利’(1562年)

Img_0001    骸骨の大軍の襲撃

Img_0004     馬にまたがり鎌をふりまわす骸骨

Img_0002        死に処刑される生者

西洋絵画好きでブリューゲル(1525~1569)がどんと心のなかに入ってくるのはウィーンにあるウィーン美術史美を訪問したときからではなかろうか。ここにあるブリューゲル作品が1点でもいいから日本にやって来てくれないかと長いこと願っているがいっこうに実現しない。やはり無理か、、

ブリューゲルのイメージは多くの人と同じようにこの美術館にある農民画や‘バベルの塔’でできあがった。このあとほかの美術館にある作品と出会い、ブリューゲルとの距離を少しずつ縮めてきた。幸いにもいろんな美術館へ出かけることができたので、画集に載っている代表作はかなり済みマークがついている。

今回、念願の‘聖マルティンのワイン祭り’と対面したので、コンプリートまであと5点くらい。そのなかでなんとしても見たいのはベルリンの国立絵画館が所蔵する‘ネーデルランドの諺’。これが目に入ればブリューゲルはOKにしてもいいのだが。ベルリン旅行はもうちょっと先。辛抱強く待ちたい。

プラド美の1階の56A室はボスの‘快楽の園’が飾ってあるところ。ここにブリューゲルのとっても怖い絵がある。‘死の勝利’、ここへくるたびに必ずみるが今回は‘聖マルティン’を堪能したあと久しぶりに時間をかけてみた。ここに描かれているおびただしい数の骸骨(=死)をみたら、ブリューゲルに対していだいていたイメージがちょっと変わるかもしれない。それほどこの絵は強烈なインパクトをもっている。

これはご存知のように人間だれでも死が訪れるという‘メメント・モリ(死を思え)’の寓意画。あらためて怖いと思ったのは画面右半分の中央にびっしり描かれている骸骨の大軍、一体何人いるのだろう、とにかくすごい人数。この隊列を見せられたらもう観念せざるをえない。どうあがいても死から逃げることはできない。

真ん中の下では男がナイフで首を切られ、そのうえではやせこけた馬に乗った骸骨が大きな鎌をふりまわしながら疾走している。右の丸テーブルの前で剣を抜く構えをみせ立っている男もそのうちガツンと殺されるのだろう。その横でマンドリンを弾き恋人を慰めている若者も同じ運命が待っている。

目を上にやると、ひざまずいて命乞いをする男に骸骨は容赦なく剣を振り下ろそうとしている。その向こうには人間をくくりつけて輪を回す拷問の道具があり、絞首台に一人つるされている。画面の上半分はボスの絵のように火の燃えさかる地獄の光景。ここでは死がとことん生に勝利する。

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コメント

『死の勝利』は、本当に怖い絵です。

16世紀のネーデルランドはペストから残虐な戦争まで生が死と隣合わせだったので、今以上に死が身近に感じられる主題だったのでしょう。

ブリューゲルの遺稿で画家本人も傑作だと自負していたとのことですが、見る人は細部描写と全体の迫力で絵の前に釘づけになってしまいますね! 私もこの絵の前に立った時の衝撃は、よく覚えています。

投稿: ケンスケ | 2016.06.19 22:50

to ケンスケさん
われわれには‘メメント・モリ’が体でわからない
ところがありますね。日本にも地獄があり閻魔大王
がいますので死後の世界のことが気になりますが、
死を擬人化してとらえませんので死の怖さをヨーロ
ッパの人ほど実感しないですね。その意味では幸せ
だったかもしれません。

投稿: いづつや | 2016.06.20 01:27

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