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2016.06.17

待望のブリューゲルの‘聖マルティンのワイン祭り’と対面!

Img    ブリューゲルの‘聖マルティンのワイン祭り’(1566~67年)

Img_0002      中央上、ワイン樽に群がる人々

Img_0003     右半分 白馬に乗っているのが聖マルティン

Img_0001     左半分 左端に赤ん坊にワインをなめさせる母親

プラドの常設室に展示してある作品で真っ先に探したのはフラ・アンジェリの‘ザクロの聖母’と2012年の4月から展示されているブリューゲル(1525~1569)の‘聖マルティンのワイン祭り’。

‘聖マルティン’は対面を強く望んでいた作品。ボス、ブリューゲルはカラヴァッジョ同様、コンプリートを実現させたい画家なので2010年の9月にプラドがブリューゲルの大作を発見したというニュースが飛び込んできたときは鑑賞欲が強く刺激された。プラドで公開されたのはそれから1年2ヶ月後の2011年12月、翌年の3月まで公開されそのあと1階の56A室に飾られている。

この絵をみるためにもう一回はプラドに足を運ぼうと思っていたが、ボス展のおかげで念願のブリューゲルまでみることができた。ミューズに感謝!事前にブリューゲルを特集した‘芸術新潮’(2012年3月号)に載った森洋子女史の解説文を読み、見どころのポイントをコピーしていた。

これを参考にしながら画面の隅から隅までみた。この絵はブリューゲルの絵では一番大きく、横は270㎝もある。描かれているのは新酒のワインを祝う聖マルティンの祝日(11月11日)の様子、視線が集まるのが中央上の赤いワイン樽に群がっている人々の表情、もう思いっきり好きなワインを飲んでいる感じ、ラッパ飲みする者もいれば小皿に口をあて夢中で飲んでいる者もいる。

樽の下のほうでは新酒をコップに入れようと皆必死の形相、‘俺のほうが先だろ、邪魔するなよ’なんて怒鳴っているよう、左半分の画面の左のほうでは男たちがケンカをはじめ、その隣にいる母親は赤ちゃんにワインをなめさせている。その下では泥酔した男が倒れている。風俗画が大好きだからこういう場面はのめりこんでみてしまう。

右半分の白馬にまたがっているのが聖マルティン、316年頃ハンガリー西部で生まれフランスのトウールの司教になった人物。軍人マルティンは貧者にマントを切って与えたことから救貧の鑑と崇拝された。白馬の傍にいる足なえたちは裂かれたマントをもらおうとしている。

念願のブリューゲルの絵がみれて大満足。プラド美に乾杯!

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コメント

私も『芸術新潮』の森氏の解説を興味深く読みました。

そのほか『聖マルティンのワイン祭り』の発見当時、ネットで日本人研究者が面白い解釈をしていました。それによると、この作品で目立つ樽の赤と中央のシャツの黄色はスペインの象徴で、これはスペインの重税で苦しみ、貧しかったネーデルランドの民衆の抗議だというのです。

赤ん坊にワインをなめさせる母親の画像で、左下でうつぶせになっている男の背中のシャツに手形があるのですが、これは当時ネーデルランドで貧者がただで施されるシャツに描かれていたらしく、このシャツは売買してはいけないという決まりがあったそうです。

聖マルティンも自分の服の布を切り裂いて、貧者に与えていますね。

ブリューゲルは思想を絵画化しますから、先の解釈はともかく、いろいろ込められた深い意味があったのではないでしょうか。

投稿: ケンスケ | 2016.06.18 08:06

to ケンスケさん
芸術新潮が役に立つ日がようやくやって来ました。
森洋子さんを昔から敬愛しています。とても大きな
絵でワイン祭りのどんちゃん騒ぎぶりが生き生き
と描かれてました。

ブリューゲルはこの絵のなかでネーデルランドに
生きる人々の苦しさも描きたかったのでしょうね。
この絵はウイーン美術史美にある農民画よりメッ
セージ性が強い作品になってますね。忘れられない
一枚になりそうです。

投稿: いづつや | 2016.06.18 23:54

ブリューゲルはボスに大きな影響を受けた人なので、この作品でワインの樽を中心にした構図は、ボスの『干草車』にもたとえられているようです。そして我先にと群がる民衆も共通していますね。

そしてボスの『干草車』でキリスト教の大罪が描かれているように、『聖マルティンのワイン祭り』でも大食の代わりの大飲(?)、強欲、憤怒(喧嘩している人たち)などの大罪が描かれているのではないでしょうか。

マントを切り裂いて施す聖マルティンはキリスト教の慈悲の美徳を象徴しているとすると、作品そのものがキリスト教の人生観を表しているように思えます。

とはいえ、誰でも楽しめる風俗画の形にして見せてくれるところにブリューゲルの才があるのですね!

なお色はくすんで見えますが、全体としては明るい色調なのでしょうか。

投稿: ケンスケ | 2016.06.19 22:36

to ケンスケさん
この絵はテンペラですが、発見されたときコンデ
イションはかなり悪かったようです。修復し明るく
なったらしいのですが全体はちょっとぼやっとした
感じがします。

ブリューゲルは風俗画の名手ですからこういう
お祭り騒ぎの場面は楽しみながら描いたのでしょ
うね。その観察力は鋭く、中央の下で子どもがスリ
をしてましたので思わず笑いました。カラヴァッ
ジョやラ・トウールと同じ世界です。

ブリューゲルはボスの画風に共鳴するところが多
かったのでしょうね。2人は根っこのところはつな
がっている感じです。

投稿: いづつや | 2016.06.20 01:14

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