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2016.06.21

追っかけの一番は‘聖アントニウスの誘惑’!

Img   ‘聖アントニウスの誘惑’(1500~05年 リスボン 国立美)

Img_0002    中央パネル 悪鬼たちに囲まれる聖アントニウス

Img_0001      左翼 ダブルイメージの‘しゃがんだ男の姿をした家’

Img_0003     中央パネル、右翼 地を這い空を飛ぶ魚

プラドでボス展が開催されることがわかったとき、北ブラバンド博物館に出品された作品のうち一体どれが横滑りしてくれるのか気が気でなかった。スヘルトーヘンボスに集まった作品を全点正確に押さえていないが、出品されたはずのヴェネツィアのグリマーニ美蔵の3点はみれるだろうか、追っかけの一番上位にあるリスボンの‘聖アントニウスの誘惑’にたくさんプラスαがついてくれとミューズに祈っていた。

その思いが通じたのか展示室を進むうちにアドレナリンがどどっとでてくるほど期待していた絵が続々目の前に現れた。もう嬉しくて卒倒しそう。プラドがボスの真筆とする作品は全部で25点、工房あるいはボスの追随者たちが描いた作品が7点、そして素描が10点くらいある。流石、プラドといったところ。最高傑作の‘快楽の園’をもっている強みをいかして世界中の美術館からたくさんボスを集めてきてくれた。感謝々!

はじめてお目にかかる作品で大きな期待を寄せていたのが三連祭壇画の‘聖アントニウスの誘惑’、以前ポルトガルを旅行したとき国立美に足を運びこの絵をみたかったが、はじめてのポルトガルだから名所観光に集中した。またリスボンへ行く機会がめぐってくればそのときは国立美とグルベンキアン美へ直行するつもりだった。その絵をプラドでみれるのだからなんという幸運! お陰でリスボンへ行く必要がなくなった。

この絵はかなり前ウイーン美術アカデミー附属美で同じく三連祭壇画の‘最後の審判’をみたとき、横にコピー作品が飾ってあった。コピーでもボスの絵だから本物をみる感覚で楽しんだ。その正真正銘の本物が目の前にある。ボスはこの聖人が好きだったのか単身像としても数点描いているが、ここでは3つのパネル全部に悪魔の誘惑に負けずに禁欲的に修行をした聖人を描いている。左翼が‘聖アントニウスの飛翔と墜落’、中央が‘聖アントニウスの誘惑’、そして右翼が‘聖アントニウスの瞑想’。

いつものようにこの画面にもへんてこな怪物がたくさんでてくるが、目につくのが魚、中央では船の格好をして地を這い、左右翼では人を乗せて空を飛んでいる。北斎は鯉に乗った観音様を描いているが、西洋でも魚が人を乗せていた。

左翼でしっかりみたのが数人に抱えられて進む聖人の上に描かれているお尻をこちらにむけた四つんばいの男、よくみるとその姿が家にもなっている。これはシュルレアリスムのダリが得意としたダブルイメージ、ボスは16世紀のはじめにこんなシュールな手法を手がけていた。恐るべき想像力!ダリがこれをみたら裸足で逃げるにちがいない。

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コメント

ちょうど30年前に、ボスの『聖アントニウスの誘惑』を目当てにリスボンの国立古代美術館に一度だけ行きました。細部の面白さは語りつくせず、ボスの代表作の名にふさわしい傑作ですね!

リスボンの国立古代美術館は、デュ―ラ―、ピエロ・デラ・フランチェスカなどもありますが、プラドに比べるとだいぶ小じんまりとしていて、やはりボスの『聖アントニウスの誘惑』だけのために行く人が多いのではないでしょうか。

なおプラドのボス展は、北ブラバント美術館のボス展をだいぶ上回る内容のようです。ネットによると、北ブラバントでは、祭壇画は、プラドの『干草車』、ヴェネツィアの『隠遁聖者の祭壇画』、ブリュージュの『最後の審判』など四点のみの展示だったそうです(もう一点は不明)。プラドの『快楽の園』、『東方三博士の礼拝』、リスボンの『聖アントニウスの誘惑』は、プラドだけの展示です。

小品は、ほぼ北ブラバントに集まっていたようですが、プラドの『愚者の石の切除』と『聖アントニウスの誘惑』はオランダの研究プロジェクトが真筆から外したため、プラドは北ブラバントに出品しなかったそうです!

投稿: ケンスケ | 2016.06.22 22:26

to ケンスケさん
‘聖アントニウスの誘惑’との対面が叶いなにか
大仕事をしたような気分です。コピーではなく
本物をみたというのはやはり充実感があります。

ヴェネツィアの‘来世のヴィジョン’と‘聖女の
殉教’はスヘルトーヘンボスにでなかったのですか!
そして、ウイーンにある‘最後の審判’はどちら
にも出品されなかったのですね。これはどうした
ことか?

プラドは自分のところの2点が真筆でないといわれ
たのでぶんむくれちゃったのですね。その気持ちは
よくわかります。‘快楽の園’のあるプラドを軽く
扱うな!ということでしょうか。

投稿: いづつや | 2016.06.23 01:28

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