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2016.06.19

‘美の巨人たち‘で刺激されたゴヤの‘村の結婚式’!

Img     ティツィアーノの‘ダナエと黄金の雨’(1553年)

Img_0002     ティントレットの‘使途の足を洗うキリスト’(1547年)

Img_0001 ボッティチェリの‘ナスタジオ・デリ・オネスティの物語’(1483年)

Img_0004    ゴヤの‘村の結婚式’(1792年)

スペインの魅力にはまった人はまわりに結構いる。昔一緒に仕事をしていた女性は結婚のため会社を辞めたあとスペイン語を習うためサラマンカ大学の語学教室に入学、それから日本に帰ってきてロエベの日本支店で支店長の秘書をやっていた。とにかくスペインが大好きな人だった。

今回のツアー参加者ではじめてスペインを訪問する人も多かったが、これがきっかけとなってスペインとの長いつきあいがはじまることはおおいにありうる。そうするとまたマドリッドのプラド美へ足を運ぶ機会が訪れる。そして気づく、この美術館が所蔵している名画はエル・グレコ、ベラスケス、ゴヤだけではないことが。

ここにはルネサンスからバロック時代に活躍したビッグネームの作品がずらっと揃っている。とくにいい作品が多いのがヴェネツィア派、ボス、ブリューゲル、ウエイデン、デューラー、そしてルーベンス。ヴェネツィア派はべッリーニ、ティツイアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼが圧巻でもうくらくらしてきそう。

今回は早歩きでみたが、どうしても‘また来ましたよ!’とご挨拶したくなる絵がある。ティツイアーノ(1490~1596)の‘ダナエと黄金の雨’に描かれている右の老婆をみていると、6/12に終了したカラヴァッジョ展にでていた‘エマオの晩餐’に登場する額のしわが印象的な老農婦を思い出す。

展示場所が1階のメインストリームの壁に変わっていたティントレット(1518~1594)の‘使途の足を洗うキリスト’、巧みな遠近法によりうまれた奥行き感のある空間を使って表現されるキリストの物語に200%KOされている。この絵の前ではいつも立ち尽くしてしまう。

今年は日本の展覧会シーンではカラヴァッジョの年であるが、ボッテイチェリの年でもある。東京都美で行われた回顧展は信じられないほどいい絵がフィレンツェのウフィッツイ美や海外の美術館からやって来た。だから、その流れを意識してプラド美のお宝‘ナスタジオ・デリ・オネスティの物語’をあらためて夢中になってみた。画像は3点のひとつでかなりショッキングな場面が描かれている。

騎士に追いかけられた裸体の美女のお尻になんと犬ががぶりと噛みついている。痛そう!その左にいるのがタイトルになっている男のナスタジオ、好きな女にふられて意気消沈しているところ。そして、ナスタジオはこの幻想的な男と女の悲劇的な関係を見てあるリカバリー作戦を考える。好きな女性の家族を宴会に招待しこの場面をみせる。男の熱い気持ちを無視するとこの女みたいになるよと暗に示唆する。すると、女性はすぐナスタジオと結婚することを決める。その場面が3枚目に描かれている。

ゴヤ(1741~1828)の‘村の結婚式’はすでに鑑賞済みだが、昨年の9月に放送された‘美の巨人たち’でとり取り上げられじつにおもしろい話がでてきたので、また3階にあがってみてきた。確かにこの新婚さんは美女と野獣、ゴヤの自画像ともいわれる子どもの鋭い目がとても気になる。ゴヤの心のなかには横暴な権力者や社会の欺瞞にたいする厳しい目がある。そんな思いをこの絵にこめたのかもしれない。

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コメント

素晴らしい作品のラインナップですね!

ティツィアーノの『ダナエと黄金の雨』は色彩に魅せられ、釘づけ状態で見ました。晩年の画家は、指まで使って描いたそうですが、さもありなんと感じます。

『使途の足を洗うキリスト』は、右下から左上への対角線上に線遠近法をほぼ重ねている空間構成。ティントレットの構想の天才ぶりに感服します!

『ナスタージョ・デリ・オネスティの物語』は、ボッティチェリの作品の中でもナレーションの面白さ抜群です。残酷な描写ですが、その異様さに惹きつけられてしまいます。なお、ご存知かもしれませんが、国立西洋美術館の常設展にフュースリの同主題の大作があります。

『村の結婚式』を取り上げた『美の巨人たち』は、私も見ました。誰も祝福していないどころか嘲笑の対象にさえなっている結婚。ゴヤの自画像と言われる子供の目に、画家の風刺精神が込められているのですね。

投稿: ケンスケ | 2016.06.20 20:50

to ケンスケさん
スペインの画家を横におくと、数ではボス、ティツイ
アーノ、ルーベンスが群を抜いていますね。
ヴェネツィア派を楽しもうと思うとプラドへ行け!と
いう感じでしょうか。いつもいい気持になります。

西洋美のフュースリの絵ははじめて知りました。
もう何年も常設展に足を運んでいません。いつかみて
みます。ゴヤの‘村の結婚式’、美の巨人たちがいろ
いろ教えてくれましたのでじっくりみました。

投稿: いづつや | 2016.06.21 00:27

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