ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美にあるボス!
‘旅人’(1505~16年 ロッテルダム ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美)
‘幼児キリストを担う聖クリストファロス’(1490~1500年 ベーニンゲン美)
‘十字架を担うキリスト’(1500年 エルエスコリアル修道院)
‘祈る聖ヒエロニムス’(1490~1500年 ゲント 市立美)
オランダ、ベルギーの旅はだいぶ積み重ねたので今後観光目的で行くことはなさそうだが、絵画の追っかけならまだ訪問したい美術館が残っている。それはオランダ南部のロッテルダムにあるボイマンス・ファン・ベーニンゲン美。
そのコレクションの全貌はわかってないが長いこと気になっていたのがブリューゲルのもう一つの‘バベルの塔’とボスの3点。プラドのボス展に出品されたのは‘旅人(放蕩息子)’と‘幼児キリストを担う聖クリストファロス’、素直に嬉しい!お陰でアムステルダムからロッテルダムまでの列車の旅は無くなった。
‘旅人’はプラドにある三連祭壇画‘干し草車’の外扉に描かれたものとよく似ている。‘干し草車’に登場するのは粗末な衣服をまとった初老の旅人でこちらは放蕩息子という説と二人はどちらも初老の旅人という二つの説がある。放蕩息子の説をとれば後ろの家で男女が戯れているを振り返ってみているのは、遊びまくったころを思い出しているのかもしれない。
‘幼児キリストを担う聖クリストファロス’は背景の川や山が丹念に描かれており一般的な聖人の絵に比べると風俗画風の人物描写なので画面にすっと入っていける。そして、キリストと聖人の衣装が風に吹かれてぼこっと膨らんでいるのもおもしろい。
マドリッドの郊外にあるエルエスコリアル修道院にある‘十字架を担うキリスト’はいつかお目にかかれることを願っていたが、ようやくその思いが叶った。この絵で強い磁力を発していたのは十字架を担がされているキリストではなくて、その横の口のまわりを白化粧したみたいな男、こちらをみる目力が主役のキリストを完全に食っている。
‘聖クリストファロス’と同様に背景の風景が見事に描写された‘祈る聖ヒエロニムス’、構図的に巧みだなと思うのは斜めに横たわる聖人をとりかこむモチーフの配置、水たまりに浮かぶかぼちゃのような植物、帽子、聖人のマント、そしてサボテンに赤を使い薄い白の衣装を着た聖人を浮かび上がらせている。
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コメント
ボイマンスのバベルの塔は、来年、ウイーンの貸し出されるはずなんで、ウイーンで2つのバベルの塔を並べて観賞できるはずです。
投稿: 山科 | 2016.09.24 20:02
to 山科さん
ボイマンスの‘バベルの塔’は来年の展覧会鑑賞で
一番の楽しみです。日本だけでなく、ウイーンの
本家にも出張し、2点が同時に展示されるのですか!
なんとも豪華なイベントですね。
投稿: いづつや | 2016.09.25 01:24